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龍明小説8&9の記事 (1/1)

日本宣教・アメリカ宣教・文先生現る!/8-1

「KCIAが名付けた勝共・女たちの顛末/7-10」からの続き



 日本宣教・アメリカ宣教・文先生現る!





   龍明小説8-1



文教祖は、58年には日本へ、59年初頭にはアメリカへ、宣教師を送っていた。

崔奉春(日本名:西川勝)宣教師は、人格形成期のほとんどを日本で過ごした韓国人で、58年5月に日本に密入国し、数カ月間投獄され、ほとんど丸1年間何の成果もなかった。

その後、2,3年で10数人の日本人メンバーを得たが、真の突破口が開かれたのは韓国軍事クーデター後の1962年だった。
そのとき日蓮系の仏教団体である立正佼成会の若い指導者グループが原理を聞き、数十人がいちどきに統一教会に改宗して活動的なメンバーとなった。

1963年には、日本支部で初めて全国の信者が東京銀座のガスホールに集結した。そこで行われた初めての決断式は、立正佼成会の吹奏楽団で幕を開け、右派の影の有力者である笹川良一が参列していた。


西洋の研究者の指摘では、日本の統一教会運動の特徴の1つは、体系的な訓練プログラムの開発だったという。
日本人はこれから入信する可能性のある人々に対しても、すでに入信したメンバーに対しても、その「修練会」において非常に高い洗練のレベルに到達した。正規のスタッフが教育に専念し、講義は明瞭に組織化された型に従った。

研究者は、根拠として「日本教会からの修練会報告1966」を引用している。
スケジュールは集中的なグループ活動によって特徴づけられる。修練生は定期的に8人から10人のグループで集まって、食事や祈祷をしたり、疑問や困難について話し合う。
彼らは常に一人のリーダーの指揮下にある。修練生の就寝後、リーダーたちは評価と計画のために集まる。彼らは修練生のリーダシップの質や参加具合、そして起こり得るあらゆる問題について、注意深く観察する


西川が日本で始めたもう一つの特徴ある実践は、共同生活だ。
それは韓国支部にはないものだった。
共同生活は、志を同じくする信者の共同体の強さと結合力をグループに提供し、部外者との接触から生じやすい懐疑から信者を保護することになった。
統一教会日本支部はそこから次第に発展していった。

64年には「世界基督教統一神霊協会」が宗教法人として認証され、久保木修己氏が初代会長に就任。
65年に崔(西川)宣教師が渡米してしまうと、少しずつ絶対信仰、絶対従順の文鮮明色が強くなっていく。

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大量の僕と金が必要な世界摂理?ー心理的暴力/8-2

「日本宣教・アメリカ宣教・文先生現る!」 の続き


   大勢の僕と金が必要な世界摂理?

あなたはこのような心理的暴力で、人格を破壊されていませんか?
もしくは、その傷がまだ多少なりとも残っていたりしませんか?
もしそうなら、傷ついたもう一人の自分を癒してあげて下さい。




   龍明小説8-2



1971年の暮れにアメリカに定住してからは、文鮮明自身が主導権を握り直接影響力を及ぼすようになった。
これまで宣教師ごとに自律して散在していた多様な小グループを解体し、すべてのメンバーを別の地域の別の使命に移動させて、統一した全国的な運動にしようとした。


文教祖の誇大妄想的な方針はこのようなものだ。
地上天国を復帰するには、従順な僕の軍隊がもっと必要になる。
活発な勧誘活動で人員を増やし、厳しく訓練しなければならない。
これは人類史上かつてない大きな使命だから、手下どもはかつてないほど働かなければならない。
世界の摂理を進めるために数億ドル、世界の富を牛耳るためには数十億ドル、それ以上が必要だ。
手下どもはその金を集めるため、わしが命令すればどこへでも行き何でもしなければならない。
韓国でのわしの立場を安泰にするために、朴軍事政権の意向に沿った政治活動をすることを厭うな。


韓国政権の意向に沿った政治活動について。
当時文教祖は朴大統領を恐れており、身の危険を感じていた。
実際、70年に東京で世界反共連盟(WACL)の大会を勝共連合主催で開いたのは、スポンサーである朴正煕大統領の目的と文教祖の目的が一致していることを再度アピールし、朴大統領をなだめるためでもあったという。そのことは大会で訪日した勝共連合アメリカ支部長へ、日本会長の久保木から通訳を通して伝えられた。


手下どもを集めるについて、文教祖とて70年代のアメリカで、鎖に繋がれた奴隷を買うことはできない。
本当に奴隷のように働いてもいいと人々に思わせるようにしなければならない。
そんなことができるだろうか。

    *
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信者の自己犠牲で豪邸を手に入れた文鮮明/8-3

『大勢の僕と金が必要な世界摂理?』からの続き



    原理信者の自己犠牲で
        豪邸を手に入れた文鮮明

    —-ベルヴェディア、イーストガーデン購入





   龍明小説8-3


1971年の暮れにアメリカに定住してからは、文鮮明自身が主導権を握り直接影響力を及ぼすようになった。(前回より)


(さて、そろそろここでも自分の家を持つべきだ、それもとびきりのやつを。)
10年前、金局長の訪米に隠密同行した時に知遇を得ていたロックフェラーから、知人が所有するいい家があると仲介の連絡があった。
ニューヨーク郊外タリータウンにあるベルヴェディアと呼ばれる広大な敷地、部屋数25の素晴らしい邸宅で、所有者は世紀初頭のウィスキー醸造王、価格は80万ドル(約2億5千万円)にまけてくれると言う。
デヴィッド・ロックフェラー自身も同じ郡内に豪邸を所有する隣人である。

(この位の館の1軒や2軒持ってないと、要人に相手にされんわ。日本の笹川は「自分は世界で一番 金持ちのファシストだ」と豪語したが、わしはその上をいきたい。)


アメリカ統一教会が、まず20万ドル以上の頭金を調達することになった。
最初の大規模な資金調達活動である。

どのようにして資金を集めるか、会議が開かれた。
最初は、ユースクラブや慈善団体などが資金調達の手段としてよく利用する“富くじ”販売をしたが、2ヶ月やってもほとんど金が集まらなかった。
そこで全米教会長のサローネンは、メリーランド州アッパーマルボロ教会で前年から稼働していたローソクの製造販売に白羽の矢を立てた。

「40日条件路程」と呼ばれる厳しい短期集中路程が始まった。
24時間体制のロウソク工場で、1日に4千本前後のロウソクを作った。
それを全国の教会センターに送り、全米の街頭で人々に原価の5倍で売りつけた。
最終的には、頭金に相当する金額を稼ぎ出すことができた。

この資金は、若者たちが1日16時間、食事は連日ピーナツバターとジャムのサンドイッチにチキンスープで我慢しながら、空港や街角でロウソクや花を売って集めたもので、文鮮明のための自己犠牲だった。
アッパーマルボロの工場では、24時間体制で40日間働き、20万本のロウソクを生産した。
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“私の父は偽の再臨メシアです”文聖進の手紙事件/8-4

『信者の自己犠牲で豪邸を手に入れた文鮮明』からの続き



 “私の父は偽の再臨メシアです“
  あけすけにホントのことを言っちゃった
    文聖進の手紙事件
(後半部)



   龍明小説8-4



質素ななりのまま要人と交流した徳の高い宗教者は同時代に何人もいたが、龍明はその後も同様のやり口で、高価なビル群や土地、会社群を購入し続け、億万長者になって、金と反共で影響力を買い、CIAやロックフェラー等、金持ち仲間と交流していた。(前回より)

宗教保守派と協調し、新聞社を作り首都ワシントンで文教祖のネットワークが拡大した時期には、アメリカ再建を通して地上に天国を創建するという統一教会の夢が手の届く範囲にあるように見えた。

しかしそれは、統一原理や再臨のメシアが政界や宗教界に認められ浸透したからではなかった。
今まで見てきたように、金と権力の力学を使ったのだ。否、使い、使われたと言うべきか。

反共で敵愾心を煽り、冷戦構造の対立を際立たせるのに一役買って時流に乗り、影の権力から使い使われるそのためには、文教祖の号令一下、どこにでも行ってイノチガケ、稼ぎ、工作し、敵に向かって威嚇行進する兵隊のような狂信者の群れが欠かせなかった。

それが文鮮明の強みであり、それでなければ世界の舞台で相手にもされなかっただろう。
極貧国の片隅の異端カルト教祖らのうちの1人のまま終わっていただろう。


統一原理というものは、
そういう信者たちをおびき寄せる釣り針であり 餌であり
嗚呼 彼らを逃がさないための 借り仮(カリカリ)の希望

自己犠牲を強いる 根拠のない権威と 歴史的必然を騙る
捕まって自らの病いをこじらせる可哀想な人たちの重石(おもし)
それから一時の慰め イタク美しいカレイドスコープの迷宮
もともと けっして それ以上でも以下でもない内容

原理原本から70年近く 原理講論から50年以上
無知で未熟な学生やそれに準ずる人々しか魅了しない
世界で役立ったり 通用なんかするものではなかった

現代の理想国家世界を語る原理思想家よ出でよ などとは言わない
もう結論は出てしまっているのだから
そういう限られた意味では なくてはならないものだった
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脱会宣言した朴ボヒ、会員証を破り捨てる/8-5

『“私の父は偽の再臨メシアです”文聖進の手紙事件』からの続き


朴ボヒ、
韓国のトップリーダー会議でUC脱退を宣言、
会員証を破り捨てる




   龍明小説8-5


文教祖の自叙伝「平和を愛する世界人として」では、
“食事どきになると、ジャガイモをいくつか焼いて食べ、飢えをしの”ぎながら、“1銭、2銭と節約して集めたお金”で、リトルエンジェルスを創設した”
と書いてあります。
当然のようにリトルエンジェルスは自分が計画考案したと書いています。

一方、アメリカ議会で調査を担当したプロのジャーナリスト、Gifts of Deceit 著者のベッチャー氏は、
「朴ボヒは、ウィーン少年合唱団のコンサートに出席した後、韓国伝統の少女舞踊団を組織するアイデアを思いついた。 文はこのアイデアを気に入り、1962年に『リトル・エンジェルズ』を設立した。 」
としています。

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1. アイゼンハワー元米大統領と朴大佐(1965年
2. 1971年、イギリス女王と一緒に写る朴大佐
3. ユネスコでのリトル・エンジェルズ(1973年
4. リトルエンジェルスと不明人物
5. ライサ・ゴルバチョフとリトル・エンジェルズ(1990年
6. リトルエンジェルズ、日本の皇太子ご夫妻とご対面(1971年




リトルエンジェルスを考案したのは、文と朴、さあ、どっち?
それぞれのご想像にお任せしますが、
いかにも大使館員がウィーン少年合唱団のコンサートに招待されてそうな時代だし、これは韓国一国の内部から出てくるアイデアではなく、占領下、国連、外交官などのキーワードが伴うイメージです。つまり当時ワシントン駐在の韓国大使館付情報部員だった朴氏の方がイメージが合うと私は思います。韓国内で信者が子供たちを孤児院に捨てるまで伝道活動を科していた文教祖発のアイデアだとは思えないのですが。

しかし朴氏の著書『証言』でも、文鮮明自叙伝をなぞる形で、文のアイデアだとしています。
当時そのアイデアに納得がいかなかった朴は文先生に「なぜ子供なんですか?」と尋ねたという。
「証言」より引用:
(朴は文に尋ねた)「なぜ『児童舞踊団』なのですか?そんな鼻をずるずる垂らした幼い子供たちを、どうやって世界の舞台に連れて回るというのですか?」と。先生は感銘深い答弁を下さった。「子供は平和の象徴である・・・(云々かんぬん・・・」

当時実際にあった反対意見を朴の質問として編集し、それにいつもの御大層な答えをくっつけたかといった具合に、質問も回答もわざとらしさを感じさせます。

65年に朴氏の自宅の朴自身の書斎の隣の部屋で、崔淳華がサムエル(文氏の庶子)を身籠ったのに、裁判の宣誓証言で「私はサムエルの父親が誰か知りません」と堂々と証言するわ、自分の実子として出生証明書を提出するわ、下院議会の公聴会での証言といい、その他の詐欺容疑といい、朴ボヒ氏は筋金入りの、文教祖や統一教会に都合の良い「天の欺瞞」の使い手です。


そんな模範的なムーニー(統一教会員)とも言える朴ボヒ大佐のもう一つの顔の紹介です。

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許せ 愛せ ニクソン激怒/8-6

『想な世界征服:勢いありそに見えた時代』からの続き



  許せ 愛せ ニクソン激怒




ノンフィクション書籍『Gifts of Deceit』を参考。
*ほぼ全ての事柄が直接関係者に取材、または議会報告書等に書かれている事です。





   龍明小説8-6



1970年から74年にかけては、アメリカの信者数が毎年倍増した、急速な成長を遂げている時期だった(75年には頭打ちになるのだが)

その頃、ウォーターゲート事件が起こり、ニクソン大統領への疑惑と糾弾が話題になっていた。
文鮮明教祖は大量の資金と人員を投入して、ニクソン支持の運動に乗り出した。

まず、51の主要新聞に「許せ、愛せ、団結せよ」とニクソン擁護の声明を、自分の顔写真入りで全面広告掲載した。
それはアメリカでの初めての個人的な政治活動になった。
それまで彼はアメリカと韓国を行ったり来たりしながら、講演旅行を続けていて、アメリカ人は、彼を異端の神学を持つ精力的な伝道者としてしか知らなかった。

彼はダン・フェファーマンを委員長に「全国祈祷断食委員会」を設立し、40日間の断食祈祷を開始させた。

彼は信者たちにこう言った。
「ニクソンを支持するのは、先に韓国に行った際、山に入って神と話し合った結果である」
ウォーターゲート事件でニクソンを救うのはこの文先生にかかっている、他の誰にもできないと神は認めたというのだ。
アダムの立場にある文氏は、天使長の立場のニクソンを助けなければならない。
アメリカ国民はニクソンを支えなければならない。許せ、愛せ、団結せよ!



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文鮮明氏によるニクソン支持声明の全面広告(当時のニューヨーク・タイムズ)



実は文教祖のニクソン擁護運動の背後にいたのは、Dr.ジョセフ・ケネディと言う人物だった。ケネディはアトランタの「希望の日」講演会プログラムのコンサルタントとして文教祖の組織に雇われていた。彼はまた、ホワイトハウスにも良いコネクションを持っていた。
韓国の山の中で文と神との間のやりとりがあったにせよなかったにせよ(ないだろ)、文の副官 朴ボヒの頭の中に基本的な考えを植え付けたのはケネディだった。
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ぶち抜け火の玉 ニクソン辞任 /8-7

『許せ 愛せ ニクソン激怒』からの続き



   🔥 ぶち抜け火の玉 ニクソン辞任 🔥
 




   龍明小説8-7



コンサルタントのDr. ジョセフ・ケネディが、ウォーターゲート危機のために断食と祈祷が必要だとリンカーンの言説を持ち出してアドバイスしたのをきっかけに、文教祖は疑惑の渦中にあるニクソン大統領を支持する「全国祈祷断食委員会」を設立した。
Dr.ケネディと朴ボヒ、デヴィッド金等が参謀になり、FLF(米国勝共)が指揮をとって、ムーニー(文鮮明の信者)たちは断食をしながらビラを配り、アメリカの歴史的人物に扮して州都の建物を行進し、公共の場所で祈った。

今をときめく話題なだけに、ウォーターゲート計画は文教祖の地方講演よりよほど注目された。
朝、教会センターを出発する決断式の際に、信者たちは「カメラに向かって祈れ」と指示された。
「最大限ニュース報道に取り上げられるように、テレビカメラが来たら、すかさずその前で祈れ。ただし祈祷室でいつもきみたちがやっているように大声で泣いたり喚いたりするのはダメだ。最も効果的なのは、一般人にも受け入れられやすい節度を保った中庸の祈りだろう」

だが、泣きながら祈っているところを撮影されたある若い姉妹は、真摯で健気な様子に映ったため、図らずも高い評価を受けた。

ニクソン大統領がホワイトハウスからどこかに出張する際には、必ずムーニーの一団が派遣された。
教会長サローネンに抜擢されたFLF(勝共)のエルキンズが中心になり、ムーニーたちはニクソン支持の看板を持って先頭に立つようにし、見物人や一般観客がニクソンの熱狂的な支持者の群れに見えるようにした。
文教祖は、
「10人が1万人に見えるように行動しなければならない!」
とスピーチで檄(げき)を飛ばした。

ムーニーたちは熱狂的だった。
自分があげる一つ一つのこの雄叫びが、再臨のメシア文鮮明お父様への愛の証し、歴史に残る、世界を変える、神への信仰の証しとでも思っているのだろう?

時にはやり過ぎて、ホワイトハウスでさえ手に負えないこともあった。
エルキンスがナッシュビルのグランド・オール・オプリーに行ったとき、シークレット・サービスがムーニーたちに
「今日はパット・ニクソン夫人の誕生日だから控えめにしてくれよ」と頼んできたのだ。

 
ここで 決断式の定番ソング「ぶち抜け火の玉」を連想す
♪止めても 止まらない 火の玉だ ぶち抜け 敵陣〜♪


作詞作曲:野村健二


  
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議会に女信者を送る・政治を学ぼう/8-8


『ぶち抜け火の玉 ニクソン辞任』からの続き


  議会に女信者を送る・
        PRシスターズの摂理




⭐️長らく政治的な世界に興味がなく、無知だったので、こういう機会に関心を持ってみました。
1970年代前半あたりの状況です。
文先生の諸事情を知ろう!(^.^)





  龍明小説8-8


文龍明は、自分がやっている「ウォーターゲート計画」は、アメリカ国内よりも韓国国内での影響の方がはるかに大きいことを教団メンバーに伝えていた。
「韓国の青瓦台の連中はこう思うんだね、世界に冠たるアメリカで?文先生がニクソン大統領と? おー、あの男、目は小さいが大したもんだ、と言って感心する」(会場笑い)

韓国の方では、お得意の修練会方式を活かし、ソウル郊外の水沢里にある教団の訓練校で、政府関係者に反共主義を教え込んでいた。
政府は毎年、地方自治体や国の機関から数千人の職員を、文教祖の学校に訓練生として派遣した。

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水沢里のトレーニングセンター(反共訓練所)


文教祖は、朴軍事政権下の厳しい環境の中で迫害される宗教人たちを尻目に、ソウルで親政府、反共産党、親ニクソンの大規模なデモを行うことが許されたし、教団の産業部門では、軍事兵器の製造など、政府から高額な免税契約を受注しており、特別扱いを受けていたと言わざるを得ない。

昔KCIAの金ジョンピル総局長が下した、設立したばかりの統一教会を利用するという決断は、10数年を超える時の試練になんとか耐えていた。

龍明は、それでいい、行けるだけそれで行こうと思っていたが、自分はKCIAや朴正煕よりも大きな存在であると、教団によく語っていた。
彼の頭の中では、自分は韓国政府を整理し利用しているのであって、その逆ではないのである。
反共学校で教化された政府関係者は、勝共思想によって統一原理に導かれる。政府との契約で軍需品を作れば、政府は彼に依存し、彼が世界に進出するための資金を提供することになるからだ。

ウォーターゲート計画では、もしニクソンを救うことができれば、俺の力は朴正煕大統領を凌駕し、アダム国である韓国を支配することもすぐに可能になるだろう、と思っていたのだが‥‥
結局ニクソンは二期目を全うすることなく辞任してしまった。

いや、だがあれはホース・チームの連中が失敗したからだ。
俺は大統領の朝食会にも出席したし、ホワイトハウスで単独会見もした。
その瞬間から統一教会とホワイトハウスは非常に近くなったのだから、ま、ドンマイ、ドンマイ。
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KCIAから反日デモと卵投げを請け負う文教祖 in USA/8-9

『議会に女信者を送る・政治を学ぼう』からの続き



  文教祖、アメリカにて、
    反日デモと 卵投げ攻撃を
       請け負う の巻





   龍明小説8-9



ウォーターゲート事件によりニクソン大統領が辞任して1ヶ月が過ぎた頃、ニール・サローネン(米統一教会とFLF勝共の責任者)は、クリス・エルキンス(FLFの現場責任者)に一風変わった任務を与えた。

1974年9月14日の朝食の時、クリス・エルキンスは他の4人のムーニーと一緒に、日本大使館に卵を投げるようにと指示された。
「正午にきみたちを日本大使館へ連れて行くよう車を手配してある。日本大使が昼食に出かける車に卵をぶつけるのが一番だ。だが30分かそこら待っても大使が現れなければ、大使館の建物に卵をぶつけて、待機している車に逃げ込んで統一教会本部に戻って来ればいい」

サロネンの説明によると、この事件のタイミングは、フリーダム・リーダーシップ・ファウンデーション(FLF)が行っていた街頭デモと重なることが重要だった。
「そうすればマサチューセッツ通りの日本大使館周辺から警察の注意をそらすことができるから」

前月にソウルで起きた朴大統領夫人の暗殺事件(*脚注:文世光事件)に対する日本政府の姿勢に抗議して、FLFを代表する大勢のムーニーたちが、デュポンサークルからホワイトハウスまで、プラカードを持って行進する予定になっていた。
暗殺の犯人(文世光)は朝総連系の在日朝鮮人だった。日本政府は韓国側の要求通りには対処しなかったため、韓日関係は大きな危機に陥っていた。

フォード大統領は11月に東京を訪問する予定があったが、ソウルに寄る予定はなかった。韓国政府と文鮮明は、このフォード大統領の訪日日程を、アメリカが韓日紛争において日本に味方していることを示すものと考えた。
ムーニーたちがワシントンで行った反日デモや卵投げは、アメリカ市民が韓国の立場を支持していることを示そうとし、フォードのソウル訪問を説得するためのものだった。
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掟破りの無法教団。信者ボロボロ?/8-10

『反日デモと卵投げを請け負う文教祖 in USA』からの続き



   掟破りの無法教団。
       信者はボロボロ?




龍明小説8-10



ドナルド・フレーザー議員は、委員会でKCIAの米国内での活動を調査していたところ、ムーニーがKCIAから報酬を得てワシントンで反日デモを行った証拠を見つけたことから、統一教会組織の調査を始めた‥‥(前回より)

反日デモの下請けだけではない。
アメリカではロビイストに登録が義務付けられているが、教団から議員に派遣された信者たちは、韓国政府のエージェントとして登録することなく、議会で韓国のためにロビー活動を行っていた。

今や巨大になったように見える文鮮明集団は、アメリカで数々の法律違反を犯していた。
日本や韓国その他から何百人もの信者が、短期の学生ビザ、観光ビザ、宗教研修生ビザなどで入国し何年も滞在して、伝道や募金活動に従事、教会の事業体や政治的団体で働いていた。

彼らは生活に必要最低限の費用のみ支給され、無給で18時間労働したというか、させられたというか。強制労働禁止法、少なくても労働基準法違反になるだろう。

何百万ドルものお金が、非課税の教会口座からファミリー組織のビジネス口座へ、あるいはその逆へと都合良く送金されていた。
また、外国からやって来る信者たちは、税関に内緒で大量の外国の献金を運び込んでいた。


続々と湧いてくるカモネギ奴隷のような無給従業員と宗教団体を隠れ蓑にした効果抜群の節税対策。
いきおい、常識では考えられないほどの富が、トップの文教祖周辺に集中することになる。
当時のメディアに「韓国からやって来た億万長者、文鮮明氏、フォード自動車とパンアメリカン航空を買収か!?」と報道されたこともあった。
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幹部ら集めて銀行乗っ取る文鮮明ー不正の常態化/8-11

『掟破りの無法教団。信者ボロボロ?』からの続き


   幹部ら集めて
     銀行乗っ取る文鮮明
          ー不正の常態化






   龍明小説8-11


文教祖と幹部たちのオフレコ・ミーティングは続く。
ー あー、この世の小賢しい法律は、悪主権下、カイン圏の法律だ。そんなものに父の使命を妨げられてはならない。
ー われわれ統一ファミリーは善なるアベルの立場にある者として、ヤコブの知恵(=嘘)を使い、カイン圏を騙してでも、人類始祖の堕落の罪をもと返しィ、神中心の善なる世界を復帰しなければならない。
ー その聖業のためなら、なんでもしていい。殺人と売春以外なら、もうなんでもやるという覚悟でいくんだ!
♪ おいら 行くんだ み旨道〜(ソレ・ソーレ!
♪ 父の 使命を 果たすまで〜(ソレ・ソーレ!
ベルヴェディア敷地に統一愛唱歌が響く。


韓国の朴正煕大統領は、アメリカでコリアゲート疑惑が浮上し、文鮮明がスキャンダルの渦中にあることを受けて、奇異な自称再臨メシアとは距離を置く体裁にした方が得策だと思ったらしい。
朴正煕大統領のイメージは米国内でかつてないほど低下し、なおも沈み続けていた。それを受けて、ハン駐米大使はワシントンで「韓国政府と文鮮明氏は関係ない」という声明を出した。

悪名高いコリアゲート・スキャンダルから1年後の1977年、韓国政府は恥ずべき存在となっていた文教団との関係を部分的に断つことを決定した。
実際、韓国当局は、文鮮明が所有する企業の経営陣に対して財政的な不正行為を行ったとして、多くの告発を行なった。たとえばこの時、高麗人参茶で有名な一和製薬も脱税容疑で告発され、有罪となり、社長(洪ナンスクの父、36家庭)が懲役に服すことになった。
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ムーニーvs調査員、どっちもガンバレ/8-12

『幹部ら集めて銀行乗っ取る文鮮明ー不正の常態化』からの続き




   ムーニー vs. フレーザーの調査員、
       どっちもガンバレ アレッ?



           注)*ムーニー:統一教会信者を表すあだ名



   龍明小説8-12



1976年5月にニューヨーク・タイムズ紙が、フレーザー率いる小委員会が統一教会の活動を調査していることを初めて報じた。

ニール・サローネンは驚き、何かの間違いだろう?と頭をひねった。
新聞には、フレイザー下院議員は、米国でのKCIAの違法な活動を懸念しており、統一教会が関与しているのではないかという情報を得たと載っている。


彼は翌日フレーザー事務所を訪ねて行った。突然だったが会ってもらえた。アメリカ統一教会長兼FLF理事長の肩書が効いたのだろう。
「韓国政府との関係について、タイムズ紙の記事は間違っています。統一教会は政治的な活動をしていないので、そのような情報が真実であるはずがないのです。
あなたは教会に対して誤解を抱いておられると思います。」

「フリーダム・リーダーシップ財団はどうですか?」
フレイザーは尋ねた。

注)* フリーダム・リーダーシップ財団:FLF。アメリカの勝共連合

「FLFと統一教会は、2つの異なる組織ですが、どちらも政治的なものではありません。教会は宗教的なもので、FLFは教育的なものです。両方の会長を務めている私が言うのだから間違いありませんが、これ以上の誤解を避けるために、こちらの参考文献をお読みいただけるよう持ってきました」
同伴した仲間のムーニーが、テーブルの上に本を積み上げた。

フレイザーはお礼を言って、
「私たちの小委員会の公聴会に証人として出ていただけませんか?」
と尋ねた。
サローネンは、「ええ、出ましょう」と答えた。


次の日の夜、サローネンは朴ボヒにその訪問のことを報告した。
話のついでに何気なく言ったつもりだったが、朴は噛み付いた。
「困るね、そんな勝手なことをされては」
「しかし、誤解は早めに解いた方が…、資料もちゃんと渡して来ましたし、」
「きみはまだサタンというものが分かっとらんね」
「そうかもしれませんが、きちんと話せば分かり合える余地もあるのではないですか? ですから私は今後も公聴会の証人として率直に、」
「なに、するときみは証人になるとやつらに言ってきたのか?」
サローネンがイエスと頷くと、朴は顔を紅潮させて、
「バッカモーン! 百年早いわ!」と叫んだ。
そしてすぐ、押し殺したような声でつぶやいた。
「あなたは何も分かっていないのですよ」

その後1時間以上に渡って、2人は話し合ったというか、朴が説教したというか。
米国教会長とはいえ、サローネンはあくまでも表看板に過ぎず、重要事項の決定は、文をトップに朴や金などの韓国人が下すのだった。


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江利川氏、KCIAの金を受け取る/8-13


『ムーニーvs調査員、どっちもガンバレ』からの続き



▲ 「フレーザー=ソ連の手先だった」は
  教団のでっち上げか?

▲江利川氏、KCIAの金を受け取る





   龍明小説8-13


▲「フレーザー=ソ連の手先だった」は教団のでっち上げか?


教会関係者にとって、ムーニーには不思議な味方がいた。うち一人はウォルター・ライリーと名乗る胡散くさい男で、60年代前半に妻が韓国大使館で働いていた関係で、朴ボヒと知り合っていた。
ライリーの本名は別にあり、彼は20年以上、何度も刑務所を出たり入ったりした犯罪者だった。
ナショナル報道ビルの中で「スパイ・ショップ」という電子盗聴器の販売を専門とするビジネスを営んでいたが、自分のことを主にジャーナリストだと言っていた。
ムーニーが自分を高く評価して、教会の方針に影響を与える決定についてよく意見を求められるという。


76年6月18日、CBSニュースで、統一教会がディプロマ・ナショナル・バンクの株式の約半分を所有していると報じられた。
その翌日、朴ボヒは、ライリーと教会幹部のニール・サローネン、マイケル・ラニョン、チャ・ハンジュをオフィスに集めてこう言った。
「昨日のCBS報道に関してだが、実は困ったことがあるんだ。日本、ドイツ、韓国から大量に持ち込まれた現金を使って、13人の信者の名前で銀行株を購入したのだが、もし、フレーザーが彼らの名前や役割、資金の出所などを明らかにしたら、法律違反の可能性が出てくる。トラブルになるかもしれない。どうしたものか?」

ライリーが提案したのは、ニセの約束手形を作ってみてはどうかということだった。少なくとも、13人が本物の投資家であると思わせることができる。
しかし、資金の出所が外国であるという問題は解決しない。結局、何も決まらないまま会議は終わってしまった。


ライリーは、情報を商売にしていた。彼の情報は、中には突飛な話もあったが、後に発見された証拠によって正しさが裏付けられたものもある。

彼はしばらく統一教会の秘密情報をフレーザー委員会の調査員に流していたが、鞍替えしてムーニー側についた方が得策だと考えるようになった。
フレーザーの部下は返礼においしい情報をくれるわけでもなく、かてて加えてフレーザーは共産主義に対して断固としていないと彼は思った。


ライリーは、ロシア人がフレーザーを「ソ連の情報網に影響を与えるエージェント」として特定したとポーランド情報部からの亡命者が語ったとする記事を書いて発表した。

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そうだ イエスの相対者を孕ませよう by文教祖/9-1

『江利川氏、KCIAの金を受け取る』からの続き


全米キリスト教会協議会に教義を否定される。

そうだ、イエスの相対者を孕ませよう by 文教祖



   龍明小説9-1


文教祖は憤慨していた。
「悪魔の手先は、フレーザー委員会だけではないというんだねッ」

プロテスタントとカトリック、東方正教会の主流派26教団の幹部と神学者で構成される、全米で最も代表的な超教派的組織である全米キリスト教会協議会の信仰秩序委員会が、
「文鮮明師の統一教会はキリスト教ではない」と宣言した。
その教えはキリスト教の信仰とは「相容れない」との報告書を発表したと新聞に載っていた。


「う〜む、キリスト教は、愚か者の組織であ〜る! 
 神さえもわしの支配下にあるのに、何も分かっとらんじゃないか!」

彼はその2年前に、ニューヨーク市の教会協議会へ加盟を求める申請を2度出したが、2度とも理事会で否決されていた。
1回目は2票差だったので、数ヶ月後に再び申請したのだが、実質数カ月間の内部論争の結果、2回目は31対8の大差で決定的に敗北した。

ニューヨーク協議会の会員になれたら、知名度や影響力だけでなく、ある程度の社会的ステータスを持つ名士になることができたのに。
教会側が「メンバーシップを承認しないなら、法的手段に訴えてやる!」と言ったところ、協議会は「それこそ脅迫以外の何物でもない」と反発した。
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鶴子の反撃・フェミ神学がやって来た/9-2

『そうだ イエスの相対者を孕ませよう by文教祖』からの続き



鶴子の反撃・
フェミニスト神学がやって来た!




   龍明小説9-2


龍明は貞順が身籠ったのがはっきり分かるまで、40日、いや120日間でも、彼女との性の儀式路程を続けるつもりだった。(前回より)

話はすべて秘密裏に、妻がいない所で進めたはずだが、壁に耳あり障子にメアリー、程なく妻鶴子の耳に入ることになった。

ある夜、険しい目つきをした鶴子が「その話は本当ですか」と詰め寄った。
彼女はすでに6男5女を産んでいたが、夫のこの手の計画には慣れることができない。

再臨主の種によってイエス家庭が子供を授かり、イエスの家庭的四位基台完成の実績を持って、キリスト教界に影響を与えなければならない等、適当な原理の摂理観で説き伏せようとしたがだめだった。
夫が他の女と子供を作ることは、彼女にとって心の拠り所である神の家庭の真の母という自分のアイデンティティが壊れることであり、苦痛以外の何物でもない。
周りの者のこれ見よがしな同情や、それみたことかという底意地の悪い反応も耐え難いものだ。

口論はつぎの日にも続いた。
「あなた、やめてくださいよ。
 ヤコブのように12人の息子が必要ならば、妻の私が産みます
 って、10年前の崔淳華さんの時も言ったでしょう?
 私はすでに11人産みましたよ、これからだってね。
 生まれた子が男か女かは神さまの采配です。
 それで何がご不満なんですか?
 反対ですよ。絶対に許しませんから!」

何を言ってもだめだった。
龍明の口からあからさまな男尊女卑の言葉が出た。
「うるさいッ 男が主体だ、神がそう造った。」
「おまえは子どもだけ産んどればいいんだ。」
「女は黙っとれ。男の仕事に口をはさむな。」

鶴子は唇を震わして
「こ、このままでは済みませんからね」
と言うと、乱暴に部屋から出て行った。


へへん、わからんヤツだな。やれるもんならやってみろってんだ。
だが、鶴子もいつの間にか強くなったもんだな。
龍明は思った。

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鶴子の反撃2・フェミ神学がやって来た2/9-3

『鶴子の反撃・フェミ神学がやって来た』からの続き


鶴子の反撃2・
フェミニスト神学がやって来た2





   龍明小説9-3


「お父さんがお母さんや信者たちに語った男尊女卑の言葉はもう古いし、間違っているのよ。
聖書にあるように、天地創造の最後の仕上げとして造られたエバは、アダムをも超える被造物の最高峰です。少なくともアダムに劣る、従属を強いられる存在ではなく対等なパートナーのはずでしょう?」

「だがな、結局その後に、“女は夫を慕い、夫は女を治める”、ちゃんとこうなっておるんだよ!」

「“あなたは夫を慕い、彼はあなたを治めるだろう” とあるのは、失楽園の罰としてなんだから、本来の状態とは異なります。逆に本来の状態はそうではないという証拠よ。本来はアダムに仕えるだけの存在ではないのです!」

「バカな屁理屈で力むんじゃない。堕落はエバが原因だ。エバは2度堕落した。だから蕩減が必要なのだ」

「そのことでいえば、第一、エバは取って食べるなという戒めを神から直接は聞いてません。
神がそう言われたとアダムがエバに言ったの。でもヘビの誘惑でエバが木の果を取って食べる間中ずっとそばにいたアダムは、ヘビと論争するなど何らの反論もしなかった。
そしてエバに実を勧められると、食欲に動かされて自分も食べたのよ。
それが神にバレると全てエバのせいにして責任をなすりつけたじゃないの。
アダムに何の道徳的優越性も見られません。
このような話から、男性の優位を語る理論を立てるなんて、笑っちゃうわ、ケラケラ」

「なにぃ? 天使長とエバが堕落してる最中にアダムがそばにいただって」
龍明はこう言いながらニヤニヤした。アダムはのぞき魔だったのかと茶化してやろうかと思ったが、やめた。
鶴子に、あなたと同じ趣味ね、などと娘の前で言われたらかなわん。
彼女はさっきから、イェジンの後方で、今にも何か言いたそうな顔をしている。


「そうよ、アダムとエバは『一緒にいた』と書いてあるわ、お父さん知らないの?」

「ケーーッ、トンデモ‥」龍明が言いかけると、
鶴子がいきなり「あなたッ」と叫びながら前面に躍り出てきた。
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年金て嘘つくな/古参二世の手記/9-4


信者年金基金を言い逃れに使うな。

老親を見る祝福二世の手記:

 ‥‥統一運動数十年の結果、

 文一族周辺と信者たちの間の

あまりにも不公平で非情な実情が暴かれる!





   龍明小説9-4


信者十数人の個人名を使い、外国から不法に持ち込んだお金で、ディプロマ・ナショナル・バンクの株式の半分以上を購入したことについて質問を受け、
朴ボヒはフレーザー委員会の公聴会でこう言い訳した。

「統一教会は、決して銀行を乗っ取ろうとしたのではありません。統一教会の年金基金のお金を、投資運用して増やそうとしただけなのです。
文師の指示で、71年に正式に“統一教会 年金基金インターナショナル”が設立されています。
この基金は、世界中から訪れた統一教会のメンバーの寄付によって蓄積されてきました。これらの資金は、長年無給で奉仕してきた統一教会の高齢者や献身的なメンバーに報い、将来彼らの家族のために保障を与える目的で積み立てられてきました」
フレーザー:「その“統一教会 年金基金インターナショナル”の銀行口座はどれですか?」
朴:「知りません、分かりません」
フレ:「基金の担当者は誰ですか?」
朴:「日本の石井光治です」
フレ:「書類では、あなたは石井氏から22万3千ドルを借りたと書かれていますが、そのお金は年金基金の資金から出たものですか?」
朴:「分かりません」

具体的なことを質問すると、分からない、知らない、話をずらす。
フレーザーは後に、統一教会年金基金についての朴の証言は、全く納得のいくものではなかったと書いている。


統一教会に、71年から「国際年金基金」なんてあったのか?
誰も聞いたことはなく、貰ったという人もいないだろう。
(忠誠を誓う一部の幹部は年金を貰っているとも聞くが、それは「国際年金基金」からではないだろう)


統一教会年金基金が存在するなら、当然貰ってしかるべきな両親から生まれた祝福二世の手記がここにある。
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恐ろしくも修了:フレーザー報告書の段/9-5


『年金て嘘つくな/古参二世の手記/9-4』からの続き



フレーザー調査報告書の段
 :恐ろしくも修了





   龍明小説9-5


フレーザー小委員会の調査は、朴ボヒらの強硬な姿勢のせいで、予定よりも多くの時間を割くことになってしまった。

朴ボヒの尋問の際ひどく手こずった委員長は、文鮮明の時はもっとひどい目に合うのではないかと不安になったが、多くの証拠が文教祖の関与を示唆しているため、渋々ながらも彼を尋問することにした。

まずスタッフによる非公式の聴聞の要求を出したが、文の弁護士はそれを断った。そして次のような提案をしてきた。
フレーザーらがハドソンにある文の屋敷に来て、霊的指導者の威厳を損なわない方法で会合を行うことが条件だ。それなら検討してもよいと言った。

フレーザーは、ベルヴェディアを巡礼し新メシアに謁見などには全く興味がなかった。小委員会はすでに文の召喚状を発行しており、フレーザーはそれを利用する準備をしていた。

彼は文の弁護士に、文が自発的に質問に答えることに同意するまで2週間の猶予があると伝えた。それでも彼が拒否すれば、フレーザーは召喚状を出すつもりだった。そうなれば、文は6月13日に予定されている公聴会に証人として出頭しなければならない。

2週間の猶予が切れる直前の78年5月13日、文は偽名を使ってコンコルドでロンドンに飛んだ。

状況が厳しくなり、ギリギリで国外に逃亡した‥としか思えない。
朴ボヒは、フレーザーが文の国外脱出と召喚状の期限が関係していると言ったことに激怒した。文師は以前から伝道活動をヨーロッパで行うことを計画していたのだと主張した。召喚状については、師は帰国後に裁判所で争うことになるだろうと朴は発表した。

だが文は、発表された戦いのために帰国することはなかった。フレーザーの調査が終わった1週間後の1978年11月まで、彼はイギリスや韓国など海外に滞在していた。


ムーニーに迫るのは、フレーザーだけではなかった。
韓国文化自由財団(KCFF)は、1976年以降、ニューヨークで寄付を募ることを禁止されていた。州の社会福祉委員会は、KCFFが子供救済基金のために集めた資金のうち、7%以下しかその目的に使用していないことを発見したからだ。

77年9月には米証券取引委員会が、18人の名前で銀行株購入をした件で、朴ボヒ証券取引法違反で告発した。(株売却と今後しないと約束する同意書により和解)

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鬼気迫る 英国教会長夫妻の最晩年/9-6

『恐ろしくも修了:フレーザー報告書の段』からの続き



鬼気迫る
英国教会長夫妻の最晩年




   龍明小説9-6



その2週間後の1978年5月13日、文は偽名を使ってコンコルドでロンドンに飛んだ。(前回より)

イギリス人の教会長夫妻は教祖の御出でに感激し、一行を丁重に迎えた。
教会長夫人のドリス・オルムは、60年にサンフランシスコの金永雲女史の開拓教会で伝道され、ヨーロッパ開拓に大いに貢献した人だ。教会長のデニス・オルムは68年に入会、9歳年下で、彼らは文鮮明からマッチングを受けた西欧で初の祝福家庭だった。

後に脱会した彼らの娘(祝福二世)のドナによれば、
「母は、非常に霊的な魅力があり、モデルでしかもオペラの女優」
「父は平和運動をするような真面目な人」
「両親とも、統一教会に入る前はちゃんとしたクリスチャンで、」
「初期のイギリス統一教会は本当に他者を愛そうとする真面目な教会」
だった。


文教祖は到着して1週間後に、男女の信者たちをマッチングし、ロンドンで118組の合同結婚式を行った。
オルム夫妻が関わり、直接・間接に伝道した多くの信者たちが祝福を受けた。
この頃が彼らにとって一番いい時期だったのかもしれない。

少しづつ、文鮮明の号令一下、大金集めや人数集めを最重要とするような波動が、韓国人幹部の人事と共に押し寄せてくる。彼らのような大真面目なメンバーは、だんだん中心的な位置を外されていった。

80年代後半、イギリスのトップのリーダーは首をすげかえられ、オルム夫妻は今度はアメリカに行って働けと言われた。そこで新聞社、勝共、アフリカ巡回など、責任が重いハードな仕事を与えられた。

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鬼気2:鶴子の弔辞•白マリアの悲劇?/9-7

『鬼気迫る 英国教会長夫妻の最晩年」からの続き



鬼気迫る2:
韓鶴子、故•英国教会長夫人を
“復帰されたエバ”として弔辞を送る。
白人代表、白マリアか?




   龍明小説9-7


寄付ページをクリックすると、もう少し詳しい事情が書かれてあった。

オルム夫妻が、あれだけ半生を投入した統一教会とはっきり決別したのは1990年代のこと。
当時夫は50代で妻は60代。教会の活動方針への疑義が募り、質問を続けていたら切られたというのが実状らしい。

その後、夫の故郷に帰ったが、いつしか妻はアルツハイマー病に罹っていた。夫は妻の面倒を見ながら、短時間でも働きに出ること10年以上? ついに仕事を続けるのが困難になり、家も手放した。

看病を続ける夫にも統合失調症の症状が出ていた。2人してフラフラとドーバー海峡を越えてフランスに入り、乗用車の中に寝泊りして辺りを彷徨った。

2人とも適切な判断ができず、時に訳が分からなくなって規制のある場所でもどんどん入って行ってしまう。知らずに国境を越え、ドイツの山間に紛れ込み、警察に止められ、彼らの住処のレンタカーは没収された。
そのような背景があって、「せめて路上で死なずに、きちんと埋葬をしてあげたい」という言葉が出てきていた。


(夢幻世界の彼方に精神を飛ばし、半分うわの空でヨーロッパ大陸を彷徨う白髪の老夫婦‥‥。シェイクスピア劇の現代版か? さすがイギリスだ‥‥)

いや違う。精神疾患が昂じると、現実の何気ない物事が悪意を持って迫り来る恐怖で、その場から逃げ回らざるを得ないという。本人は幻覚の対処におおわらわで、内心は「うわの空」とは正反対なのだ。

(カスタネットで歌い踊りながら、ユーラシア大陸を自由に放浪する情熱的なジプシーなども連想してしまう。)

カルメンかっ ロマンチックかっ
そんな昔のイメージ先行でどうする。
だーかーらー、現実、ロマ族(ジプシー)も大変なんだよ。

(最近、60代ホームレスの女性が移動しながら車中で生活する「ノマドランド」という映画を観た。主人公は定着するチャンスがあっても、納得できない社会生活より、思い出を抱えてノマドライフを続けることを選ぶんだね。)

だからそれとは状況が違うだろう。
まず映画の主人公はまだ健康だし、生活する車もオンボロとはいえ一応自前のワゴン車だ。オルム夫婦のレンタル乗用車とは違う。
それに映画で、山中の池にザブーンと飛び込み沐浴するシーン、あの一瞬見えたヌードの線が美しかっただろう? やはり彼女は女優さんだった。


現実は大変なんだよ、とっても大変なんだ‥‥


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南米で威張っちゃダメダメ、文教祖/9-8



南米で
威張っちゃダメダメ、
文先生





   龍明小説9-8


70年代最後の米国ギャラップ世論調査では、文鮮明氏の評判は最悪で、これまでの世論調査で最も否定反応があった人物の1人となり、彼に匹敵するのはフルシチョフとカストロだけだったという。(過去記事より)

いくら社会で評判が悪いとはいえ、彼が韓国や米国で莫大な投資をする富裕な人物になっていたのは間違いない。

それから彼は「神の名の下に普遍的な正義を広めることができる新聞社を作らなければならな〜い」と語って、76年にはニューヨークで『ニューズワールド』を創刊した。

ニューズワールド紙は、79年の大統領選が終わる前に、共和党のレーガン候補「大勝利!」と報じ、時の大統領の覚えめでたい新聞となって、文教祖の政権トップ層へのアクセスが可能になった。


80年代に入ると、文教祖の組織は現金であふれかえった。
日本の霊感商法で人々からむしり取った金を、信者たちが荷物の底に隠し入れ、税関をすり抜けて運び込むことが政府の調査でほぼバレていた。

82年には、保守系の日刊紙「ワシントン・タイムズ」が創刊された。
新聞事業は年間1億ドル以上の損失があったが、文教祖の命令一下、献金が日本信者の使命だとして、1時期は毎月100億円もの送金の要求が続いていた。

南北アメリカを繋ぐカウサ(CAUSA)という政治部門を作り、ニカラグアのコントラ(反乱軍ゲリラ)にも大量の資金を流した。
1980年に設立されたカウサは、朴ポヒがラテンアメリカの右派や軍事独裁者たちに会い、南米を回ったツアーの後に設立された統一教会の主要な政治部門だ。

メディア、政治、動産•不動産‥‥日本から流出する資金を使って 世界中で様々な事業を買収したが、後にはそのほとんどが失敗に帰したという。
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ナニコレ極秘戴冠式と歴史的人物/9-9

『南米で威張っちゃダメダメ、文教祖』からの続き



ナニコレ極秘戴冠式と
 幻想ナンチャッテ歴史的人物




   龍明小説9-9


原理講論を書いた年上の弟子劉孝元が亡くなってからは、劉の原理に則した賢明なアドバイスを受けられなくなった。(前回より)

非公開の拍手コメントにて、
「そうか、劉孝元氏がいたから初めのほうだけまともだったんですね。」
とのコメントをいただきました。

劉氏は天才的に頭が鋭かったそうですから、悪気なくズバリ原理で突っ込まれたら、文教祖も内心怖かったのではないでしょうか。
氏は、文教祖の血分けを容認していましたが、他の信者がそれを実践すると厳しく諫めていました。
氏が70年に亡くなってから、教団に疑問を持つ氏の従兄弟たちや古参の信者仲間がごっそり抜けて、文教祖に多少なりとも物申すことができる人物は激減したとのことです。

ある意味目の上のたんこぶが無くなった龍明は、羽目を外し、自分をうんと高い台座に登らせて、誰もが頭を下げるのが当然だと偉そうに話すようになっていった。(前回より)


異議を唱えられる恐れから解き放たれたような文鮮明先生であります。




「文鮮明は自分と妻の韓鶴子を、世界皇帝と世界皇后として戴冠させた」

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(これは後の戴冠式の写真。1985年の「皇帝」戴冠式のものは入手できなかった)


ホン・ナンスク著『In The Shadow Of The Moons』より抜粋。
洪蘭淑 著『わが父文鮮明の正体』(1998年)


「文牧師は1985年8月20日に(牢獄から)解放された。...」

イーストガーデンでは、お父様が刑務所からではなく、世界巡回の講演旅行から帰ってきたかのようでした。昔のリズムが戻ってきて、朝食時のテーブル会議が復活しました。
しかし何かが違っていました。出所後、ベルヴェディアで行われる文師の聖日説教には、明らかな変化が見られました。

次第に神について語ることが少なくなり、ますます自分自身について語るようになったのです。
単に神の使者としてではなく、ある種の歴史的人物としての自分という幻想に執着しているようでした。

私は、以前は霊的な洞察を求めて彼の説教に熱心に耳を傾けていましたが、今では心が落ち着かず、あまり興味を持てなくなってしまいました。
 
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こんなカウサ(CAUSA)はイヤだ!ボリビア コカイン•クーデターに動員/9-10



こんなカウサ(CAUSA)はイヤだ!

ボリビア コカイン•クーデターに動員




龍明小説9-10



カウサ(CAUSA、南北アメリカ社会統一のための協会連合)は、朴ポヒ氏がラテンアメリカの右派や軍事独裁者たちと会合しながら南米を回った後に設立された統一教会の主要な政治部門だ。(先々回より)


文鮮明教団は、冷戦時代に共産主義に対抗する政治的手段としてCIAに選ばれた。
彼らの目的は、世界レベルで敵対する両陣営間の平和を実現することだ。
そのための戦略は何かというと、それは非常にシンプルで、反対勢力を潰し、破壊し、滅ぼすというものだった。
文教祖は、この “平和政策” を全面的に採用した。

「敵陣営は大いなるサタンである!」
彼はファシストやネオナチたちと一緒に、世界反共同盟(WACL)やカウサ(CAUSA)を設立し、中南米の極右軍事政権と結束していった。


その頃、南米のボリビアでは、民主的な選挙で選出された左派政権が、血まみれのクーデターによって転覆された。
その後麻薬が蔓延ったので、コカイン•クーデターと呼ばれるそのクーデターは、逃亡ナチの戦犯や麻薬マフィア、そしてWACLやCAUSA(文鮮明の組織)が、一緒になって大きく関わっていたことが、2010年の米国国立公文書館(NARA)の情報公開で明らかになった。

なぜナチスの戦犯が南米のクーデター関わっていたか。
アメリカ政府は、第二次世界大戦後、ナチスなどの右翼イデオロギーよりも、ソ連や社会主義のほうを大きな脅威と判断した。それで、何人かのナチ戦犯を保護し、訓練された専門家としての彼らの能力を反共産主義の諜報活動や国家テロ活動に利用しようとした。

(同じ計画は占領下の日本にもあった。笹川良一は戦後、戦犯として投獄されていたが、日本の左翼勢力との戦いに協力してほしいとの米軍情報部の要請で、児玉誉士夫とともに釈放された。2人とも日本統一教会草創期の基盤づくりに大いに関係している)。

コカイン•クーデターで中心的役割を果たしたのは、フランス占領時のナチス長官で、大勢のフランス人を残酷な拷問の末に殺した“リヨンの屠殺人” と称されるクラウス•バルビーだった。

フランスの戦犯検察の目をくらますため、アメリカ政府は彼に偽名の身分証明証を与え、南米に逃亡させた。以来、南米がバルビーの工作活動の“任地”になっていた。


1980年、バルビーはボリビアの諜報機関での地位を利用して、軍の指導者と有力なコカイン密売業者6名の同盟を組織した。そしてネオファシストの外人部隊を雇ってクーデターを起こし、ボリビアの民衆が選挙で選んだ左派政府を転覆した。

また、バルビーは、統一教会の文鮮明と協力し、ボリビアのクーデター政権とも協力して、南米での反共活動を組織したという。
統一教会とボリビアのクーデター(政権)との具体的な関わりは「その2」に書くとして、「国際的批判を呼んだ」残虐非道なコカイン•クーデターとはどんなものだったかを見ていきたい。

これらの内容は、米国国立公文書館の情報公開を受けた米国ジャーナリスト複数の記事からです。(巻末の資料参照)
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嘆きのカウサ兄弟「関わらなきゃよかった」ボリビア・クーデター/9-11

『こんなカウサCAUSAはイヤだ! ボリビア コカイン•クーデターに動員』からの続き




「関わらなきゃよかった」ボリビア・クーデター
嘆きのカウサ兄弟



80年代〜90年代、
「ついに、最初の国家復帰がなされそうだ!」
と教会から何度も聞いたことはありませんか?
「アフリカの 南米の 南アジアの どこそこの
聞いたことのない小さな国で 政界のトップ層が復帰され
信じられないほど 摂理がバンバン進んでいる!」
でも、しばらく経つと、いつも、
「あそこは政変が起こって、すべての基盤が無に帰した」
となるのでした‥‥

以下は全く語られることのなかった悲惨な一例です。
当時のカウサ責任者の食口トム・ウォードの「関わらなきゃよかったんだ」という心の叫びが、人類の集合無意識に鳴り響きます。





   龍明小説9-11



こうして、元ナチスの逃亡犯に組織されたコカイン•クーデターの勝利により、民主的な選挙で選出された左派政権は倒れ、ボリビアには麻薬密輸業者(麻薬王)に恩義のある右派の軍事独裁政権が誕生した。

早速、文鮮明の右腕の朴ポヒが、新政府樹立の祝賀のために山岳地帯の首都ラパスを訪問し、
「私は世界で最も標高の高い都市に、尊父•文師のために玉座を建てた」
と宣言し、新政権のガルシア・メザ大統領と会っている写真を発表した。

その後のボリビア政府や新聞の報道によると、文の組織がクーデターの準備に約400万ドルを投じたという。
ボリビアのWACL代表も重要な役割を果たし、文の反共組織の1つであるカウサは、ボリビアのクーデターの有力者のほぼ全員を会員として登録していた。
(ここまでの内容は前回より)

クーデターの後、逃亡ナチスのクラウス・バルビーに勧誘されたネオ・ファシストの部隊はやることがなくなったが、ボリビアの主要なコカイン王を守り、国境まで麻薬を輸送するという新しい任務を得た。
彼らは新内務大臣と共に「我々はアメリカの国境をコカインで溢れさせる」と自慢したという。

麻薬王たちがボリビアでの勢力を強めるにつれ、文鮮明の統一教団もその存在を拡大していった。

「カウサ」は、国全体で政治的な布教活動を始めた。
ボリビアの情報機関の報告書によると、5万冊の統一教団の本が米空軍機でラパスに運ばれたという。
思想的な啓蒙とともに、武装教会のための反共人民軍の教育も始まった。


ボリビアの文鮮明グループのリーダーは、アメリカ人信者のトーマス(トム)・ウォードだった。
いつも祈りにふけっているような青白い偏屈な禁欲主義者と表されている。統一信者は外からはそう見えるのだなと面白い。もっとも南米の荒くれクーデター関係者からすれば、西洋人は誰だってそのように見えるのかもしれない。



ドイツのジャーナリスト・ヘルマンの報告によると、1981年の初めには、CAUSAのリーダーであるトーマス・ウォードが現地に到着していた。クーデターを起こすために派遣されたアルゼンチンの諜報員アルフレッド・ミンゴラ中尉は、ウォードをCIAの給料係と表現しており、ミンゴラの1500ドルの月給はウォード代表のCAUSA事務所から支払われていたという。[CAIB、1986年冬号]


戦犯のバルビーとトーマス・ウォードは、よく一緒にいるところを目撃されている。ある時は一緒に祈っているような姿が目撃されたという。(ナチスにも「一緒に祈りましょう」。伝道熱心かッ)


文氏の組織は、ボリビアで新たに得た影響力を誇示し続けた。1981年5月31日、ラパスのシェラトンホテルの「自由の殿堂」で、文が主催するCAUSAの大会が開かれた。

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ソ連崩壊、虚しいメシア宣言、冷戦バブル崩壊で影響力しぼむ/9-12

『嘆きのカウサ責任者「関わらなきゃよかった」』からの続き



ソ連崩壊、虚しいメシア宣言、
 冷戦バブル崩壊で影響力しぼむ





   龍明小説9-12



さて、南米初の麻薬国家となったボリビアの産業は廃れ、世界の最貧国となって久しい。

しかし、文鮮明の組織は、コカインクーデターの代償をほとんど払っていない。
コカイン・クーデターに関与したことによるマイナスの影響をほとんど受けなかったのだ。

時は80年代、レーガン政権。
武器産業や日本の霊感商法から無限ともいえる資金を手にしてい文教祖は、それを気前よく使ってワシントンの共和党新政権にアピールするようになった。

保守系政治会議に資金を提供したり、超保守系新聞『ワシントン・タイムズ』を創刊したり、共和党の有力者たちの活動に連帯する組織を作り上げた。
並行して南米での政治経済基盤の構築も進めていった。

米国の首都ワシントンでは、文教祖の右派ネットワークが拡大した。
南米ウルグアイの首都モンテビデオは、教団所有の高級ホテル、銀行、豪邸などが立ち並ぶ「ムーンテビデオ」と呼ばれ、パラグアイやブラジルにも広大な不動産を購入した。

そうこうしているうちに、「ベルリンの壁」が崩壊したとのニュースが飛び込んできた。
ソ連の管理下にあった東ドイツと西側民主主義下の西ドイツとの間に築かれたベルリンの壁は冷戦の象徴と言われていた。

これはいよいよ、教団の教義書『原理講論』の「第三次世界大戦」の項に書いてあるように、民主と共産、2つの世界の闘いが終結する時が近づいたようだ。

勝つのはもちろん、文教祖のいる天の側の民主世界であって、サタン側の共産陣営は滅びるのだ。
そして民主世界の中から再臨主を中心とした神の国が出現し、復帰摂理では、世界はその神の国に統合されて1つになってゆくはずなのだ。
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