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龍明小説2.5&3の記事 (1/1)

踏んばる北のクリスチャンvsソ連共産党/番外編2.5_1


「日本の総督府が撤退してからの朝鮮半島は、戦勝国の連合軍が入り、南半分がアメリカ軍、北半分がソビエト連邦軍による分割占領統治が行われていた」
   『銀よ、俺を嫌うな。平壌への道/龍明小説2-15』より


ーー1946年の平壌はまだ、朝鮮キリスト教のダイナミックな中心地だった。教会が至るところにあり、クリスチャンたちから “東洋のエルサレム” と呼ばれていた。
 だが壁には「ソビエト傀儡当局がクリスチャンパワーをバラバラにし始めたぞ!」と落書きがしてあった。
    『文鮮明 初期の伝記1920-53』マイケル・ブリーンより



踏んばる北のクリスチャンvs ソ連共産党



 1945年の終戦当時、朝鮮半島北部のクリスチャン人口は、プロテスタントが30万人、カトリックが5万人、合わせて約35万人になった。
(当時の北部の総人口925万人の約4%弱にあたる)

 彼らは特に平壌では大きな影響力を持っていた。皮肉なことに共産主義者の数は北部より南部の方に多かったという。


 北の当局は当初、抗日独立運動の要として、共産主義者よりも役に立ったクリスチャンたちに謝意を示し、比較的緩やかに扱うきらいがあった。

 が、程なく状況が変わってきた。長老派牧師2名が中心になって、政党「キリスト教社会民主党」が組織されるに及んで、当局は危機感を抱いた。

 キリスト教社会民主党は、朝鮮全土における初の政党で、キリスト教の理念に基づく社会改革と民主主義を是とした。その基盤は各地域教会が拠点となって、強固に組織されつつあった。


 北のソ連当局は危機感を募らせ、地域の無学な農民や労働者を買収し、政党組織委員会開催中の教会を襲撃させた。唆された暴民は、教会や家屋を破壊、死者1名と負傷者を出した。

 これに、ほとんどがクリスチャンだった地域の高校生たちが怒って地域民と衝突し、銃撃戦になり、死者23名、多くの負傷者、逮捕者を出すに至った。

 クリスチャンらは五千人規模のデモを行なって当局に抗議した。

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文氏の霊の祖父・黄国柱(ファン・クッジュ)/番外編2.5_2




   龍明の霊の祖父、黄クッジュ
       そのハンパないナリキリっぷり




 龍明は “南から来た神霊なる聖書の先生” という触れ込みで、平壌のナの実家に留まった。

 そして例のエホバの妻・神の夫人を探し始めた。教会に関係する人々にそれとなく聞いたところ、程なくそれらしき人物がいることが分かった。

 女は名を丁徳恩といい、やはりイエス教会に関係して、黄クッジュ(黄国柱)の弟子だということだ。


 黄クッジュといえば、イエス教会のイヨンド牧師と同時期に活動し、世を騒がせた異色の宗教家で、朝鮮における血分け性儀式の祖とも言われる。

 後々、ある神学博士論文で、“文ノ龍明の血分けの系譜を遡れば、丁徳恩と黄クッジュ師に辿り着く” と発表されることになった。

 つまり、龍明は丁徳恩とめでたく性儀式を行い、彼女から清い血を分けてもらったが、その丁徳恩は師の黄クッジュから血を分けてもらっていたというわけだ。

 “血分け” はまたの名を “霊体交換” とも言い、性儀式と同時に自分の霊体(魂)が清い霊体と入れ替わるとされているので、黄クッジュはさしづめ龍明の霊の祖父にあたる。

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万能キリストフィルター(ドラエモンの声で)/番外編2.5_3


『龍明の霊の祖父、黄クッジュ そのハンパないナリキリっぷり』からの続き


     龍明の霊の祖父、
        黄クッジュ、
           その30年の先進っぷり





 しかし黄の説教や祈祷は圧倒的で、その雄弁な口調は多くの人を夢中にさせた。

 実の父親のファン長老でさえ、息子クッジュの前に跪き「主よ」と呼びかける始末だった。

 クッジュは自分の中にイエスがいると主張しながら、新エルサレムに入城すると称して、間島から平壌、その後ソウルを目指し、徒歩で巡礼の旅を続けた。

 彼のまわりには、父親や姉妹たち、家庭を捨てて出て来た主婦や娘たちを含む群衆が取り巻き、道中を付き従っていた。


 新しいイエスがやって来る!との噂が広まった途中の町や村々から、一行を一目見ようと見物人がドッと押し寄せ、群衆は膨れ上がった。

 群れをなしてうろつき回る数十人もの既婚婦人や若い男女の一群。
 彼らは自由気ままに食っちゃ寝して、同行の旅を続けた。
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UCの母体 イエス教会、霊的になって終了/番外編2.5_4


『万能キリストフィルター/番外編2.5_3』からの続き



 意外にも、日本が設立を後押し⁉︎
     UCの母体 イエス教会、霊的になって終了





 1933年、黄クッジュは他の2名と共に安州長老会から異端と認定された。
 相前後してメソジスト復興師のイヨンドや白南柱(銀白文の師)も主流派から異端として追放になった。

 それによって、彼らを復興師として招くことは全キリスト教会で禁止になったが、彼らは独自に宗教活動を続けていた。

 新しい摂理時代のために新しい血統を立てる使命があるとし、彼らは降神劇を行ない、声明を出した。それが血分けや霊体交換の儀式に繋がった。

 しかし役所の正式な団体登録がなければ、集会を開くことはできない。

 すると日本の総督府の役人から、
「君たちが礼拝集会できるように、登録申請の手助けをして進ぜよう」
と申し出があった。
 明らかに日本当局は、外国宣教師との繋がりがない、民族単立の教会の育成を望んでいた。


 破門された牧師たちはこの思いがけない申し出を受け入れて、団体名をシンプルに「イエス教会」と名付け、イヨンド牧師を代表者にして登録手続きをしてもらった。

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UCの母体②金聖道 あのいやな神の心情/番外編2.5_5

  
 
  あの いやな 「神の心情」
      ルーツはココだよ お婆さん
          ご苦労された 金聖道 聖主教団





文教祖や統一教会(家庭連合、天の父母様教団 Heavenly parents church w)は、よく「神の心情」という言葉を使う。

たとえば、「創造原理的な神の喜びの心情、人間始祖が堕落した時の神の悲しみの心情、復帰歴史の背後にある神の忍耐・苦難の心情、そういった神の心情を知らなければならない」などと言ったりする。

神の心情を第一にするという考え方は、一見良いようで、非常に問題のある危険な考え方だと思う。


<以下、青字部分は分かりにくい思想的なことなので関心ない方は飛ばしてください>
根本的なことを言うなら、この宇宙の第一原因/創造主がいるとして、それは被造物である人間とは次元の大きく違う、人間には計り知ることのできない存在だ。

たとえば被造物の中にある共通性を発見したとする。それはあくまでも被造物の中に宇宙の法則を見たということ、被造物を理解したということ、被造物の中に神性を見いだしたと言ってもいいが、その逆ではない。

 その逆とは、第一原因/創造主の中に被造物性を見て創造主/神がわかった思うことで、それは誤謬に繋がる。これが創造原理、統一原理のやっていることだ。

’神は本陽性と本陰性の中和的主体であり、さらに本性相と本形状の‥‥’なんて、その延長のようなことをさも重大なように延々とやっている人たちがブログ村でもいるでしょう。意味ないのにね。
原理にハマれば馬鹿になる゚(゚´Д`゚)゚。 参照 

 被造物にある共通性・法則性を見つけて理解することは、人間の共有財産となり、有意義だが、その逆(神の中に被造物性を見て神が分かったと、それを前提に物事を進めること、またはその団体)は、理性の機能の混同であり、誤謬に行き着く、監視対象の、危険な、要注意モノである。


 神の心情という考え方も、神の中に人間の心情を見て創造主の心が分かった気になっているだけであって、その実情はあくまでも被造物・人間の心情なのである。それを信仰の対象にすることは、自分自身が作り出したものに支配される人間の自己疎外状態といえる。タイトルの“あのいやな”とはそういう意味です。

<分かりにくい思想、ここまで>


それはそれとして、この神の心情という考え方や捉え方は、統一教会のユニークな特徴となり、人を惹きつけ、また呪縛するものにもなることは確かだ。
それはどこから来たのか、まさか文鮮明が言い始めたのか? と考えあぐねていたが、そのルーツは「金聖道おばあさん」にあると分かった。


金聖道おばあさん。堕落論を説いた人物としては知っていましたが、またオール統一の皆さんは主の路程に出てくる短いエピソードとしてはご存知かと思いますが、ここでは主に2種の英文ソースを参照して詳しいバージョンをお送りします。


金聖道がイエスから堕落や神の心情について啓示を受けたのは、1923年のことで、文鮮明はまだ3歳、イヨンド(李龍道)牧師などもまだ公的活動をしていなかった時代のことです。

イエス教会、金百文、文鮮明、朴テソンなどがこぞって彼女の説いた教理の轍を踏んだ(朴った)、いわゆる朝鮮神霊集団全ての先駆けと言えるでしょう。

後に文鮮明ほか神霊集団がパクった内容に下線を入れました。 

              *

   金聖道と聖主教団

金聖道女史は1888年、北朝鮮西海岸の鉄山郡で生まれ、18歳で、当時45歳の裕福な家の男の後妻として嫁いだ。
妾や妾子たちからいじめを受ける複雑で困難な生活の中、5人の子供を産んだ後、精神病になってしまった。

按手祈祷を受けて病が治ったのをきっかけに、熱心なキリスト教徒になった。
儒教の夫はそれをよく思わず、彼女が教会に行けないよう衣服を破き、殴り、鞭打ち、引きずり回し、刃物で切りつけなどして、何年も酷く迫害した。
それでも彼女は教会に行き信仰生活を続けた。ついに夫は離婚を決意したが、程なく病気で死んでしまった。

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      ▲ Kim Seong-do 金聖道 (1883 – April 1, 1944)
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カリスマ感情アピール 真ならず/龍明小説3-1


『物悲しい心象風景を見据えよ・二巻の終わり/龍明小説2-19』
からの続き

 ーー龍明は2、3の親類を回った後、再びナの家に来て、「南から来た神霊なる聖書の先生」という触れ込みでそこに留まり、礼拝を行うようになった。
『へびの知恵で平壌に居座る/龍明小説2-18』より



  龍明小説3-1



 ソウルから銀白文に同行して来た女性信者ナ・チェソプの平壌の実家は大きくないが、亡父がイエス教会の高名な長老だった家だ。

 銀はその家でリバイバル集会を開き南へ帰って行ったが、ナは残っていた。そこに銀の後任でもあるかのように、うまく居候を決め込んだ龍明。


 しかし礼拝といっても、最初は参加者がナの家族2、3人だけだったが、程なく近くに住む熱心なクリスチャン夫婦と知り合った。

 妻のチョンファは年の頃30代前半、地域の大きな長老派教会で婦人部長を務め、夫の鄭は事業を営んでいた。大物が釣れたのだ。


 彼らが礼拝に参加するようになると、龍明は言った。
「見ての通りの少人数です。誰か知り合いを連れて来てください。これは新しい救いの御言葉を受ける条件である。」
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平壌教会のブラック龍明/龍明小説3-2


『龍明小説3-1』からの続き




 龍明小説3-2



「先生はどうやってイエス様の子供の頃の話など知ったのですか?」

「そう聞かれるとちょっと困るんだがね、」


 学生時代の長期休暇に、全国を旅して神霊集団を巡り、様々な講話を聞いたことがある。その時ある教祖がそんなことを語っていたのだ。

 あれは、天の母様教団?いや聖主教団といったかな、とにかくおばあさんの教祖だった。
 当時知り合った信者と文通して情報交換したこともあるから、その時に出た話だったかもしれない。
 何にしてもここでそんなことを言ったら、俺のイメージは先生ニムからただの宗教丁稚(でっち)小僧に急降下だ。


 そこで龍明は毅然として答えた。
「イエス様が直接、夢の中で霊示してくださったのです」

 銀白文の真似をして直接啓示を受けたと言おうとした。が、詳しく状況を聞かれると困ると思って、とっさに「夢の中で」と付け加えた。
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再臨主 ムチ 迫害 人妻 太腿 /龍明小説3-3


平壌教会のブラック龍明/龍明小説3-2 からの続き




   龍明小説3-3



 龍明は、ナの家の集会所に毎日のように来るようになっていた金インジュに向かって、みことばを語っていた。

「旧約聖書の時代、主の道を直くする使命を持っていたのは大預言者エリヤだが、イエス様が来られる時に、主の道を整える役割の預言者といえばそれは洗礼ヨハネだった。
 すなわち洗礼ヨハネは預言者エリヤと同じ使命を持ったエリヤの再来なのだ。

「だが、ヨハネはそれを悟れず、あなたはエリヤですか?と質問に来たラビたちに、違うと否定してしまうんだね。
 それによってイエス様が行かざるを得なくなった十字架に向かう茨の道については、この前礼拝で詳しく語った通りだが‥‥」

 そこでインジュの目をじっと見つめた。彼女の目はすでに涙でうるみ、赤くなって腫れていた。
 龍明は続けた。
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狙いを定めた復帰の道/龍明小説3-4


龍明小説3-3 からの続き




   龍明小説3-4




「いや、実はインジュさんの質問は非常に重要な問題なんだよ。言ってみれば全人類の課題なのだ」
 龍明は慰めるかのようにそう言って、ジッと彼女の目を見つめた。

「だが今は、先生からその答えを教えてやることはできない。これは一人一人の信仰の問題だからな。

「インジュさん、一人になってよく祈ってみなさい。神とイエスに祈って聞いてみなさい。何かお告げがあったら、どんなことでも先生に知らせるんだよ。そうだ、」
 と言ってポケットから白っぽい物を取り出し、インジュの手のひらに乗せ、それを両手で握りしめて言った。


「私がいつも使っているハンカチだ。これを持って祈るといい。父と夫の暴力が止むようにと。

「そして先生についても祈ってほしい。この先生とは一体誰なのか? 先生についてこれ以上の罵詈雑言はこの天宙で許されないと。なぜなら私は‥‥。あぁ、きみには使徒として私を支えてほしいのだ」

「本当にありがとうございます」
「力が湧いてきました」
「ハイ、もちろんです」
 彼女はよく分からないまま、感動に鼻をすすり上げながら答えていた。


 次に龍明は重々しい口調で宣言するように言った。
「万物が要る」
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初めての復帰 R16 見るなよ/龍明小説3-5


狙いを定めた復帰の道/龍明小説3-4 からの続き



    なんだかんだ言って
     初めての復帰の濡れ場
       見るなよ 見るなよ R16



 龍明小説3-5



 10日ほど経った日曜日の昼下がり。
 礼拝が終わって、皆すでに出払っている。

 ナ家の家族はいるのか、いないのか、家の中は静まりかえっていた。
 二階の方から微かにくぐもった声の気配が伝わってくる。
 金インジュが祈っているのだ。


 礼拝後にインジュが駆け寄って来たが、龍明は、
「上の祈祷の小部屋で祈っていなさい」と彼女を二階に上げた。

 そこは先生の祈祷の小部屋と呼んでいるが、私室でもあった。
 ナの家の二階は一部屋しかなく、誰も上がってくることはない。

 インジュが二階に行ってだいぶ経った頃。
 龍明は階段の下に来て何やらウロウロしていたが、やがて静かにゆっくりと上っていった。


 二階では、インジュがしきりに泣きながら懸命に祈祷していた。
「天のお父様、主に会わせてください。私の主はどこに来られますか?」

 長い時間祈り続けて、頭がボンヤリしてきた頃、夢だろうか、幻だろうか、十字架につかれたイエス様が門を開け、こちらに近寄って来るのが見えた。

 彼女は嬉しくて、「イエス様!」と叫び、その衣の裾を握って感謝の涙を流した。

 それからイエス様は彼女の頭に手を置いて祈祷してくれた。

「この娘の行く道は、あまりにも険しい道であるが、どうしても行かねばならない道なので、言葉にできないような十字架の道であっても、最後まで変わることなく行かせてください」

 不思議なことに、その声が途中から先生の声に変わり、気がつくと、彼女は龍明の服の裾をしっかり握りしめているのだった。

「あっ先生! イエス様が途中で先生に変わりました!」


 龍明は静かに笑って言った。
「今日は主が明かされる日。あなたの深い深い罪がぬぐわれる日です」

「あのう、先生、お言葉ですが、私は最初に言われた通りに、いくら家族に迫害されても長老教会には一切行かず、先生の所だけに通っています。
 そしてアダムとエバの堕落の講義を伺って以来、もう何ヶ月も夫と性の交わりはしていません。夫が求めても拒絶していますから。
 それでも私はそんなに罪深いのでしょうか」
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インジュの夫の嫉妬 燻(くすぶ)る/龍明小説3-6



龍明小説3-5/初めての復帰 からの続き


  
     燻(くすぶ)る
        インジュの夫の嫉妬 
               爆発寸前?!





   龍明小説3-6


「このことは一生涯秘密として守らなければならない。
 外はまだサタン世界だ。知れたら命まで狙ってくるだろう。
 きみが一言でも洩らしたら、再臨の主を再び十字架に掛ける張本人になるのだよ」
「もちろん命にかけても秘密にします」


 世間には姦通罪や重婚罪が存在することを知っている。
 そのときからインジュは心の中で覚悟するところがあった。
 主に直接愛されるという、あまりにも多くの恵みを受け、更に燃え上がった心の炎は誰も止めることはできなかった。


              *

(あいつ、腹立つわぁ)
 妻のインジュは、最近とみに留守がちになり、夜も遅くまで帰ってこない。
 冷たく冷えたブタの餌のような手抜きの夕食を置いて行く。
 時には全く何も用意されていない日もあった。

 以前からおかしな教会に通うようになり、それについては長老派教会の長老のチョロくない義父が、長老派教会牧師と一緒になって大反対し、さんざん彼女をを打ち据えたのだが。


 夫も行くのを止めろと言って大喧嘩になり、初めて妻を殴る事態になったのだったが、
(結局あいつは全然聞きやしない)

 体格が良く大きい割に細かいところがある夫は、貯金が少しずつ減っていることにも気付いていた。


 夜の生活を断るにしても、以前は済まなそうなそぶりも見せたが、最近では彼を毛嫌いするかのように感情的に激しく拒絶する。それでいて時に妙に艶っぽく、1人ですがすがしい顔をしているのだ。

 自分が完全に除け者にされ、一瞬奈落の底に突き落とされたかのような感覚に陥った。


 夫の目には、龍明教祖の焦点距離内に入り込んだインジュが、もう以前の彼女ではなく、何かが狂った大きな虚像のように見えるのだ。

(どんなヤツが背後にいるのか‥‥)


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投獄と腹中教乗っ取り計画/龍明小説3-7


龍明小説3-6 からの続き





   龍明小説3-7




 その夜、インジュの夫は、文ノ龍明の悪行を訴える長い書状を書き、共産党当局に送った。


 その結果、46年8月11日の夜遅く、遂に本物の刑事がやって来た。
 文ノ龍明は大同保安署に連行され、そのまま拘束されてしまった。
 平壌入りから約2ヶ月後のことである。


 彼が獄に入るのはこれで3度目だ。
 1度目は、44年、日本留学時代の共産主義者の友人絡みで嫌疑を受け、日本治下のソウルにて投獄。

 2度目は、45年、終戦直後に従兄弟と北側に行き、雑貨屋でおやつを買い南のお金で支払おうとしたところ、ここでは使えない怪しい硬貨を使おうとする怪しいやつというおバカな罪で数日間牢屋入り。


 牢はもう慣れている、問題ないと彼は思った。それが証拠に、その夜入れられたむさ苦しい牢獄の房の牢名主の男は同業者とも言える腹中教の幹部で、何かと便宜を図ってくれた。

 男に腹中教の経緯をいろいろ聞いてみると、彼は幹部として詳細に語ってくれた。

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信念を捨てろ 俺が乗っ取ってやる/龍明小説3-8


龍明小説3-7 投獄と腹中教乗っ取り計画 からの続き




  龍明小説3-8



 何とかしなければ‥‥
 龍明は考えた。


 「あなた方腹中教は、神が特別に準備された集団です」

 龍明は、牢名主である腹中教幹部の男、ファン氏に言った。

「当局に腹中教の啓示を否定しなさい。
 その責任は全て私が取るから、とにかく否定して、すぐにもここから出るべきです。
 許教主にもそう伝えてください」

 ファンは翌日、昼食の時間に許教主に伝えたが、彼女は否定することを拒否した。

 ファン自身は次の尋問の時に否定して放免になったが、出所後ほどなく衰弱死してしまったそうだ。


 その後すぐに許教主の夫が同じ房に移されて来た。
 龍明は彼にも同じことを言ったが、彼は妻に従うと言う。

 そこで龍明は、魚の骨をペンに使い泥のインクで布の切れ端にメモを書き、それを許女史の独房に秘密裏に届けるよう手配した。

 布切れにはこう書いてあった。
 ーー腹中教の啓示を全て否定してここを出なさい。天の使命を持った者がこれを記す。誰だか祈ってみなさい。

 彼女がそれを読んだ後、龍明からの布手紙は看守に見つかってしまった。


 それが理由で残酷な拷問を受けることになったと彼は後々、自分の行いを棚に上げて語るが、
 当局の彼に関する嫌疑は、許可証なく活動し以北社会を乱す、アメリカ・李承晩のスパイ疑惑、金持ち女性を誘惑し金品を奪う、などだった。
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丁得恩との極秘摂理 イクイク 第一日目/龍明小説3ー9

龍明小説3ー8 乗っ取ってやる からの続き



       ~~丁得恩との極秘摂理
                 イクイク 第一日目~~




   龍明小説3ー9


 牢獄から生還後、執事のような役割をするようになった車相淳はじめ、オクセヒョン、ダルオク、チーなど、数人の新しいメンバーが入ってきて、龍明の集会所は20人程が集まるようになった。

 それに比例するように、信者の家族やキリスト教会から反対・反発も多くなり、金インジュに至っては、両親と夫の反対でしばらく身動きできない状態になっていた。


 そんな頃、龍明にとってうれしいニュースがあった。
 あの丁得恩女史が、霊体交換の性儀式を龍明に与えてくれるという。
 ついに許可のお告げが下ったというのだ。

 南にいるときから、あこがれていた(自称)神の夫人、エホバの妻だ。
 平壌に来てから探し出し、ひそかに弟子入りして、雑用をしながら奉仕してきた。


 初めて丁の屋敷を訪ねたとき、銀百文の名前を出すと、ソウルで会ったことがあると丁は言った。
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極秘摂理 ロウゼキ 第二日目/龍明小説3ー10

丁得恩との極秘摂理 イクイク 第一日目/龍明小説3ー9 からの続き



      こんなんやりそうな二日目
             こんなんなりそうな二日目




     龍明小説3ー10



 薄暗い部屋、ロウソクの炎が何か所かで揺らめいている。

 「われはエホバの妻、神の夫人なり。おまえの聖なる母である」
 白い衣を羽織った丁得恩女史がそろそろと近づいてくる。

 「一日目にておまえは浄められ、エデンの園で堕落したへびから、善なる天使に復帰した」
 と言いながらのしかかってきた。

 「だがおまえはまだ人間ではない。僕の身じゃ。
 どうじゃ、おまえはわれの救いを欲するか?」

 龍明はゾクゾクして答えた。
 「へッ欲します、命を懸けて欲しますぅ~」

 「ふむ、たしかに固く欲しておるの。
 このムスコ、われの神の胎に導かれ、あぅ
 こうして、こうして、新しきアダムとして生れ出でん」

 丁教祖はムスコ龍明を含んだ身体を前後にゆらゆら揺らして言った。
 「新生のゆりかごじゃ」

 (……ゆるかごすかぁ)


 彼はしばらくムッスリとしていたが、いきなり手を上に持っていき、丁教祖の脇をくすぐった。
 「くはッ こそばゆい、何をするっ ヒィ!」

 反対側もやった。
 「ヒィ コラッ やめろっ」

 「こどもって、」
 と龍明は丁の両脇をコチョコチョしながら言った。

 「こうやって大好きなお母さんの反応を楽しむんですよ
 いたずらして遊ぶのは誰にも止められない、へへッ」
 
 丁は彼の手を避けようと体を激しく折り曲げ動かし、
 ゆりかごはいい具合にキシキシと軋んだのである。
 
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ウマが合いすぎて終了。丁得恩との極秘摂理/龍明小説3-11


龍明小説3-10/ロウゼキ からの続き





    龍明小説3-11


 ああもしてやろう、こうもしてやろう。
 帰り道、彼は全身にやる気がみなぎってくるのを感じた。

 だが、第三日目の儀式は、予想もしない事態が待っていた。

         ***


 第3回目、事の次第はこうである。

 儀式の前に、龍明は丁得恩女史から厳しく釘をさされた。

 「前回同様、強く欲し、挿入と精を出すことが儀式の証として求められるが、それ以外の行いを勝手にしてはならない。これは聖なる儀式である」

 「第3儀式の後半は、おまえが上になるが、主導はあくまでも大聖母であるこのわれである。われの指示に従わねばならない」

 そして、
 「この儀式には立会人が必要である。今日はこの者が務める。開けい」
 と言うと、いつの間にか半開きになっていた控の間の引き戸が大きくスッと開き、暗闇の中に人影が見えた。

 その大きな人影は短く「ハッ」と応え、引き戸はまた半開きの状態に戻った。屋敷内で見かけたことのある用心棒風の男のようだった。
 

 丁は言い訳するかのように言った。
 「これまでの2回は、不可視の領域にいる霊の存在があそこに立って、立ち会いを務めておったのじゃ」
 とその部屋の角隅の闇濃い方向を指さした。

              ***

 そういうわけで、龍明は指示に従わざるを得ず、第三段目の儀式を特に面白味もなく、無事に修了することができた。
 物理世界の屈強な立会人に感謝である(わらい。


 それによって彼は、エデンの園の成人したアダムとなり、丁の師の黄クッジュばりの、世界12億(当時)の女たちの聖なる夫として、また人類の大聖父として、神の夫人丁得恩のお墨付を得たのである。


 このことは彼の個人史における記念すべき日になると共に、文ノ教会の隠蔽されたエピソードとなった。
 
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言った者勝ち?卑怯で無責任な常套句/龍明小説3-12


龍明小説3-11/ウマが合いすぎて終了 からの続き



   言った者勝ちの
     卑怯で無責任な常套句
       「私が誰だか、祈ってみなさい」





   龍明小説3-12


 文ノ龍明率いる、道路に面した部屋の集会所に集う霊のお告げを受けやすい信者たちは、
「再臨主がやって来た!」「文先生は再臨のキリストです!」
と言って人々を勧誘し始めた。

 そうやって勧誘を受けた人が真偽をキリスト教会に尋ね、うわさが広がり、主流派キリスト教会からの反対が強くなった。


 ある時、憤慨した牧師が3人連れで、議論をふっかけに集会所にやって来た。

 最初に小柄な牧師が言った。
「あなたは、イエス・キリストの十字架が失敗だったと言っているらしいが、キリストが十字架の苦難を受けることは、すでに旧約時代、イザヤ書53章で預言されていることだ」

 龍明は答えて言った。
「神がマリヤに天使を遣わして、将来懐胎されるイエスが、生きておる間にユダヤ人の王となり、永久の王国を地上に建設することを預言された事実、それはルカ書1章に書いてある」

 イスラエル修道院の銀牧師がよく引用していた箇所だった。

 もう1人のひょろ長い牧師が進み出て言った。
「再臨のキリストは、君が言うように、この地で肉体を持って女の腹から生まれるのではない。ダニエル書7章に “見よ、人の子のような者が、天の雲に乗って来る” と書いてある」

 「もしイエスが、聖書の文字どおりに雲に乗って、天使長のラッパの音と共に、栄光の中に再臨するとするならば、このようなイエスを信奉しない人がいるだろうか?」
 龍明はしばらくためてから続けた。

 「しかるに、ルカ書17章には “彼はまず多くの苦しみを受け、またこの時代の人々に捨てられねばならない” と書いてある。なぜか? 彼は雲に乗って来られるのではないからである」

 北に来てから、ヒマに任せて、当時取った銀師の講義ノートと首っ引きになって聖書を読み込んだのが役に立つ。
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不穏の平壌教会 色濃い光と影/龍明小説3-13


龍明小説3-12/言った者勝ち?卑怯で無責任な常套句 からの続き 





  龍明小説3-13




「ここは道路に近すぎて、礼拝の音が近所に漏れるので都合が悪い。手狭にもなったので近々引っ越そうと考えている」


 ナの家の姉妹は主に侍ることが足りない。最近ではまるで傍観者のような顔をする、と思っていたところへ、より条件の良い引越し先のあてができた。

 実際、近所からの反感と圧力は無視できないものになっていたので、渡りに船だった。越す先は、北に来て最初に知り合った金ジョンファと夫の鄭ミョンサン夫婦の家だ。

 靴下製造の事業を営む夫は龍明を経済的にサポートし、妻のジョンファは信者のまとめ役で、龍明の衣服の世話を一手に引き受けていた。妹と一緒に洗濯し、砧を打ち、礼拝説教用の純白の着物を何着も縫ってくれた。

                  ***

 1947年が明け、龍明が集会所もろともすっかり移転して行った後、ナ・チェソプは妹と共に平壌の実家を後に南下し、ソウル郊外のイスラエル修道院に戻った。

 その頃そこでは銀白文牧師が、3年制の神学教育課程を新しく開講したところで、彼女らはそれに参加することにした。

 彼女らは、龍明が平壌で「銀白文はこの文ノ龍明に従うべきだった」と語っていることを伝えた。
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うまくいかない神学論争 嘆きの信者/龍明小説3-14


龍明小説3-13/不穏の平壌教会 からの続き



     龍明小説3-14


車相淳は金ジョンファの妹の夫で、龍明より10歳年上の人が良い篤実なクリスチャンだ。
教会の執事役でこき使われ、龍明が行きたがらない無理な訪問や、分の悪い渉外に遣らされることが多かった。
(前回より)



 ある時、龍明は車に言った。
 「車くん、きみは誰を連れてきましたか?」
 「は?」
 「は?じゃないよ。ジョンファはインジュを伝道した。インジュはウォンピルを連れてきたんだよ。あんたもジョンファに紹介されて来たんだろ? で、そのあんたは誰を連れてきたのかと聞いているんだ」

 龍明自身は直接街頭に出て伝道することはせず、彼と因縁をもった人が伝道をして新しい人を連れて来ていた。
 車は口籠った。
 「いえ、それはまだ、誰も‥‥」
 「では、おまえに平壌の全キリスト教会を任地として与える! そこから牧師を伝道して連れて来い。分かったな!」


 龍明教祖に発破をかけられた車相淳は、平壌に無数にあるキリスト教会を1つ1つ訪ね回り始めた。

「韓国に再臨があります」
「再臨主は人の子として生まれます」
「再臨主が来ています」
「平壌は第二のエルサレムになります」

 だが、何日経っても思うような実績は出なかった。文ノ教会を認め賛同してくれる聖職者が現れるどころか、手酷く追い払われるのが常だった。


 ある時、平壌神学校が併設されているジャンドン教会という立派な建物を訪れた。そこにめずらしく冷静に話を聞いてくれる牧師がいた。車が話し終え一息ついた時、その牧師が携挙(けいきょ)はあったかと聞いてきた。
 
「キリストの再臨にあたっては、まず信仰篤い信徒たちが、雲に包まれて引き上げられ、空中で主に出会う、
と、テサロニケ1に書いてあるように、
すべてのプロテスタントが信じている、信徒たちの携挙はありましたか? 
主が地上再臨されるのはその後になるはずだが」

 車は答えた。
「主は雲に乗ってくるのではなく、イエス様が2000年前に1人の子として生まれたごとく、肉身をもって、人の子として生まれてきます」

「ん? 携挙や空中再臨はないと? イエス・キリストの再臨が、ただ我々と同じように生まれてくるというのか?」

「もしキリストが、聖書の文字どおりに空中で、神のラッパの音と共に再臨するとすれば、主を信じない人は誰もいないでしょう。
 しかしルカ書17章には、 “彼はまず多くの苦しみを受け、またこの時代の人々に捨てられねばならない” と書いてある。それはなぜでしょうか?」

 車は龍明先生を見倣って、ここぞとばかりに間を置き、タメにタメた。
 そしていよいよ結論の、主は空中からやって来るのではないからです! と言おうと口を開きかけた瞬間、冷静な牧師に先を越されてしまった。

「そりゃ君、その箇所は再臨ではなく初臨のことが書かれている箇所だからな」
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異能バトル お婆さんたちの摂理/龍明小説3-15



うまくいかない神学論争 嘆きの信者 からの続き



       異 能 バ ト ル 
       おばあさんたちの摂理




   龍明小説3-15



 文ノ龍明が3ヶ月の獄中生活から戻った後に、弟子になったオクセヒョン(玉世賢)は49歳、チスンド(池承道)は52歳、
その数ヶ月前に知遇を得た丁得恩は50歳で、みな大御所どころの夫人たちだった。

 27歳の龍明より2倍近く年上の彼女たちは、よく霊のお告げを受ける霊能者タイプの女性たちだ。

 そして3人とも、一度は龍明と性なる儀式の契りを結んだ仲である。

 丁得恩の場合は、他の2人とは違い、儀式を与える側であって、自分の信者も持っていたが、時々龍明と合同集会をし、主導権争いの喧嘩をしつつも、機嫌が良いときは気軽に集会所を訪ね合って交流していた。

 彼は丁夫人から宗教の道理や方法について多くのことを学んだ。

 詳細を知らないオクセヒョンらは、龍明に対する丁得恩の態度が時に横柄なものに見える。

 「主は私たちが支えている」vs「主はわれが生んだ」
  双方の見えない自負が、女同士のイザコザを呼ぶこともあった。


 金ジョンファ家の新しい集会所に、インジュの両親が急襲した日も、丁の傲慢な振る舞いが見られた。
 
 次の日、オクは龍明にこう言った。
 「あの方の行いは間違っています」

 龍明は、苦々しい口調で、
「あれは本当に良くないのだが……」
と言って、言葉を濁した。
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キムチ源氏の雨夜の品定め&誘惑/龍明小説3-16


異能バトル おばあさんたちの摂理 からの続き



      キムチ源氏 龍明の
          雨夜のばあさん品定め 
              & 誘惑





    龍明小説3ー16



 ーー 丁得恩の大家族と教団が傘下に入り、俺の言葉に従うなら、俺の基盤は大きく固まったはずなんだが。
 あのばあさんめ、欲とプライドが邪魔をして自己否定しきれず、再臨主を支える母マリアとしての使命に失敗したのだ。

 摂理のパートナーがいなくなったことは痛手だ。
 だが女はいくらでも代わりを立てることができる。

 最近の龍明はこんな考えに傾きつつあった。それが高じれば、長い生涯の果てには1人の女にも愛されなくなる因果を、27歳の彼はまだ知らない。



 さて、代わりは誰がいいだろう。摂理はどこに移るのか。


 オクセヒョン(49)はどうか‥‥‥
 だめだ、雰囲気が大御所過ぎる。真面目でよく尽してはくれるが、悪く思うな、ムリムリ。

 丁得恩(50)はああ見えても歳の割にはフットワークが軽かった。ろうぜきを働らくインジュの父親に飛びかかり、噛みつき亀のように噛みついて、龍明を助けてくれたこともあったのだ。

 ではチスンド(52)ならどうだ‥‥‥
 勘弁してくれ。いつでも霊界が臨んでチーチーパッパしてるばあさんだ。熱心だが、振り回されるのはご免、ムリ。
 あいつは夢の中で12歳の花嫁になり、新郎は俺だと啓示を受けたと言ってきた。俺は静かに微笑むしかなかったよ。
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収容所への道も一歩から(お色気編)/龍明小説3-17

キムチ源氏の雨夜の品定め&誘惑/3-16 からの続き



      フンナム収容所への道も一歩から

         (お色気編)




   龍明小説3-17


          

 ーー人間始祖がセックスで堕落したのだから、再臨主はセックスで復帰する。此れ、天宙の復帰根本原理なり。

 ジョンファはそのことを知っていた。いくら当事者だけの秘密にしていても、どこからか漏れ伝わるものなのだ。
 知って内心焦っていた。
 ーー夫が信者だとダメなのかしら? いえ、そんなはずないわ。

 そんな時に個人面接で、
「今夜、誰にも言わず私の部屋に来なさい」と龍明に言われ、
 家族が寝静まった頃、忍び足で龍明の部屋にやってきた。


          *

 「いやぁ、まいった、まいった。あの丁得恩のばあさんには、ほんとにまいったよう」
 龍明はジョンファの成熟した体の上に身を任せて、ため息をついた。

 そして男の生命の木の先っぽで、彼女の脚の間をつんつん突ついて言った。
 「きみは聖書のラケルのように美しい」
 
 「ヤコブは最初からラケルが好きだった。本当だよ」
 キスしながら脚を開かせ、女の善悪知る木の果をゆっくりと割り、その中心に押し入った。
 そして奥まで分け入り、激しく分け入りした。

 それから、
 「さしづめナンだ、丁ばあさんは、姉のレアだな、アハハハ!」
 と言って笑い、果てた。


          *

 「いやぁ、まいった、ナの婦人。天の使命があったのに、元の木阿弥ときたもんだ、ハァ‥‥」
 彼はジョンファの成熟した女体の上に身を任せると、ため息をついた。

 「きみの家の方が居心地がいい。人柄だよ」
 「食口はみんなきみを慕っている」
 大切な生命の木の先っぽで、彼女の脚の間を突ついて言った。

 「きみは可愛いだけじゃない。頼りにしてます、本当だよ」
 「さあ脚を開くんだ、もっともっとだよ」
 彼女の熟れた木の果にもう一度、深く押し入った。
 そして激しく、分け入り、分け入りした。
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奇妙で恐ろしい中心家庭とチーパッパ/龍明小説3-18

収容所への道も一歩から(お色気編)/3-17 からの続き



     奇妙で恐ろしい中心家庭
         と
       チーパッパ





   龍明小説3-18




 その時から、金ジョンファと夫の鄭ミョンソン一家は、奇妙なことに、居候のはずの龍明を中心に回るようになっていった。


 夫婦の寝室には龍明とジョンファが寝るようになり、夫のミョンソンは、3人の子供たちと一緒に子供部屋で眠った。
 食事時には、一番最初に龍明の茶碗に山盛りのご飯が盛られた。

 信者であるミョンソンは自分の家庭が、堕落した人類の歴史を神の前に元返す再臨主の摂理の中心家庭に選ばれていると信じていたが、時に言うに言われぬ憤懣を感じることがあった。


 龍明は学生時代イエス教会で日曜学校の先生をしていた要領で、面白おかしく子供たちに話をして聞かせ彼らを手なずけていた。
 お母さんが彼を尊敬していることで、小学生の子供らも龍明先生の言うことに素直に従っていた。

 そういう状況で、ミョンソンが彼に反旗を翻そうものなら、家族の中で完全に孤立するのが目に見えていた。
 彼は家族を失うことになるかもしれない不安と恐怖から、大っぴらに意を唱えることができなくなっていた。


 天の摂理的な一定期間が過ぎ、時が来れば、主である先生は妻のジョンファを自分のもとに返してくれるだろう、そうなれば自分たちはまた以前のように、いやそれ以上に幸福な本然の夫婦として仲良く暮らす日が来るだろうと、なんとか希望を繋ぐしかなかった。


 実際、説教などでそのようなニュアンスのことを龍明は匂わせていた。もっとも大っぴらに語れる内容ではないので、ジョンファ夫婦以外にその意味がはっきり分かる者はいなかった。


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中心家庭崩壊の兆し・龍明実家の反応/龍明小説3-19

『奇妙で恐ろしい中心家庭とチーパッパ』/3-18 からの続き


    中心家庭崩壊の兆し
         ・龍明実家の反応

      またまた気の毒
         うまくいかない車相淳




    龍明小説3-19



 龍明は緊急に食口たちを集めて言った。
「2週間後の聖日に天の祝いの宴をせよ、との啓示が降りた。
 子羊の婚宴だ。チスンドさんの指示に従って祭壇を拵えよう」

 皆は祝い事の例に倣って、米や布の寄進を求め近所の家々を回った。
 そして夜中まで騒がしく餅をつき、衣装やご馳走の準備も始まった。
 

 真相を知ったミョンスンはショックを受けた。
 (話が違うじゃないか!)
 ことが予期せぬ方向へとどんどん進んでいき、妻は遠くへ離れていくばかりに思えた。


 自信をなくし恨めしく思えて、根無し草のように風に吹かれてフラフラ歩いていると、町内の友人の家の前で呼び止められた。
「ミョンスン!
 ちょっと寄っていけよ。えらく久しぶりじゃないか」

「ところで近所中のウワサだが、結婚式って本当なのか? 一体誰の結婚式なんだ? 娘さんたちはまだ子供だろ。おまえの家は最近どうなってるんだい?
 おい、ミョンスン、大丈夫か」

 彼は堪え切れなくなり、絞り出すような声で言った。
 「実は困ったことになっている‥‥」
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タイホきた 裁判きた 平壌の春’48/龍明小説3-20

「中心家庭崩壊の兆し・龍明実家の反応」/3-19 からの続き




    タイーホきた
      裁判きた
        平壌の春 ’48





   龍明小説3-20




 教団内部のお祭り騒ぎとは裏腹に、龍明にはいやな予感があった。
 表を歩く度に感じる、以前にも増しての敵意。

 先日、見たことのない女性が訪ねて来て、信仰に興味があると言い、いろいろ話を聞き出して行ったが、今思うとあれは当局の内偵ではなかったか。

 ーー内部の情報がもれているかもしれない。
 彼らの裏をかくため、龍明は急遽予定を1週間早めることにし、食口たちにこう告げた。

 「啓示があった。サタンが儀式を狙っている。
  天の宴は明後日、2月22日に行うことにする」

 だがこともあろうに警察は、その式当日の朝にやって来たのだった。
 龍明やジョンファを始め、すでに集っていた多くの食口たちが連行され、内務署で取り調べを受けることになった。


 龍明の実家で批判に晒されピンチに陥った車相淳が、その後3日を費やし、なんとか拝み倒すようにして母親と兄を連れて戻って来た時には、もう龍明らは連行された後で、集会所はもぬけの空も同然だった。
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文ノイエスに妻を奪われた夫の証言@北韓/龍明小説3-21

タイホきた 裁判きた 平壌の春‘48/3-20 からの続き



   文ノイエスに
      妻を奪われた
         夫の証言@北韓





    龍明小説3-21


 続いてジョンファの夫、鄭ミョンスンが、証言台に立ち、
「文ノ龍明氏は、私の妻と一緒の部屋で暮らしていました」
と証言した。

「それは……夜も同じ部屋で寝ていたということですか?」
と検事に聞かれ、彼は「はい、そうです」と答えた。

 法廷に衝撃が走った。

ーーはっきりさせるためにお聞きしますが、
  家の主人であるあなたはどこに寝ていましたか?

「私は子供部屋で、子供たちと一緒に寝ていました」

 傍聴席のザワザワが止まらない。

ーー法廷では静粛に願います。
  で、あなたはそのことをどう思っていたのですか?

「文ノ先生は、これは神の救済の摂理だとおっしゃっており、当時私も信者でしたので、絶対に主を裏切るまいという気持ちがありました。それでその…… 一時的なこと、仕方ないこととして黙って我慢しておりました」


ーー今このように、あなたが原告側の立場から証言するようになった経緯を教えてください。

「はい、実はあの……ある啓示が降りたという話が文ノ先生からありました。イエス様の十字架時の年齢に合わせ、再臨主は三十代の篤信女と子羊の婚宴を挙げなければならないと、聖霊のお告げがあったというのです」


ーーその、子羊のコンエンとは何ですか?少し説明してください」

「子羊の婚宴とは、聖書の黙示録に出てくる言葉で、再臨のキリストと、教会を表す花嫁との象徴的な結婚の祝宴のことですが、私はそれを聞いた時、嫌な予感がしました。
 そして案の定、妻のジョンファが花嫁に選ばれてしまったのです」
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