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2023年05月の記事 (1/1)

08 ショック受け、ツルコ総裁は出演決意


08 レコーダーの中身と
     ツルコ総裁の出演決意



一人になったツルコは、レコーダーのスイッチを入れた。
覚悟はしていたが、内容はそれ以上のものだった。(前回より)


(レコーダーから漏れてくる幹部たちの話し声)
「ーーお父様とお母様で真の父母なんだから、それを独生子・独生女と言ってもいいが、統一原理では、あくまでも男が主体、女が対象であるからして…」
「それを鑑みるに、最近のお母様の主張は、過激で、」
「行き過ぎだろう」
「信者らが不信感を抱いて遠ざかり、三男や七男の分派が“母の過ち”と騒ぎ立てて活気づく」

「しかし、真正面から反対すれば、報奨金がなくなるし、下手をすれば首を切られるぞ」
「だから、褒めて適当に誤魔化すしかないだろう?」
「うまく賢く丸め込むってことか?」
「うむ、それだってそんなに長くないはずだよ」
「もう少しの辛抱ってか。なにしろご高齢だからなあ」
「病気もあるしな」

そしてヨンホゥ本部長の声がこう言った。
「まあ遠からず、真の父母の御二方がこの世にいない時勢が来る。その時は組織にも教理にも調和が戻ってくるはずだ。だから今、独生女に反対するにしろ、賛成するにしろ、後から不信を招かないために、なるべく論の証拠を残さないようにしたほうがいいだろう」
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07 ツルコ小説 天井裏の耳



  07 ツルコ小説 天井裏の耳



【前回より】
ツルコの居室から階段の方向へ、2つ先の部屋がミーティング室になっている。

「そこの天井に裂け目があって、光が漏れているはずよ。
中の様子を報告して。録音してきて。失敗は許されない。
ICレコーダー、カメラ付、懐中電灯付。ほら持って。時間がない」

「えーっ」
お尻を叩かれて、カヨはハシゴを登って行くしかなかった。///////


…嫌がっていた割には、案外、スタスタと登って行くじゃないの。
 若いっていいわね〜 


カヨの姿は、天井の裂け目からスッと暗闇に入り、とっくに見えなくなっていた。

あたりはシーンとしている。
…ふぁあ…
ツルコはあくびをしてソファに寝そべった。

居室のある宮殿は、天正宮博物館とも呼ばれている。
高級な大理石をふんだんに使った1階ホールには、文教祖夫妻の記念の品々や往年の写真などが展示されていた。

“後世の人々は、再臨のメシア・人類の真の父母ゆかりの展示物を、神聖な物として仰ぎ見るようになるだろう。ゆえにそこは永久に万人が列を成して訪れる場所になるのであ〜る” と説教して、信者たちに高額な献金のノルマをかけ、一千億円を集めて建設した自慢の宮殿だ。

宮殿の隣りの本部ビルには、正式な会議室が複数あるのだが、こと内輪色が強い集まりには、文教祖存命の頃から、宮殿内のミーティング室がよく使われていた。

カヨがすぐに戻って来ないことからしても、今この時、幹部らはあの部屋でミーティングしているに違いないのだ。


紅葉の天正宮

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