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龍明小説6&7の記事 (1/1)

「君は弱小セックスカルト教団の教祖のまま消えてゆくのみだ」/6-1

協力しないなら、君は
   貧国の弱小セックス・カルト教団の教祖のまま、
          世間に断罪されながら消えてゆくのみだ」




  龍明小説6-1



文龍明は1955年7月4日に逮捕され、連日取り調べを受けていた。

2か月ほど経った頃のある日、いつもと違う場所に連れて行かれた。
そこは取調室というより、客室か重役会議室のような高級感があり、窓側に濃い色のスーツを着た男が座っていた。
精悍だが神経質そうなその男の前には、分厚い資料の束があった。

男は氏名を確認した後、
「これが、君たちの創立した “世界基督教神霊協会” の表向きの教義だ」
と言って、資料の1枚目の紙をよこした。

紙にはこう書いてあった。
1) 唯一の創造主は、父なる神のみ
2) 神の独り子イエスは、人類の救世主である
3) イエスの再臨は、朝鮮でなされる
4) 人類は、再臨の摂理を中心として一つの統一された家族となる
5)最終的な救済は、善を立て天の王国を創建し、地獄と悪を撤廃することにある

それは昨年、統一協会を団体登録した際に、政府に提出した教義報告書と同一の内容だった。


「よくできている。すばらしいね」
と男は言った。が、鋭い目をしてこう付け加えた。
「だが、我々の所には、こういう報告も上がっている」
そして抑揚のない声で、資料を読み上げ始めた。

「当該教団は、
以下のような別の信条の信奉および実践を秘密裏に行っている:
イチ、
創立者である文は、イエスの再臨である。
ニ、
信者は、血の浄め、血分けとして知られている儀式に参加することにより、霊の体を受け取る。
それは女性が文教祖と性行為をし、男性はその女性と性行為をする儀式である。
血の浄めについてのこの考えは、イブが蛇と淫行をおかし、我々子孫すべてが蛇の血を受け継いだという教えから来ている。
サン、
秘密とされる教理は聖なる契約であり、聖書より重い価値をおく。
シ、
血の浄めの儀式を経験した会員は、罪のない子孫を生むことができる。
ゴ、
創立者である文には原罪がない。
‥‥どうだ?」
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韓国政府筋との裏取引・暴露・銃製造/6-2

「君は弱小セックス・カルト教団の教祖のまま消えてゆくのみだ」/6-1 からの続き



   ―韓国政府との裏取引
          その小説的暴露ー

  「銃器製造の身入りは桁がいくつも違うことだろう」





     龍明小説6-2


「だが希望はある。君は、朴泰善(パクテソン)長老を知っているかね?」(前回より)


キリスト教長老派の朴泰善長老は、当時復興会で何万人と人を集める、有名な牧師だった。

むろん龍明もその存在は知っていた。
ーー俺だってあれくらいの説教はできるし、キリスト教さえ俺を認めてくれたら、あんなもんじゃないんだが。
と思っていた。


軍情報部の男は言った。
「あの朴牧師は、動乱前に、血分け・混淫の科で服役していたことがある。
北から来た女血分け師の弟子だったのだ。君と同じじゃないか」


動乱前といえば、重婚罪で北のフンナム収容所に収監されていた頃で、その件は知る由もなかったが、それ以前に龍明と袂を分かった丁得恩女史はその後南下し、ソウルの三角山に祈祷院を建てたと聞いていた。

ーー長老派の朴牧師が、まさか、あのばあさんの弟子だったのか?


男は資料に目を遣りながら続けた。
「49年に血分けが世間にばれて問題化し、丁という女教祖も有罪になった。
だが朴泰善は出所後、血分け教団とキッパリ縁を切り、血分けを否定した。
ほどなく韓国動乱が起こり、人々の頭の中からそんなことは吹き飛んでしまった。
休戦後、朴は、西洋肝入りのキリスト教の中で、長老にまで取り立てられ、メキメキ頭角を現していった」


ーーやっぱりそうか。
どおりで、言ってることが普通のキリスト教とはちょっと違う。
だがそうだとすると、やつは俺の後輩じゃないか。
若輩者がうまくやりやがる。とんでもハップンだ。
負けてたまるか。
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血分けメシアのライバル出現ー悔しいじょ〜/6-3

「韓国政府との裏取引 その小説的暴露」からの続き



     血分けメシアのライバル出現
                 ー悔しいじょ〜




   龍明小説6-3



朝鮮メシアの借り物競争にて、朴泰善に大きく遅れをとったのだから、龍明、ひたすらくやしいのぅ、くやしいのぅ。(前回より)


文龍明は平壌で、女教祖の丁得恩から性儀式を授かり、聖なる血を分けてもらったが、その後喧嘩別れになった。
龍明と決別後、丁女史は1947年5月、単身で北から南へ越境し、ソウル北部の三角山に住居を定め、青年男女に[血分け]の教理を布教していた。
その中の1人に朴泰善青年がいた。

朴泰善は丁教祖を熱烈に支持し、自分の家を混淫(血分け)を行う場所として提供した。
信者たちは、丁が立ち会って祈りを捧げている所で〈血分け〉の儀式を行ったという。
それは47〜49年、朝鮮戦争以前の話である。

        *

55年、ちょうど龍明が梨花女子大事件でソウル刑務所に収監されている頃、
巷では、キリスト教長老派の大復興大会が開かれ、群衆が各地から続々と集まってきた。
様々な病気を抱え、癒しを求める者たちが大勢参加した。

朝と夕には、高名なスワンソン博士が聖書解説の講演を行ない、早朝と午後には、朴泰善牧師がリズミカルに手を叩きながら、癒しの霊的役事を導き、讃美歌を高らかに歌った。

その役事の最中、朴は「国家救済のための祈祷院建設にご協力を!」と言いながら信徒たちの間を巡り、金の指輪、腕時計、現金その他貴重品をごっそり集めた。

会合中に集められた財物は、朴泰善がすべて横領したと金ホアン牧師は証言している。
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モテ期去る オッサン教祖とスマート朴普煕/6-4


血分けメシアのライバル出現ー悔しいじょ〜/6-3 からの続き



 モテ期去る
   オッサン教祖と
      スマート朴普煕





    龍明小説6-4



文ノ龍明は、梨花女子大事件の刑務所で、軍の情報関係だという人物から「血分けとやら、それだけはやめろ」と忠告されたが、だからといってサッと止めるわけにはいかなかった。
(参考「君は弱小セックス・カルト教団の教祖のまま消えてゆくのみだ」/6-1) 


もうずっと前から物語はできているのだ。自分はモーセやイエスから使命を受け継ぐ中心人物となって、世界を救う物語の主人公として実践行動しなければならないのだ。

210名の女性を、血統問題の条件で、神に捧げる7年路程の摂理の最中なのに、途中で止めてしまうわけにはいかない。
(参考「50年代・処女と人妻 何百人もの秘密摂理/番外編4-10」)


とはいえ、この路程が終わった後なら考えてもいいーと龍明は思った。

ーー最近、さすがに辛い時がある。
好きでもない女と血分け、つまりセックスを、毎晩のようにしなければならない辛い立場の“人類の聖なる父”、このお父様であるよ。
それをさせねばならない神の事情を考えたならば、また涙が出てくるというんだね。

それに最近、女たちの反応が昔に比べると芳しくない。
こちらを見つめる彼女らの、憧れでキラキラした目を見る機会が、いつの間にか減ってきたように思う。


30半ばを過ぎ、40歳に近くなり、壮年のエネルギーに満ちてはいたが、見映えに関しては、いつまでもハンサムな美青年風ではいられない。

多分35歳あたりが境目だったろう。
ほんの少しずつ、脂ぎった中年臭さのようなものが、時にまだらに、彼の容貌の上に出たり入ったりしながら、次第にそれが定着していった。

新しく取り巻く女たちは、敏感にそれを感知し、血分けへの熱狂は一時に比べると徐々に潮が引いていくような状況にあった。
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銃はビンビン・フラれた教祖/6-5


「モテ期去る オッサン教祖とスマート朴普煕/6-4」からの続き



    銃はビンビン・
        フラれた教祖





   龍明小説6-5



ある時、軍人将校の食口の1人が、茶色い大きな紙包みを抱えて、龍明のところにやって来た。
「関心があられると聞いたものですから」
言いながら、包みを解くと、使用感ある銃器が現れた。

「こちらはエア散弾銃、あとこちらが小銃で‥‥」
一通り操作を説明した後、
「出まわる前の米軍の放出品ですが、先生に献品しますので、分解でも何でもご自由になさってください」
と言って帰って行った。


彼は帰り際に、
「金課長が、先生によろしくと申しておりました」
と言い残して行った。

「金課長」とは、数年前獄中で面談したあの情報部の男で、名を金鐘泌(ジョンピル)といい、その後入教した将校信者を通して知ったことだが、今は陸軍情報参謀部の企画課長であるらしい。
金鐘泌と龍明は、将校信者たちを通して緊密に繋がっていた。


軍人食口がいなくなるやいなや、その場にいたカメラマン幹部信者の劉孝敏が早速、ライフル型の銃を手に取り、しきりにカチャカチャと音を立て、いじくり回していた。

技術に強く、器用で有能だった劉孝敏は、銃の研究を続け、数ヶ月後には新式の空気銃を発明した。
それは鋭和散弾銃と名付けられた。

龍明率いる教会は、将来の韓国軍への供給も見据えて、鋭和散弾銃製作所を設立し、独自製造に乗り出した。
そして1959年12月には、政府の最初の認可を受けることになる。
統一重工業の始まりである。

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悪(ワル)の諸行無常ー3母女摂理回想/6-6


「銃はビンビン・フラれた教祖/6-5」からの続き



    3母女摂理 回想ー
       悪(ワル)の諸行無常




   龍明小説6-6


おもむろに、寂しい聖歌を歌い始める文教祖であった。

♪ こどくなー みすがたでー
   さきがけー 主はイカーレた‥‥


崔家に投入した7年が、未練がましく思い起こされた。
最初に婦人部長の呉永春が崔夫人を教会に連れてきた。

夫人は李得三という名前だった。
「得三‥‥、三を得るとは、実にすんばらしいお名前です」
と文教祖は言った。
「聖書に、“生めよ、増えよ、地を従わせよ” とあるでしょう?
 あれは神が人間に与えた三つの大きな祝福です。
 しかしアダムとエバの堕落のせいで、世界は未だその祝福を実現できていません。

「そこで、崔夫人、あなたの登場だ。
 ♪ アナタのお名前、なんてーの? ア・ソレッ
  李の得、三つと申します、ソレ・ソレ・ソレッ
 という具合で、霊界が歓喜で騒いでいます。
 まるで奇跡のようなお名前だと。
 あなたは、神の三大祝福を得ることができる重要な中心人物なのです。
 あなたの家庭を通して、それは実現するのです」

長い期間をかけて、龍明は夫人を説得していった。

まずは夫人の聖別だ。血統転換の性儀式、これ一択。
再臨主の清く聖なる血を初めて崔家に入れる象徴ともなる実体儀式だ。

年頃の娘が2人いる得三夫人の年格好は、オクセヒョンや呉永春、その他多くの取り巻きの婦人たちと同じようで、龍明がもっとも得意とする領域だった。
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花嫁も決まらない約婚式・韓ハクジャではエキサイトしない/6-7

「悪(ワル)の諸行無常ー3母女摂理 回想/6-6」からの続き



 花嫁も決まらない約婚式に向けて・
    韓ハクジャではエキサイトしない証
               あの人頑張り過ぎ




   龍明小説6-7


(前回より)
 喜びを求める衝動、これすなわち神の心情なり!
 神は復帰を願っておる!

「わ〜〜っ淳華〜 ダァ〜〜ッ」龍明は突進した。
そして小柄な彼女を掴んで事を推し進め、半ば強引に復帰を成し遂げてしまった。
(ここまで)

このようにして7年も準備した結果、富豪・崔家の摂理は、淳華の姉の淳実が龍明との婚約解消・離教することによって、バラバラに空中分解してしまった。

また時を同じくして、数年前日本に密航させた金明姫、崔淳実と大親友だった金明姫が、幼い息子と共に帰ってきたらしいのだが、龍明に会おうとせず姿を隠している。

 ーどいつもこいつもだ。
 誰か裏にいるのか?
 崔の父親が陰で糸を引いているのかもしれない。
 淳華だってどう転ぶか分かったものではない。
 ヤコブの路程に倣うなら、子羊の婚宴が必要だが、時が迫る中、花嫁が誰もいなくなった。

龍明は疑心暗鬼になり、陰謀論に陥ってしまった。

 ーああ受難だ、受難だ、これは生涯最高の受難期だ。
  人々は反対し、弟子たちは離れて行く。
  原理的に恐ろしいほど打たれている。ああ!

「先生、どうかなさいましたか?」
霊能婆さんのチスンドが声をかけてきた。
「ああ、チ〜さんか。うん、そうだ‥」
「いつもに増してお顔が暗いですよ。何か心痛がおありでは?」
「チ〜さんや、チ〜ハルモニ、何は無くともチ〜ハルモニだというんだね。そういえば、平壌の子羊の婚宴式の時も途中でサタンが入ったな。おかげでフンナム送りになったのだ。あの時、儀式の采配を振るったチ〜さんは、うまく逃れてよかったな」

「先生、何がおっしゃりたいのですか」
「うむ、今回も頼みたいのだ。今度こそ本物の子羊の婚宴だ。来年早々、私が40歳になったら、約婚式と聖婚式だ。式の準備を万端頼みたい」
「承知しました。いよいよその時が来られたのです」
平壌教会時代からの重鎮信者のチスンドは重々しく宣い、
「ではお相手はあの方なのですね‥」
と確認した。早速ドレスのサイズを計らなくてはならない。
当時、教祖の結婚相手が崔淳実であることは主だった信者の間では周知の事実だった。

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恐ろしい按手致死事件と約婚の成立/6-8


花嫁も決まらない約婚式・韓ハクジャではエキサイトしない/6-7  からの続き


  恐ろしい
    按手致死事件と
       約婚の成立
         エサウの路程?(笑)
 




   龍明小説6-8


前回より:
「洪順愛夫人の娘、ハクジャさんの占星占いが非常に良いのです、先生!」
と呉夫人が報告すると、龍明はムッとしたように、
「それが何だというんだ」
彼はプイと部屋を出て行ってしまった。


ーー洪順愛だと? 以前あいつは嬉々としてこう言った。「統一教会の原理は腹中教と同じことを言っていますね」。純粋な目をして、のうのうと人聞きの悪いことを言うやつだ。反対派に聞かれたらどうしてくれる。

洪順愛夫人は、10代の頃から李龍道牧師の新イエス教会で信仰し、ヒッピー風イエス・キリスト黄ククジュ師の弟子を経て、すべての神霊集団を渡り歩き、56年に龍明の統一教会にたどり着いた。

霊能はあるようだが、丁得恩のように自分のグループを作ることもなく、父親のいない一人娘を祖母に預け養育しながら、地道な修道生活を続けてきた人だ。

度々の断食祈祷や生食のせいか、ガリガリに痩せて、窪んだ目が鋭利に光っていた。
持ち前の信仰心で龍明教祖を“来たるべき主様”として奉っているが、その大きな目に見つめられると、龍明は霊的に見透かされるような何か恐ろしいものを感じるのだ。


彼女は57年に春川統一教会で起きた「按手事件」の当事者の一人だった。
その頃、親が教会に連れて来た精神を病んだ17歳の少年がいた。
彼を治そうと、身体を叩く按手祈祷セッションを行ったところ、少年が死亡してしまった。

洪順愛は2人のハルモニと共に起訴された。
彼女らは傷害致死の罪に問われ、有罪となり、2年2ヶ月の刑が科された。

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「真の母」危うし/そういう意味での“家族”?/6ー9


恐ろしい按手致死事件と約婚の成立/6ー8からの続き



   「真の母」危うし/
     そういう意味での“家族”?





   龍明小説6ー9



2か月後の59年12月、焦った龍明は、ついに洪順愛夫人を呼び出し、
いつものぞんざいな口調で
「おまえの娘を連れて来ーい」と喚いた。

それから彼は、全ての神霊集団を渡り歩いたシングル・マザー洪夫人の17歳の娘、亀子とお見合いをし、年が明けて話はどんどん進んだ。

若輩の亀子に原理教義やその他の教育を施すために、元梨花女子大教授の崔元福女史が任命された。
この崔教授は、例の事件当時、夫と子供を捨てて文龍明教祖に献身し、大学を免職になっていた。
「箸の上げ下げに至るまで、仕込んでやってくれよ」
龍明は彼女に言った。


亀子との血統転換の性儀式は、いつものやり口で前倒しにした。
「こんなに歳が離れているから、おじさんのように思えるかもしれないが、わしは啓示があった理想相対なのだよ。神の摂理で、今この時、婚姻の実体儀式をしなくてはならない。そのことについて神様によーく祈ってみなさい、ホレホレ」
と亀子の尻を叩いて決心を促し、用意周到に早めに済ませてしまった。



そしてようやく春めいた頃、李長老が洪家にやって来て、
「大先生が重要な啓示を受けたから、すぐに来てください」と亀子に伝えて行った。

いよいよ聖婚式のことかしらと、亀子がウキウキして出向くと、龍明は難しい顔をして口を開いた。

「再臨主の子羊の婚宴の前に、3弟子を立てなければならない。
 3家庭を組み合わせて、祝福結婚させねばならんのだ」

「どなたか、決まらないのですか?」

「いや、占星術の易者に相談して組合せはほぼ決まっておる。
 だが亀子、お前はそんなことに口出ししなくていいぞ。
 私は救い主として、女3弟子を罪の血統から救ってやらねばならない。
 神の血統の種を持つ者として、女たちの原罪に穢れた子宮を浄める儀式を行うことになる。
 そこでお前は立会人として、天使長の立場を通過しなければならない」

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始まったか夫婦の戦い 亀子vs龍明/6-10

「「真の母」危うし/そういう意味での“家族”/6ー9」
からの続き



 いよいよ
   始まったか 夫婦の戦い
          亀子vs龍明




  
    龍明小説6-10




3家庭候補の高弟子たちとの性儀式を文教祖から指示されて、「3日間だけ待つ。よく祈ってみなさい」と言われた亀子。


それまで通っていた衛生看護科の高校は辞めたばかりで、この結婚がなくなったらもう行き場がない。
このまま拒否して文教祖に捨てられたらと思うと恐怖だった。
熱烈な信者である母親もどれだけがっかりすることだろう。


亀子は自分に言い聞かせるように考えた。
ー こんなこと、ふつうの結婚ではないわ。
それが神の摂理だというのかしら。
そういえばお母さんもふつうの結婚はしていない。
信仰で結婚し、女性としての幸福は犠牲にしたということね。
神の啓示に従って私が生まれたと言っていたわ。
だから私には神様以外のお父さんはいないのだと。
文先生、あの方も、これは神の摂理だと言っていた。
神様の啓示で摂理でないならば、このようなことは判断できないことだから、さあ無私になって祈ってみましょう。

そして常日頃祈る母親の姿の真似をして、神憑り的にヒステリックになって祈ってみた。
すると何か変な霊界に通じたのか、何なのか、
「神様のみ意が何であったとしても、神様の摂理の目的がどのようなものであったとしても、私はあなたのしもべとして、どんなことでも命じられるままに従います!」
という心境になってしまった。

    ***

「そうか、決心してくれたか、カン亀子‥」
龍明は嬉しそうにニカニカしながら言い、
「ああ、カン亀子が、朝鮮に生まれたのだなあ」
と意味不明なことを口走って、すぐ出て行こうとした。

「でも1つ条件があります」 亀子は言った
「お?」
「こういうのは今回だけですよ」

「ああそりゃそうだ、3家庭は特別だから今回だけ、分かった分かった。
これから先、祝福家庭はどんどん増えるだろうが、それはそれ、わしが復帰のプログラムを考えよう。
今だってあと30組以上が順番を待っているんだが、カン亀子は今回だけ。以降はもったいないと。もちろんだ、任しとけ。
わしが霊的な世界のプログラムをすべてそのように組み立てて、復帰の道はこのように行くのである!と全世界に宣布してみせようぞ」
彼は新妻の前で格好付けて見せた。

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3弟子の実体儀式とは・亀子泣く/6-11

「始まったか夫婦の戦い 亀子vs龍明/6-10」
からの続き



   3弟子の実体儀式とは・ 
         再び亀子泣く




   龍明小説6-11



ついに、カン亀子主宰の儀式の日がやってきた。

3弟子が集められ、その場の全員が白いキモノ風の礼服をまとっていた。

まず龍明教祖がみ言を語った。

「すべーてはエデンの園、失楽園から始まった。
思春期のエバを天使長が誘惑し、性的関係を持った。
霊的に堕落したエバはアダムを誘惑して、彼らは悪なる夫婦となった。
そこから生み増えたすべーての人間は、天使長の血を引く堕落人間なのであーる。

「そこで人類の代表たる3人のきみたちは、悪なる天使長の立場であったが、再臨のみ言を聞いて受け入れ、今や愛するエバを真のアダムである再臨の主に捧げ、神側にお返しした条件が立ったのであ〜る。
つまり、悪なる天使長から善なる天使長の位置に戻ったというんだね。

「どや、きみたち、愛するエバを再臨主に捧げた実感はあるの〜ないの。
実は先般の女たちの儀式で、先生はもう、いただいてしまっておるよ。
今、きみらの妻は3人とも、先生に夢中になっておるというんだね。
キルジャなんかは、寝ても覚めても、先生、先生、お父様、お父様で、
先生は困っておるよ、大変だよ、おい劉孝元、聞いとるのか? あ‥

亀子が凄い目付きで睨んでいるのに気がついた。

「あ‥ えー オホン、であるからして、本日は、きみたちを僕である天使長から、神の子女である人間アダムに生み変える儀式を行う。
真のお母様による子女復帰の儀式だ。

「本日ここにいるカン亀子は、若いからといって軽く見てはならない。
メシアの妻であり、真の母となる位相である。
ヤコブにとってのラケルであり、イエス様の聖母マリアと思いなさい。

「堕落は父である神の目の届かないところで起こったから、復帰の今日はそれを元返さねばならない。
わしの隣にいるのは、おなじみ崔元福だが、この方はレアのお母様、第二のお母様だ。
わたしらが真の父母の立場で立ち合い、司式を務める。
さあ、父母の前でやるんだ!」

亀子は肩を落とし、ハァ〜と大きくため息をついた。
それから、教えられた通りに、真の父母(仮)の前に立ち、一礼し、踵を返して3弟子の方を向いた。

まず、アダム型家庭の金ウォンピルが進み出て、亀子の前にひざまずき頭を垂れた。
亀子は母の威厳をもって弟子の頭上に手を置き、教えられた祈りを唱えた。

メシアの「新しい花嫁」という立場を与えられたことへの感謝の祈りから始め、
「天使長の立場にあるこの者が、この儀式によって罪のないアダムとして生まれ変わり、復活しますように。アーメン」


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聖婚式と軍事クーデター以後/7-1


3弟子の実体儀式とは・亀子泣く/6-11 からの続き



 聖婚式と軍事クーデター以後
   世間からは相変わらず嫌われものだったが
     統一教の運勢はグッと上がったように見えた




   龍明小説7-1




後々、龍明は、崔元福夫人との寝物語に、
「幼い亀子にはわるいことをしたよなあ‥」
ともらしたということだ。(前回)


こうして3弟子の儀式も無事終わり、1960年の4月11日(陰暦60年3月16日)文ノ龍明と韓亀子は晴れて聖婚式を挙げた。
この時は、挙式のみで入籍はしてもらえず、亀子は心にポッカリ開いた穴の中に(文鮮明のケチ〜!)と叫び、それを心の奥深くに埋めた。

5日後の4月16日には、弟子たち3組の結婚式が合同で行われた。


さらにその1年後に行われた祝福合同結婚式33組の弟子の家庭では、真の母 亀子が3組の儀式で行ったパートを、文教祖から性儀式を直接受けた花嫁自身がそれぞれの夫と行なうものとした。

62年の72組、63年の124組も同様だったが、文教祖の直接性儀式はきっちり全部の妻が受けているわけでもなかった。
中には雰囲気の合わない女弟子もいたし、歳のせいか龍明もだんだん面倒くさくなって、虫食い状態のままケンチャナヨ〜になっていった。

「この先もっと信者が増え、海外進出も視野に入れると、これではさすがにまずいでしょう」
総協会長の劉孝元が言った。

そこで文龍明は頭をひねり、「聖酒」という概念物を発明した。
(酒屋で買ってきた安価な赤ワインに、彼が直接儀式で流す体液が入っていると言われている)

ーー合同結婚式で、花嫁全員に「聖酒」を渡して飲ませればいい。
聖酒式は性儀式の象徴である。
それにより花嫁はメシアの相対となり、40日間は夫婦生活をせず、聖別期間とする。
その後の3日行事で目出たく夫が重生(新生)し、罪の無い家庭が出発するのだ。

これが人類の罪を拭う救いの道である。どう、俺って天才でしょ?
と神に尋ねてみたが、神様は2回とも「違う!」と否定してきた。
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朴サマは国際スパイ? アメリカ統一教会設立/7-2

聖婚式と軍事クーデター以後/7-1からの続き


      
   朴サマは国際スパイ?
       アメリカ統一教会設立(東部)




Gifts of Deceit:
キャプチャg1
を参考にしています



龍明小説7-2



ーー知り合う人は皆伝道対象者だ。
ーー自宅で社交の集まりは、原理学習のグループにならないものか‥(前回)

朴ポヒが1961年にワシントン大使館に赴任したことは、アメリカで宣教活動をする貴重な機会となった。
彼のアメリカでのムーニー活動は、非常に重要な意味を持っていた。

その頃朴は、民間航空のパイロットのロバート・ローランド夫妻と知り合い、教祖文鮮明との繋がりを一切口に出さず、根気よく彼らと交遊を深め、親しくなっていった。

ある時、ローランドが朴に聞いた。
「大使館付きの武官とは、どんなことをしてるんだい?」

「日常の外交業務に加えて、韓国とアメリカの情報機関の連絡を担当してるんだ。それでメリーランド州のフォートミードにある国家安全保障局なんかもよく訪問するよ」
朴は大使館の諜報員としての役割について率直に語った。

「チョ… 国家安全保障局って、あの‥超極秘だと言われてるNSAのことだろう?」
驚いた彼に、朴は満足げに微笑んで見せた。

ローランドは好奇心を抑えきれなかった。
「NSAっていう所は一体、何をしているんだい?」

朴はどんどんしゃべり出した。
「そうだな、無線通信を監視したり、秘密の暗号を解読したりだな、」

「ヒャッハー、まるでスパイ映画の世界だ」
ローランドは喜び、朴ポヒという人物に興味をそそられた。
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財団詐欺とリトルエンジェルス/7-3

朴サマは国際スパイ? アメリカ統一教会設立/7-2からの続き




入教したての頃、リトル・エンジェルス舞踊団のプロモーション映像を見せられた。
少女らの舞台、練習風景、自宅での様子、有名政治家たちとの写真など。

映ったどの人も、信仰を持った教会メンバーではなさそうな雰囲気で、
どんな関係があるのだろうと違和感があったのを覚えている。

UCと朴政権KCIAとの共同作戦があったのね。
真実を知って自由になろう。





   龍明小説7-3


  財団詐欺と
    リトル・エンジェルス




少女たちを文と韓国の親善大使にして、大統領、首相、国王を含む数百万人の心に歌と踊りを届けようというのだ。
文はこのアイデアを気に入り、1962年に「リトル・エンジェルズ」を設立した。(前回)


リトル・エンジェルズは、文教祖のフロント組織(偽装団体)の最初の1つになった。
その後何百と設立されていくこの種の団体には一貫したパターンがあって、文鮮明の名は創始者として載っていることもあるが、統一教会との関係は否定されている。

文教祖の存在は背景に留まり、朴ポヒのような信者が文の最終的な目的のために団体を切り回し、盛り上げる。

この手法は、文の宗教に無関心な人々を大量に引き寄せる。
文が関係していることを知っている人たちは、宗教とは別にその分野に興味を持っている人物として文氏を見ている。
文の宗教的な利益が各団体を網羅して貫いているという事実は、巧妙に隠されている。

しかし、「リトル・エンジェルズ」プロジェクトがまだ計画段階にあったときでさえ、朴ポヒは統一教会のバージニア州支部の非課税資格を申請する際に、その目的を明確に述べていた。
彼は国税局への申請書類の中でこう書いている。
「将来的には、より多くの人に統一原理を伝播し、世界キリスト教の統一を進めてゆく手段として、様々な都市で韓国舞踊団を後援することができるようになることが期待されています」
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外為法違反?リトルエンジェルス 孤児ではない/7-4

財団詐欺とリトル・エンジェルスからの続き



  朝鮮戦争孤児ではない、
    外為法違反の受け子にされた?
      リトルエンジェルス




  龍明小説7-4



60年代、米国で、清く正しく何も無く、開拓伝道やってたはずが、
初っ端から 超ド派手な 韓国文化自由財団(KCFF)・・・
(前回)


著名人の名前を連ねたKCFFを通して、アメリカ人に寄付を募ると、多くの寄付が集まった。
財団の初年次の晩餐会は、ワシントンD.C.ヒルトン・ホテルの国際大広間で開催された大変なイベントだった。
バーク提督、韓国大使、アメリカ国務次官補がスピーチをした。
朴ポヒは、この夜のエンターテイメントの司会を務めた。
ワシントンの著名なプロデューサー、パトリック・ヘイズ氏によるリトル・エンジェルズのプレミアム公演だ。

1965年の世界巡回旅行で、文鮮明がアメリカを訪問したとき、朴ポヒは楊大使を通じて、アイゼンハワー元大統領とゲティスバーグで会談するように手配した。恒例の写真撮影が行われた。リトル・エンジェルズの一団も連れてきて、プライベート・パフォーマンスでアイゼンハワーを魅了した。

文氏は、力の錯覚を本当の力に変えることに長けている。
あらゆる機会を利用して、影響力のある人物と一緒にいるところを見せつけ、写真に撮らせたりする。

このテクニックは、韓国政府の指導者たちに、自分たちがアメリカで最も重要な人たちの近くにいると思わせることで、韓国での彼らの力を高めるのに役立った。
同様に、アメリカでは韓国での実際の重要性を誇張して見せることで、アメリカの影響力への扉を開くことができた。
また、アイゼンハワー大統領との写真は、信者を勧誘する際にも有効に使われた。
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郷愁の「自由アジア・ラジオ」の摂理/7-5

外為法違反?戦争孤児ではないリトルエンジェルスからの続き


  郷愁の 「自由アジア・ラジオ」の摂理


知っている人は誰もいない?
今日明日の(信仰)生活に関係ないと言うなかれ。

名前だけは聞いたことがあるような ないような、
とおい銀河の星々ができた頃の出来事のようですが
そのごまかし方に見覚えがあるようで
そこはかとなく郷愁をさそう
自由アジアの反共ラジオ放送摂理
後に新聞社の摂理にもつながるようです




龍明小説7-5


The next project for KCFF was Radio of Free Asia (ROFA), launched in 1966.

アメリカに作った韓国文化自由財団(KCFF)の次のプロジェクトは、1966年にスタートした「自由アジアのラジオ」(ROFA)である。

それは”ラジオ・自由ヨーロッパ”をモデルにし、北朝鮮、中国、北ベトナムに向けて、韓国から反共産主義の番組を放送するというものだった。

しかし文鮮明教祖と朴ポヒは、それにひねりを加えて、特別な工夫をした。
韓国での放送設備費用のため募金を募る大量のメールをアメリカ人に送りつつ、一方でKCIAを通じて送信機やスタジオを無料で使えるように手配する。
そうすれば、集まったお金は、必要に応じて統一教会やその他の文教祖の活動に注ぎ込むことができる。

自由アジア・ラジオは、KCFF(韓国文化自由財団)のプロジェクトだったので、KCFFが持っているアメリカの著名人リストは、ラジオの宣伝に使うことができた。

それは、表の名目と裏の目論見が一体となったムーニーの多目的事業だった。
反共主義の推進、韓国政府に対する自分たちの価値向上、アメリカでの知名度向上、そして文教祖の金儲けにもなるのだから。

朴ポヒは興奮して、寄付候補者に、
「このプロジェクトは、過去30年間でアジア本土の共産主義者に対して行われた最も大胆な事業の1つです」
と説明した。


ラリー・メイズ(Larry Mays)は、朴が”邪魔にならない程度に役に立ってくれるだろう”と考えた人物だ。
1965年に朴が出会ったメイズは、ボルチモアで住宅ローンのブローカーをしていた。
彼は統一教会の教義には興味がなかったが、反共産主義への献身に共感して朴に引き付けられた。
2人は良い友人になった。

1966年6月にワシントン・ヒルトンで昼食をした時、メイズは、朴がヤン特別大使にこう提案したのを聞いて驚いた。
「メイズさんに自由アジア放送の初代国際議長になってもらってはどうでしょうか」

持ち上げられ、気を良くしたメイズは、すぐにそれを引き受けた。そ
の数週間後、朴はメイズをKCFF財団の理事に選出した。

朴ポヒは、メイズが温厚で柔和な人物であることを知った。
彼は熱心だが、お金がどこから来たのか、どこへ行ったのか、といったことは聞かなかった。
彼は善良な反共産主義者だった。

彼自身は何の力も持っていなかったが、中程度の影響力のある人脈をいくつか持っていた。
彼の存在で、自由アジア・ラジオの中枢は韓国人とアメリカ人が共同していると見せかけることができた。
ラリー・メイズがいれば、朴は楽に物事を進めることができる。

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KCIAの介入で成功?全米が泣いた摂理/7-6


前回記事、郷愁の「自由アジア・ラジオ」の摂理/7-5 の続きです。




   KCIAの介入でラジオ放送成功?
        米国が騙され泣いた摂理
           こうして騙されていく‥‥


文鮮明(龍明)教祖の67年の御言葉:  
ーーそれで中共に対して、アジア、東南アジア、共産圏に対して今放送やっておるよ。自由アジア放送局として今やっておるんだよ。
(末尾参照)





   龍明小説7-6



The target date for ROFA’s first broadcast was August 15, the anniversary of Korea’s liberation from Japan.

自由アジアラジオ(ROFA)の初放送は、8月15日の解放記念日を目標にしていた。
この日は韓国が日本から解放された記念の日であり、朴が何ヶ月も前から決めていたものだ。

しかしそれは不可能に見えた。
政府との交渉を3日間続け、8月15日を迎えたが、まだ承認は得られていない。

メイズは、ROFAの実現にはもっと時間がかかるだろうと思いながら、韓国独立記念日の大統領レセプションに出かけた。
驚いたことに、会場に着くと、広報大臣が「おめでとうございます!」と言って大きな握手を求めてきた。
「たった今、朴大統領が、自由アジアラジオの放送決定を伝えてきました。初放送は今夜11時です」

朴ポヒさんは本当によくやってくれるわいとメイズは独り言ちた。

その夜、最初の放送を聞いたとき、彼はとても満足した。
しかしアナウンサーが何を言っているのかは分からなかった。
また、KCIAの金ヒョンウク局長の介入によって朴が配信したことも知らなかった。


8月16日の朝になって、メイズは朴の綿密に計画したスケジュールから外れた行動をした。
アメリカ大使館に立ち寄り、ブラウン大使とスタッフに話を聞いたのだ。

大使らはROFAに関して、たくさんの疑問をぶつけてきた。
KCFF財団との関係、事前準備金の総額、韓国政府の承認が非常に早かった理由など。

メイズは詳細を説明することはできなかったが、アメリカ人からの十分な寄付金で運営されていること、国際議長である自分が全てプログラムの内容をコントロールしていることなどを大使館に伝えた。

そこでブラウン大使は本題に入った。
「実は、KCFFがソウルのROFAラジオの運用指揮官として採用した金キョンウプという人物、彼はKCIAの工作員だと情報が入っているのです」
「えっ」
メイズはびっくりして、すぐに退任させ後任を探すことを約束した。

ブラウン大使が朴ポヒに不信感を抱いており、KCFFのレターヘッドに名前を連ねた著名なアメリカ人たちが、何も知らずに巻き込まれていると感じているのは明らかだった。
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おれのラケル 崔淳華と重婚!の摂理/7-7

「KCIAの介入で成功?全米が泣いた摂理/7-6」からの続きです



   おれのラケル
     崔淳華と重婚!
          の摂理



ーー武器事業と反共活動の羽振りはいいが、教団(宗教活動)は冴えない。
  文教祖は考え込んでしまった。




   龍明小説7-7



文龍明は、1960年に韓鶴子という17歳の娘と聖婚式を挙げ、そこから次々と子供が生まれてきた。
並行して男女の弟子たちを、3組、33組、72組、124組と次々組み合わせて合同挙式をしていき、教会の基盤とした。
世間では “統一教会の集団結婚式” として噂になり、奇異な目で見られた。
以前とは打って変わって、体裁を整え神の純潔家庭をアピールしたが、相変わらず教団の評判は悪く、人気はどうにもパッとしなかった。


一方、61年韓国軍事クーデター後、初代KCIA長官・金ジョンピル氏の覚えめでたく、統一協会は財団法人として国の認可が下り、国軍に卸すための銃器の製造、これも税制優遇措置を伴う国防契約が得られ、工場を本格稼働させることができた。

事業組織は、鋭和空気銃を発明した劉孝敏を名ばかりの組立課長という下っ端にしてこき使い、信者でもない文一族の血縁の親戚たちを幹部に据えた。空気銃の特許は文龍明の名義で取得し、事業としては羽振りがよかった。

新政府の政策を鑑みた文教祖は「反共をやらなければならない」と語り、医師信者の李相憲に反共理論の本を書くよう指示した。
そして各村や町内に「反共団」という名のグループを作り、徹底した反共の啓蒙活動を広めようとした。

アメリカでは、朴ポヒが文化自由財団を作りシャカリキになっているし、何人も失敗し長らく厳しかった日本宣教は、金ジョンピルを通じてようやく右翼の大物と繋がり、なんとか突破口が見えてきたところだ。


だが人々は、思うように彼を再臨のメシアとは認めてくれない。
(歴史の祈願である聖婚式を挙げれば、天が開け、世界は大騒ぎになり、私ら夫婦を人類の真の父母として奉って平伏してくると思ったんだが。
やっぱり母子家庭で貧乏人、無学な小娘との結婚じゃダメかいのう。あいつ、赤ん坊だけはぽこぽこ産みよるが、第一子が女だった時は失望したぞ。原理ではあり得ないことなんだが、)
といつものように責任転嫁した。
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妾の摂理の人生いろいろ/7-8

「おれのラケル 崔淳華と重婚!の摂理/7-7」からの続きです



      妾の摂理の
        人生いろいろ‥‥




   龍明小説7-8



その翌年、(文龍明は)追いかけるようにアメリカに行き、彼女が居る東部、ワシントンDC周辺に3か月留まった。(前回より)


1965年2月12日の夜明け直前、龍明は韓国の土が入ったスーツケースを携えて、ひとまずサンフランシスコ国際空港に降り立った。
出迎えた現地の弟子たちが、車で一行を小高い丘の上まで連れて行った。
彼らはそこから都市を見下ろし、朝鮮シャーマニズムの地政学的攻略方法により、5方向の神将軍に祈祷を捧げた後、韓国から持ち込んだ一握りの土を埋めると、その場を彼らの“聖地” と決めて杭を打ち込んだ。

次の1か月、彼は青いプリマスのワゴン車でアメリカ横断の旅を楽しみつつ、計55か所で同様の儀式を行い聖地を決定した。
3月14日にはワシントンDCで、国会議事堂の西側芝生の真ん中にある大きな常緑樹の下と、ホワイトハウス前の楕円形の場所に、韓国の石と土を埋めて聖地を作り、勝手に杭を打ち込んだ。


文教祖はDC近郊にある朴ポヒの家に滞在していた。
折に触れて彼は言った。
「おい、淳華を呼んでくれ」
すると日本人の信者運転手が彼女のアパートに迎えに行き、彼女を乗せて朴家に連れてくる。
そして朴ポヒの書斎の隣のゆったりとした部屋で密会を楽しむのだ。

「淳華、わしらは子供を作らなくてはいけないよ。
 うん、淳華はわしの息子を生まなければならない。
 すべてを危険にさらしてでも
 神の摂理にどうしても必要なことだというんだね」

「あら、子供ならもう何人もいらっしゃるじゃありませんか。
 それに私は学業のこともありますし‥‥」

「何を言う、あの深夜の秘密の聖婚式は何のために挙げたんだ?
いいか、すべーてのことは神様の言うに言われぬ復帰の心情を解放するためだというんだね。
これからの摂理は、だんだんアメリカが重要になってくるだろう。
世界摂理の中心がアメリカになり、そうなればわしも拠点をここに移すんだ、そして、」
彼は舌先三寸のどうにでもなる上手いことを、ピロートークで次々に繰り出した。

崔淳華は目を閉じたままで尋ねた。
「鶴子さんたちはどうなりますの?」

「レアの鶴子と子供らは、韓国におればいいさ。
真の母にはそうそううまくなれるものでないことは最初から言ってある。
今回の、きみを通して息子を得る計画のことも告げて来た。
気になるだろうが、元はと言えば、きみの姉さんが裏切ったから、こういうことになったんだ。
わしはラケルであるきみのもとで居を構え、それが本然の真の父母、真の家庭となるんだよ。
崔家には重要な使命があると昔から言ってるだろ? 
きみのお母さんの得三さんが鶴子をうまくいい含めてくれるだろう。
崔家が立たなくては世界摂理はうまく進まない。
だからね、淳華、おれの息子をたくさん生んでくれよッわ〜ッ」
彼はそこで何度目かに果てて、その日はそれっきりになった。

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撃沈か たけなわか 世界の文鮮明 アメリカ摂理/7-9

【妾の摂理の人生いろいろ/7-8】からの続き


  撃沈か 
   たけなわか
     世界のブンセンメイ
          アメリカ摂理





   龍明小説7-9



ついに崔淳華が、既婚者文鮮明(龍明)教祖の子供を身籠った。
それを知った朴ポヒは文教祖に「ヤバイですよ」と言い始めた。
今このことが外に知れたら、始まったばかりのアメリカのプロジェクトや教会に大打撃を与えるというのだ。

「リトルエンジェルスはスキャンダルにまみれ、数少ないアメリカ人メンバーは躓き散って、伝道活動は撃沈するかもしれません」
「うむ、まずいな、それならお前のとこで引き取ればいいじゃないか」
「は‥はぁ、文先生あなたと教会のために、それしかないのでしたら、私はそれで構いません。このことは極力内密にして、生まれたらすぐ養子の手続きを取ることにいたしましょう」

龍明は深呼吸のような大きいため息をついて言った。
「養子ではだめだぁな。調べられたら本当の父親がばれてしまうだろう。わしは以前喜進*の認知をしたばっかりに世間や反対派にいつもそこを突かれて非難されておる。だからもう何があっても婚外認知はしないつもりだ。ヤバイですよ。キスク*が産んだことにして実子にしてくれないか」

(注)喜進:金永姫との間の婚外子。55年生まれ
   キスク:朴ポヒの妻


女たちの間にも一悶着あった。
淳華の母親で婦人信者顔役の得三夫人が、噛んで含めるようにして妻鶴子を説得した結果、淳華に息子が生まれたら、真の母の座を明け渡し、身を引くことを承知した。

鶴子の母親の洪順愛は大反対して、娘に言った。
「自暴自棄になってはだめですよ。あなただって孝進という息子がいるじゃないの。辛くても踏んばってもっと文先生の子を生みなさい。息子を1人産むごとにあなたの権限が増すのだから」
鶴子は三女の仁進を産んだばかりだった。夫は世界旅行に出ていつ帰ってくるか分からない状況で、一時的に神経が参っていた。

鶴子さんが泣く泣く身を引くことを承知したと韓国の母親から聞かされた淳華は、(なんだかなー)と思った。
(そんなにまでして妻と幼児3人?4人?を押し除けて、人類の真の母になるというのも違う気がする。つーか、なんで私がそこまでしなくちゃならないの。そんな惨めなことに関わるのはいや。大切なのは、もっとこう、霊的な、何か清くて美しいものじゃないかしら)

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KCIAが名付けた勝共・女たちの顛末/7-10

「撃沈か たけなわか 世界の文鮮明 アメリカ摂理/7-9」からの続き



   KCIAが名付けた勝共・
          女たちの顛末





   龍明小説7-10



崔淳華との婚外子(サムエル)のことで、龍明から離婚の決意を仄めかされ、一時は自暴自棄にもなった鶴子夫人だったが、実母(洪順愛)からのアドバイスもあり、しぶとく持ち直し、落ち着きを取り戻してきた。

結婚当初は、教会員の誰ひとりとして、横から入ってきた小娘韓鶴子のことを、再臨主の妻で真の母であるとは認めない状況だったが、この頃では、苦労してかわいそうだ、若いのによく耐えていると同情する声も聞こえるようになっていた。

崔淳華が遠慮して身を引いたのだろうか。彼女はそれによりどんなに惨めな立場に居続けなくてはならなくなるか分かっていたのだろうか。苦労知らずの裕福なお嬢さんで、その時は分からなかったのかもしれない。
それとも心の奥深く、潜在意識レベルで何かが警告を発し、あと一歩の前進を押し留めたのかもしれない。「真の母」の座に着いて文教祖の詐欺に加担しないでよかったのかもしれない。


ともあれ文教祖は、鶴子との成婚から7年が過ぎた1968年の1月1日に、夫婦共に完成期の七年路程を勝利したので神が地上に臨在できる基準が決定したから今日は記念日と呟き、「神の日」を宣布した。
〈*2013年2月10日(天暦1月1日)、「天の父母様の日」に改称された。〉

神の日を策定するにあたり、龍明は鶴子・元福・淳華(欠席)を含めた6人の女たちと、悪魔儀式と見まごうばかりの奇態な性儀式を行なっている。
詳しくはこちらを:「ショックです 閲覧注意 神の日の制定」
http://anzais.blog.fc2.com/blog-entry-113.html

命掛け人生掛けで自分を護ってくれる6人の妻妾ができたぞと、神に証明して見せたつもりだろうか。
獲ったどー!


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