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イスラエル修道院の銀白文ですヨロシク/龍明小説2-6

『龍明小説2-5』からの続き



龍明小説2-6



 さんざんウリョンを弄び、振り回しておきながら、戦時繰り上げだと言ってそそくさと卒業し、先に帰国してしまった龍明。

 なのに学徒出陣もせず、さっさと別の女と結婚してしまった龍明を、事実上恋人だったウリョンが恨んでいても不思議はない。

 が、彼女はそんなそぶりは全く見せず、こう言い出した。
「あなたに紹介したいすばらしい牧師先生がいるのよ。銀白文先生といってね、」

 イエス教会設立時の中核幹部 白南柱の高弟で、医学部を中退して神学校に行ったという人物だ。頭脳明晰、学究肌、信仰篤実、高い人格で定評があった。その銀師が最近程近くに小さな修道所を開設し、講義を始めたのだという。

「小規模だけど、イエス教会の中でも影響力のある人や熱心な探求者が集まっているわ」
もちろん彼女自身も参加していると言う。


 ずいぶん銀牧師にご執心な様子だ。どうやらウリョンは銀牧師の説くみことばで救いを得たらしい。
 日本留学時代のボロボロになった彼女を見ている龍明は、自分がボロボロにしたのも忘れて、結構なことじゃないかと鷹揚に構えた。


 龍明は日本の工学校に留学して経済や政治運動にも関心を抱き、片足を突っ込んでみた。帰国後は結婚して職を得たがペーペーで、とても彼の満足いくものではない。本当は大学に進学したかったが、試験に合格しなかったのだ。


 12歳になるまで午前中に儒教の書道塾に通うのみだったこともあり、決定的に普通教育が欠けていた。どちらにしても彼は、当時数少ない大学に行くだけの緻密な頭脳と論理性に欠いていた。


 それでも電気技師の道は、未来のニーズを見込んだ手堅い選択で、辛抱して続けていれば将来的にビジネスチャンスも十分あるはずなのだが、彼には向いてないのかもしれない。


 何か世界的な大きなことをやってやらねばと思っていたが、いくら国が独立したとは言え、政治界、経済界、専門職業の道‥‥どれもこれも正攻法では思うように道が開けそうになかった。


 そんな時にウリョンに再会し、十代のころ熱き血潮をたぎらせた信仰、イエス教会のことを思い出させてくれた。そうか、あのイエス教会の、銀白文先生か……


龍明はメモ帳を取り出して鉛筆をなめた。
「よし、場所はパジュ、サプチョリの、イスラエル修道院だね。行くよ、近いうちに…… 明日にでも行ってみるよ」


   (つづく)




参考文献/サイト
https://www.tparents.org/Library/Unification/Books/Sm-Early/Chap05.htm
https://howwelldoyouknowyourmoon.tumblr.com/post/158910252883/moon-had-a-girlfriend-from-at-least-1941-she
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