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へびの知恵で平壌に居座る/龍明小説2-18


『龍明小説2-17』からの続き



   龍明小説2-18




 体験から学んで、龍明は計画を練った。

 ーーキリスト教の信仰を中心として救国救世の熱意を匂わせながら、最初はうんと下手(したで)に出て侍り、時を待つのだ。

 しもべのように洗濯でも何でもしてやるさ。
 イエス・キリストだって、弟子たちの前に跪いて彼らの足を洗ったというではないか。

 それで相手が態度を軟化させ隙を見せたら、その時はグッと踏み込んで、ガッとアプローチする。

 エホバの妻から体礼の儀式を勝ち取ったら、霊体交換で神の霊が入りメシア誕生となる。

 エホバの夫人は俺にメシアの権能を認め、再臨の主として証し、俺に侍らなければならない。

 うん、それでいこう。これが天の復帰のプログラムだ。
 龍明はやっといつものように短く深い眠りに入っていった。



 1946年6月5日、銀牧師が北行きの列車に乗る予定の日、龍明はリュックサックにいくらかの荷物をつめて、米を買いに北朝鮮に行くと妻サンキルに告げた。

「心配するなよ、2週間ほど留守にするだけだから」
と彼は言った。

 サンキルがヒステリックに突っかかってこないよう、スムーズに家を出るための嘘の言い訳だった。米なら南でも買えるのだ。

 単純なサンキルは夫の言うことを信じ、生後2ヶ月の息子を抱いて玄関の外で見送った。



 銀牧師は女性修道者のナ・チェソプと他2、3名の年配女性を連れて出発した。列車に乗る予定にしていた場所はモンサンだ。

 一行は、そのモンサン駅にリュックを背負って現れた龍明の姿を見て呆気にとられた。

 彼は平然とした顔で言った。
「用事で平壌の親戚の家に行かなくちゃならんのです」

 腑に落ちないが親戚に用があると言うのを追い返すわけにもいかない。一同は同行することになった。

 彼らは列車で開城まで行き、そこで暗くなるまで待った。それから夜通し歩いてひそかに国境を越え、次の駅まで行った。

 そして朝、そこから平壌行きの列車に乗った。

 ナ・チェソプの父親は生前イエス教会の高名な長老だった人で、銀師の一行はナの母親の平壌の実家に滞在する予定だった。


 平壌に着くと、龍明はナの実家までついて来て挨拶をし、それから郊外にある叔母の家に向かった。

 銀白文はナの家に滞在し、そこでリバイバル集会を行なって、数日後に南に帰って行った。

 龍明は2、3の親類を回った後、再びナの家に来て、「南から来た神霊なる聖書の先生」という触れ込みでそこに留まり、礼拝を行うようになった。




参考資料/サイト
https://www.tparents.org/Library/Unification/Books/Sm-Early/Chap05.htm
http://anzais.blog.fc2.com/blog-entry-88.html

『統一教会の現象学的考察』G.D.クリサイディス
この時のことが
「ムン・ソンミョンは・・・イスラエル修道院のピョンヤン支部を任されることになった。」
「イスラエル修道院内で、ムン・ソンミョンはもっと高い地位が与えられると期待したらしい。が、」(P152 )
とある。
銀白文(金百文)と一緒に平壌(ピョンヤン)に来て、銀信者の実家の長老の家に滞在し、そこで礼拝をするようになったのだから、ピョンヤンで支部を任されたと見えても不思議はない。実際最初はピョンヤン支部のようなものだったのかもしれない。




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コメント

修正しました。
最後の一文を、

龍明は2、3の親類を回った後、再びナの家に来て、そこに留まった。

     ↓↓↓

龍明は2、3の親類を回った後、再びナの家に来て、「南から来た神霊なる聖書の先生」という触れ込みでそこに留まり、礼拝を行うようになった。


と追加修正しました。

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