「中心家庭崩壊の兆し・龍明実家の反応」/3-19 からの続き
タイーホきた
裁判きた
平壌の春 ’48
龍明小説3-20
教団内部のお祭り騒ぎとは裏腹に、龍明にはいやな予感があった。
表を歩く度に感じる、以前にも増しての敵意。
先日、見たことのない女性が訪ねて来て、信仰に興味があると言い、いろいろ話を聞き出して行ったが、今思うとあれは当局の内偵ではなかったか。
ーー内部の情報がもれているかもしれない。
彼らの裏をかくため、龍明は急遽予定を1週間早めることにし、食口たちにこう告げた。
「啓示があった。サタンが儀式を狙っている。
天の宴は明後日、2月22日に行うことにする」
だがこともあろうに警察は、その式当日の朝にやって来たのだった。
龍明やジョンファを始め、すでに集っていた多くの食口たちが連行され、内務署で取り調べを受けることになった。
龍明の実家で批判に晒されピンチに陥った車相淳が、その後3日を費やし、なんとか拝み倒すようにして母親と兄を連れて戻って来た時には、もう龍明らは連行された後で、集会所はもぬけの空も同然だった。
タイーホきた
裁判きた
平壌の春 ’48
龍明小説3-20
教団内部のお祭り騒ぎとは裏腹に、龍明にはいやな予感があった。
表を歩く度に感じる、以前にも増しての敵意。
先日、見たことのない女性が訪ねて来て、信仰に興味があると言い、いろいろ話を聞き出して行ったが、今思うとあれは当局の内偵ではなかったか。
ーー内部の情報がもれているかもしれない。
彼らの裏をかくため、龍明は急遽予定を1週間早めることにし、食口たちにこう告げた。
「啓示があった。サタンが儀式を狙っている。
天の宴は明後日、2月22日に行うことにする」
だがこともあろうに警察は、その式当日の朝にやって来たのだった。
龍明やジョンファを始め、すでに集っていた多くの食口たちが連行され、内務署で取り調べを受けることになった。
龍明の実家で批判に晒されピンチに陥った車相淳が、その後3日を費やし、なんとか拝み倒すようにして母親と兄を連れて戻って来た時には、もう龍明らは連行された後で、集会所はもぬけの空も同然だった。
何日か経つと食口たちは次々と解放され戻って来たが、文ノ龍明と金ジョンファの2人はそのまま拘束逮捕され、裁判にかけられることになった。
彼は多くの容疑をかけられていた。
虚偽を流布し、無知な人々を騙して金員を捧げさせる。
それらの人たちを使い、また別の人々の金員を狙う。
家庭や組織を崩壊させ、社会に混乱をもたらす。
南のスパイ。
内務署にはキリスト教会から、数十通の告発状が届いていたという。
だが一番のミソは、重婚罪・姦通罪だろう。最終的に龍明とジョンファの2人だけが罪に問われたのだ。
龍明の宗教活動に否定的な実家の親族をも参加列席させようと、車相淳を定州の生家に遣わしたことも、天の宴とは単なる宗教的儀式ではなく、結婚式の類いであったことの傍証である。
彼は既婚者であり、ジョンファは人妻であるから、当然、重婚罪・姦通罪に相当する。文ノ教会は否定するが、多くの資料が、罪状は夫の告訴による重婚罪だったと報じている。
新聞に “雲に乗って人々を救いにやって来たイエスの裁判” と皮肉なタイトルで告知されたので、裁判が行われる1948年4月7日には、共産党の警官や役人たち、既成教会の牧師や信徒たちが大勢法廷に詰めかけた。
龍明教団の食口たちも、ほぼ全員が傍聴しにやって来た。但し、出産直後だった金インジュの姿はなく、また重要参考人として当局に指名手配されていたチスンドは逃亡中だった。彼女はその後啓示により老婆の格好をし米商人に混じって南下、結局逃げおおせたそうだ。さすがお婆さんの摂理というべきか。
同じ日に裁判を受ける、龍明とジョンファを含む犯罪人たちがぞろぞろと入廷し、頭を坊主にされた龍明が裁判官の向かい側に着席すると、傍聴席の後ろの方に陣取っていた食口が数人、大声で祈祷し始めた。
検事が言った。
「あなたはどうやって地上に来たのですか?
雲に乗って、それとも飛行機で?」
傍聴席のクリスチャンたちは皆笑った。彼は何も答えなかった。
「天から下って来た時はどんな格好をしていましたか? イエス様はイバラの冠をつけていましたが、あなたはどうですか?」
彼は黙ったままだった。
「あなたはカレッジで何を学びましたか?」
「電気工学を専攻しました」
「では、電気の作り方を説明して下さい」
検事は、目に見えない電気を人工で作り出すように、見えない神もあなたが作り出したのだろうと話を持っていこうとしたがうまくいかなかったらしい。
電気発生の原理についてダラダラと喋る龍明を途中で遮って「もうよろしい」と言い、それから審理が始まった。
まず食口たちが頼んだ被告側弁護人が、寛大な措置を求める訴えをした。が、反宗教政策を鑑みる本裁判の政治的重要性と制度の性質から、措置減免の訴えは無効とされた。
途中、オクセヒョンの夫の禹長老が検察側の証人となった。
「妻は家の金を黙って持ち出し教祖に貢いでいました。何度か注意したが聞かず、次第に頻繁になり、金額も大きくなりました」
するとだれかが傍聴席で大声で怒鳴った。
「極刑を望む!」
参考資料/サイト
https://www.tparents.org/Library/Unification/Books/Sm-Early/Chap06.htm
https://howwelldoyouknowyourmoon.tumblr.com/post/63203498498/bigamy-i-hate-him-so-much-i-want-to-kill-him
http://mmutyu.web.fc2.com/malsm/dentouno-genryu/dentouno-genryu_05.html
http://furuta65.fc2web.com/001/syougairotei_2/003.html
https://六マリアの悲劇.com/第四章/
などなど
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彼は多くの容疑をかけられていた。
虚偽を流布し、無知な人々を騙して金員を捧げさせる。
それらの人たちを使い、また別の人々の金員を狙う。
家庭や組織を崩壊させ、社会に混乱をもたらす。
南のスパイ。
内務署にはキリスト教会から、数十通の告発状が届いていたという。
だが一番のミソは、重婚罪・姦通罪だろう。最終的に龍明とジョンファの2人だけが罪に問われたのだ。
龍明の宗教活動に否定的な実家の親族をも参加列席させようと、車相淳を定州の生家に遣わしたことも、天の宴とは単なる宗教的儀式ではなく、結婚式の類いであったことの傍証である。
彼は既婚者であり、ジョンファは人妻であるから、当然、重婚罪・姦通罪に相当する。文ノ教会は否定するが、多くの資料が、罪状は夫の告訴による重婚罪だったと報じている。
新聞に “雲に乗って人々を救いにやって来たイエスの裁判” と皮肉なタイトルで告知されたので、裁判が行われる1948年4月7日には、共産党の警官や役人たち、既成教会の牧師や信徒たちが大勢法廷に詰めかけた。
龍明教団の食口たちも、ほぼ全員が傍聴しにやって来た。但し、出産直後だった金インジュの姿はなく、また重要参考人として当局に指名手配されていたチスンドは逃亡中だった。彼女はその後啓示により老婆の格好をし米商人に混じって南下、結局逃げおおせたそうだ。さすがお婆さんの摂理というべきか。
同じ日に裁判を受ける、龍明とジョンファを含む犯罪人たちがぞろぞろと入廷し、頭を坊主にされた龍明が裁判官の向かい側に着席すると、傍聴席の後ろの方に陣取っていた食口が数人、大声で祈祷し始めた。
検事が言った。
「あなたはどうやって地上に来たのですか?
雲に乗って、それとも飛行機で?」
傍聴席のクリスチャンたちは皆笑った。彼は何も答えなかった。
「天から下って来た時はどんな格好をしていましたか? イエス様はイバラの冠をつけていましたが、あなたはどうですか?」
彼は黙ったままだった。
「あなたはカレッジで何を学びましたか?」
「電気工学を専攻しました」
「では、電気の作り方を説明して下さい」
検事は、目に見えない電気を人工で作り出すように、見えない神もあなたが作り出したのだろうと話を持っていこうとしたがうまくいかなかったらしい。
電気発生の原理についてダラダラと喋る龍明を途中で遮って「もうよろしい」と言い、それから審理が始まった。
まず食口たちが頼んだ被告側弁護人が、寛大な措置を求める訴えをした。が、反宗教政策を鑑みる本裁判の政治的重要性と制度の性質から、措置減免の訴えは無効とされた。
途中、オクセヒョンの夫の禹長老が検察側の証人となった。
「妻は家の金を黙って持ち出し教祖に貢いでいました。何度か注意したが聞かず、次第に頻繁になり、金額も大きくなりました」
するとだれかが傍聴席で大声で怒鳴った。
「極刑を望む!」
参考資料/サイト
https://www.tparents.org/Library/Unification/Books/Sm-Early/Chap06.htm
https://howwelldoyouknowyourmoon.tumblr.com/post/63203498498/bigamy-i-hate-him-so-much-i-want-to-kill-him
http://mmutyu.web.fc2.com/malsm/dentouno-genryu/dentouno-genryu_05.html
http://furuta65.fc2web.com/001/syougairotei_2/003.html
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2020/06/29 (月) [龍明小説2.5&3]
玉相賢(オクセヒョン)の夫の禹長老が裁判の証人となった件は創作ですが、
禹長老 は1950年にこう語っているので、内容としてはノンフィクションです。
「生活のやりくりが上手だった妻が、チャンスさえあればお金をへそくり、文龍明のために持ち出すようになった。経済的余裕もあることだし、少しくらいはいいだろうと最初は思っていた。何よりも早く夫婦が前と同じように仲よく暮らしたかったので、それを期待して一所懸命祈ったが、ムダだった。するとある日、その青年をはじめ、自分の妻まで、全員が警察に拘束されることになった」
ずっと後になって語ったこととして、
「家内の玉相賢とは、いくら話してもムダだったので、離婚した。自分は神学を勉強し、牧師になって、今は小さい教会で勤めている」
(「六マリアの悲劇」より)
「龍明小説3」のシリーズは、次回で終わることになるでしょう。
あー、おわった、おわった(^_^)
昨日、中国全人代にて「香港国家安全維持法」案が可決されてしまった、ということで、中国共産党で思い出し。
48年のこの裁判も、北朝鮮国家成立直前のソ連傀儡の共産圏下でのことだと。そこで資料にあった箇所を翻訳加筆しました。
(難解だし、ト教会側が言い訳にしている風もある内容なので書かなかったのですが)
(1)追加部分:
「まず食口たちが頼んだ被告側弁護人が、寛大な措置を求める訴えをした。
しかし、反宗教政策を鑑みる本裁判の政治的重要性と制度の性質から、措置減免の訴えは無効とされた。」
(2)ついでに中盤にトリビア風の追加:
龍明教団の食口たちも、ほぼ全員が傍聴しにやって来た。「但し、出産直後だった金インジュの姿はなく、また重要参考人として当局に指名手配されていたチスンドは逃亡中だった。その後啓示により老婆の格好をし米商人に混じって南下し、結局逃げおおせたそうだ。さすがお婆さんの摂理というべきか。」
48年のこの裁判も、北朝鮮国家成立直前のソ連傀儡の共産圏下でのことだと。そこで資料にあった箇所を翻訳加筆しました。
(難解だし、ト教会側が言い訳にしている風もある内容なので書かなかったのですが)
(1)追加部分:
「まず食口たちが頼んだ被告側弁護人が、寛大な措置を求める訴えをした。
しかし、反宗教政策を鑑みる本裁判の政治的重要性と制度の性質から、措置減免の訴えは無効とされた。」
(2)ついでに中盤にトリビア風の追加:
龍明教団の食口たちも、ほぼ全員が傍聴しにやって来た。「但し、出産直後だった金インジュの姿はなく、また重要参考人として当局に指名手配されていたチスンドは逃亡中だった。その後啓示により老婆の格好をし米商人に混じって南下し、結局逃げおおせたそうだ。さすがお婆さんの摂理というべきか。」
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