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ショボッ龍明の青春一巻の終り悲しくてやりきれない/龍明小説1ー6

『龍明小説1-5』からのつづき


龍明小説1ー6

 しかしいつまでたっても、彼に関する神の啓示はどこからも聞こえてこなかった。一介の学生メンバーに過ぎないのだから当然だった。

 そこで自分でおばさんを説得しようと試みた。さすがの彼も、
「あなたはぼくと性関係を結ばなければならない」などと直裁的には言えない。
それで曖昧な信仰の話のようになった。当然彼女には伝わらない。
「そうよ、私はイエス様の再臨を本当に待ち望んでいるわ。もちろん受け入れるわよ。あなたもそうでしょ、会えるといいわね」
などと言うばかりだった。龍明は癇癪を起こして叫んだ。
「ぼくとイエス様とどちらが偉いか祈ってみろよ!」

 それからもおばさんは彼を自分の息子のように扱うだけだった。

 卒業の季節がやってきた。
 彼はソウルを遠ざかる汽車の中で激しく泣いた。朝鮮民族特有の誇張をほどこして言えば、激しく慟哭して流す涙が座席を伝わり列車の床から滴り落ちて、線路をどこまでも一直線に濡らすまで泣いた。

 泣いて泣いて目が腫れて熟れたカボチャのようになり、太陽が見れなくなって、顔が変形したので郷里の出迎えの人が彼だと分からずそのまま家に帰ってしまい、「やつは汽車に乗ってなかったよ」と皆に話している最中に「ただいま」と入って行くと「お前は誰だ?」と言われてしまいそうなほど泣き続けた。

 涙の中には、あれほどまでに恋い焦がれた下宿家の母娘に対して、自らの欲情を貫徹できなかった恨みと執着、悔しさ。そして神の救済計画が潰れて民族と人類が救われないと思う誇大妄想的な煩悶が、ごっちゃになって混ざっていた。

(1部終わり。2部につづく)


参考文献/サイト:
https://ameblo.jp/prophet3/entry-10792693328.html 後半
「淫教のメシア 文鮮明伝」
など


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言葉
言葉ひとつで違う意味に
なっちゃうよね

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