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ツルコ小説 紡ぎますの記事 (1/1)

01 ツルコ小説 紡ぎます〈プロローグ〉



   01 ツルコ小説 紡ぎます
          ープロローグ


巨大なスタジアムの豪華な専用控室で、ヘアメイクを整えた鶴ノ亀子はじっと鏡を見た。
緊張のせいか、少し顔色が悪い。

…ずいぶん老けて見えるわ。
「もう少し紅を入れてちょうだい」
「はい、総裁様」
お付きの者がすかさず駆けよった。

(鶴ノ亀子、略して)ツルコが17歳の時、評判の悪い新興宗教の教祖のもとに嫁いできたのは、もう50年以上前のことだ。
…歳を取るのも当たり前だわ。

強いカリスマ性を持って教団を率いてきた夫の文ノ龍明は、この日を待たずに、去年の夏の終わり、92歳でこの世を去った。

生前彼は、教団の歴史に残る『基元節』の日には、自分たち夫婦がいよいよ人類の真の父母として神の実体となると説教等で何度も語っていた。
そして、その日までに地上天国が発動する、すなわち史上初の神の国家が実現する、と謳った。

教団は信者たちに「それまでの辛抱だから」と、無理な金集め・人集めに散々駆り立ててきたのだが、その張本人が呆気なく老人性肺炎で亡くなってしまったのだ。

教団は、まだ見ぬ ”平和と統一の神の国“ を「天一国」と名付け、韓国の山奥に国会議事堂そっくりの立派な白亜の宮殿を建設していた。
また、独自の国旗をデザインし、教団唱歌の一つを国歌に選定。二世の若者たちを召集して、自前の治安警察隊まで作っていた。
が…当然の如く、彼らの言う”神の国“が世界に姿を現す気配は全くないのだった。

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02 悲しみのツルコ神学



  02 悲しみのツルコ神学



教祖である夫が亡くなって数ヶ月後、基元節という教団の大きな行事を主宰したツルコ夫人。

その後、世界の信者たちを叱咤激励し、変わり映えしない実現不可能な高い目標とノルマを課して、一息ついた。

ソウル江南区のいつもの高級宝石店にも出入りしたが、心にポッカリあいた穴がある。

これまで表向きは、再臨主の妻そして真の母として崇められ、組織内では「真のお母様」として奉られてきた。
が、実際は「真の母は、いつでも取り替え可能だ」と夫から言われてきたのだ。

実際、取り替えられそうになったこともあったのだ。しかも何度も。
認知した婚外子、しなかった婚外子、こもごも周りにごろごろいた。

ある時、食卓の席で、息子から、お母さんよりあっちのママの方がいいよと言われたことがあった。
あれは確か、何かのことでツルコが生意気ざかりの息子をたしなめた時のことだ。
息子は「崔ママの方が優秀だよねッ、アボジ」と言って、父親の方を見た。

夫は別段否定もしなかったはずだ。その場は、ツルコだけが不機嫌に黙り込んで、何でもないように時間は流れていった。

崔ママとは一体誰を指していたのだろう。なにしろ、思い当たるだけでも夫に関わる崔姓の女は片手に余った。

ーしいていえばあの2人だわ。1人は頭脳が優秀、もう1人は家柄が上等。
ーあの時、あの子はどっちの女ことを言ったんだろう?
ー息子と夫はいつでも共謀して私を貶める…… なんで、なんで?
ーどっちの女だろう? どっち? どっち?
あの蔑みの残酷な時間を思い出すと、今でも頭がおかしくなりそうだ。

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03 あの人は過ちとモラハラの限りを尽くし…




  03 あの人は過ちとモラハラの限りを尽くし…





次の訓読集会でのこと。
教団の草創期から文教祖に付き従ってきた長老が口火を切った。

「お母様、あなたがおっしゃる独生女、独り娘とは何なんですか。
メシアの妻をそう言うならば、再臨のメシアであるお父様が最初に結婚されたお方も独生女だったはずです。そして2番目の方も…。そうなれば独生女は何人もいて、独り娘ではないはずですが?」

ツルコは答えた。
「ほんとにあなた方は何も分かっていないのです。もちろん独生女は一人です。この私、一人に決まっています。産まれる前から証があります」

「しかし、それでは…」
長老は腑に落ちない顔をしている。

「……だからー そういう、私との聖婚以前の女性関係が間違いだったと言ってるの。私は結婚前からそのことを全部知っていたけど、どうにかしてあの人の過ちを解決してあげようと決心して結婚したんじゃないの。その後も過ちを犯す夫に忍耐して、苦労してきたんじゃないの。

「…で、その1番目、2番目、3番目なんたらという女たちは一体どうしたの。結局みんな逃げたじゃないの。ご立派な家庭を捨てて飛び込んできた女先生も、年寄り過ぎてとっくに死んじゃったし、アハハハ! 

「…オッホン、とにかく、私とは心構えが違うのよ。最初から違うのです。独生女だからです。

それを受けて、そばにいた神学教授がボソボソとした声で加えた。
「えー、それについては、神学的にも説明できますが、お母様はまだ時ではないとおっしゃり、明かしておられないのです」

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04 教団執行部での攻防戦ーヨンホのミーティング



04 教団執行部での攻防戦
  ーヨンホゥのミーティング





日本の教団では、ツルコ総裁の講話は一部しか公表されなかった。信者たちの混乱を避け、献金を確保するに差し障りのない部分だけが日本語に訳されて、教団新聞に載った。
ツルコの今後も、薄氷を踏むがごとしである。(前回まで)


取り巻きの1人、金ジンチュン教授が、ツルコの指示で責任者修練会を開き、独生女神学とツルコ“お母様” の御心情のあれやこれやを語った。その時の音声データがネット上に流出し、日本語や英語の字幕が付いて世界に拡がってしまった。

中でも、文鮮明教祖が過ちをおかしたとして「お父様には悪い尻尾があった」という表現が、情報を知り得た信者たちに少なからずショックを与えたようだった。


教団執行部でも意見が分かれ、攻防戦が始まった。
「これまで文鮮明師をメシアだと信じてきた一般の信者に大きな動揺がある。金教授の講義内容はまずいのではないか?」

「しかしあの修練会は鶴ノ総裁ご自身の要請だというし、内容も総裁がハッキリ言われたことしか言ってないというではありませんか」

「たとえ、もしそうだとしてもだ、あれをそのまま放っておくわけにはいかんだろう。信者らがごっそり遠ざかっていることを考えれば… 日本でも…」

「地上で神の摂理に責任を持たれる真のお母様、その方が仰ることなら信じようとする、そういう信仰の強い者たちも多いはずです。我々もそうではありませんか? これは信仰の試練なのではありませんか?」

「信じて滅びよ、か? そんな時代でもないだろう。いつまでも幼い信仰を言うなよ。ただでさえ教勢が低下気味だっていうのに」

「でも、お母様の言うことが事実であり、歴史の真実であったら、どうでしょう? 神はいつまでもそのようにはしておきませんよ」

「それを言うなら、お父様の真実はどうなるんだ? お父様は生前、そんなことは一言も言っておられなかったぞ。メシアの花嫁は堕落人間の代表だと語られたのを覚えているだろう?」

「ああ、たしかにそうだったな…」
「はてさて、これは 一体…
「いやはや、どうなっているのだろう?

 
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05 パラレルワールドのお母様の悲劇




  05 パラレルワールドのお母様の悲劇



【前回より】
「またそのうち日本の総会長にでも、人事してあげましょうかね」
「ほ、本当ですか。お母様、ぜひよろしくお願いします!」

「でも、その前に… 」
と、ツルコは憂いを帯びた厳しい顔つきをして言った。
「独生女神学の講義条件を全うして、
 献金の実績も上げないといけません」///

「は、はいッ、承知致しました…」

金ミョンデは言いながら考えた。

…日本の信者は、ちょっと脅したり煽てたりすれば必死になって高額献金を出すから、協会長をやりながらビジネスチャンスはいくらでもある。また美術商でもやってぼったくるか。よし、日本に返り咲いて、もう一儲けするぞ。
…それにしても、この前、金ジンチュン教授が「お父様には悪い尻尾がある」という強烈なフレーズを引っ提げて、独生女講義を行なったんだ。私だって、それに負けないくらいのインパクトあるツカミが欲しい……

「…お母様、そのために私にみ言葉を下さい。独生女神学の濃〜いみ言葉をぜひ…」

「いいでしょう。語ってあげます。よく聞きなさい。

「ある時ある所で、洪順愛お母さんに天の摂理があって、原罪のない娘が生まれた、それが私です。

「メシアの候補、つまり夫候補は大勢いましたが、私がその中から文鮮明お父様を選んでさしあげました。強いエネルギーを感じさせる性格で、神の摂理を為すのに好ましいと思ったからです。ところが…

「生まれながらに罪のない、愛の女神としての私のアイデンティティーを、お父様は否定されました。

「私はずっと忍耐しました。あなたもご存知のように、若い頃は何でもお父様の言う通りにやって、微笑んでいた一時期もありました。が、それがずっと続くのはとてもとても虚しいものですよ、金ミョンデ、聞いてるの?」

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06 天正宮殿の恐ろしい天井裏



  06 天正宮殿の恐ろしい天井裏



【前回より】
「あそこのミーティング室には、音声カメラが付いてたはずね。
すぐ視聴できるようにしてちょうだいって、警備室に連絡して!」
/////


内線電話のスピーカーモードで、警備担当信者の声が聞こえてきた。

ーあぁそれはちょっとできかねますね。

はい、そうなんですよ。

あそこの機材はだいぶ前から不具合が起きていまして。
いえ、修理はしたのですが…

何度調整しても、すぐに何かで不具合が…

こちらとしてはですね、誰か幹部の方がですね、
ええ、誰かそういうことに詳しい方がいましてね、
どうも作動させないようにしているのではないかなと…

そこでツルコが、いきなりお付きから受話器をひったくって叫んだ。
「なんで、早くそれを、私に報告しないんだよッ。このハゲ〜!」

ーあっ おっお母様? … い、いえ、その…機材が老朽化しているだけかもわかりません…です。なんせもう10数年経っておりますので、はい、他の部屋のもガタがきておりますんで。それはそのぅ、予算が… すっすいません…

「ふん、役立たず!」
ツルコはガチャッと受話を叩き切った。

…私が献金を流さないと何もできないの、ほんとに役立たずだわ。
それにしても、カメラやマイクが作動しないように?
切っているって?一体誰が?
あの人たち、やっぱり、ますます、あやしいじゃないの。
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07 ツルコ小説 天井裏の耳



  07 ツルコ小説 天井裏の耳



【前回より】
ツルコの居室から階段の方向へ、2つ先の部屋がミーティング室になっている。

「そこの天井に裂け目があって、光が漏れているはずよ。
中の様子を報告して。録音してきて。失敗は許されない。
ICレコーダー、カメラ付、懐中電灯付。ほら持って。時間がない」

「えーっ」
お尻を叩かれて、カヨはハシゴを登って行くしかなかった。///////


…嫌がっていた割には、案外、スタスタと登って行くじゃないの。
 若いっていいわね〜 


カヨの姿は、天井の裂け目からスッと暗闇に入り、とっくに見えなくなっていた。

あたりはシーンとしている。
…ふぁあ…
ツルコはあくびをしてソファに寝そべった。

居室のある宮殿は、天正宮博物館とも呼ばれている。
高級な大理石をふんだんに使った1階ホールには、文教祖夫妻の記念の品々や往年の写真などが展示されていた。

“後世の人々は、再臨のメシア・人類の真の父母ゆかりの展示物を、神聖な物として仰ぎ見るようになるだろう。ゆえにそこは永久に万人が列を成して訪れる場所になるのであ〜る” と説教して、信者たちに高額な献金のノルマをかけ、一千億円を集めて建設した自慢の宮殿だ。

宮殿の隣りの本部ビルには、正式な会議室が複数あるのだが、こと内輪色が強い集まりには、文教祖存命の頃から、宮殿内のミーティング室がよく使われていた。

カヨがすぐに戻って来ないことからしても、今この時、幹部らはあの部屋でミーティングしているに違いないのだ。


紅葉の天正宮

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08 ショック受け、ツルコ総裁は出演決意


08 レコーダーの中身と
     ツルコ総裁の出演決意



一人になったツルコは、レコーダーのスイッチを入れた。
覚悟はしていたが、内容はそれ以上のものだった。(前回より)


(レコーダーから漏れてくる幹部たちの話し声)
「ーーお父様とお母様で真の父母なんだから、それを独生子・独生女と言ってもいいが、統一原理では、あくまでも男が主体、女が対象であるからして…」
「それを鑑みるに、最近のお母様の主張は、過激で、」
「行き過ぎだろう」
「信者らが不信感を抱いて遠ざかり、三男や七男の分派が“母の過ち”と騒ぎ立てて活気づく」

「しかし、真正面から反対すれば、報奨金がなくなるし、下手をすれば首を切られるぞ」
「だから、褒めて適当に誤魔化すしかないだろう?」
「うまく賢く丸め込むってことか?」
「うむ、それだってそんなに長くないはずだよ」
「もう少しの辛抱ってか。なにしろご高齢だからなあ」
「病気もあるしな」

そしてヨンホゥ本部長の声がこう言った。
「まあ遠からず、真の父母の御二方がこの世にいない時勢が来る。その時は組織にも教理にも調和が戻ってくるはずだ。だから今、独生女に反対するにしろ、賛成するにしろ、後から不信を招かないために、なるべく論の証拠を残さないようにしたほうがいいだろう」
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09 韓国 日本人妻のブルース



   09 韓国 日本人妻のブルース



「出演するって言ってるの。一番良さそうな番組を選んで、OKを出してちょうだい。少し準備があるから、10日目以降にスケジュールを組むように。それから、いつもの教授たちを呼んでちょうだい、今すぐに」
「は、はいっ」 (前回より)


ツルコ総裁が高熱を出して寝込んでいる間、サヨたちお付きの者は、夜中もぶっ通しで看病し、ハードなスケジュールをこなしていた。

だが今や、回復した総裁は、どこかで教授信者たちと会い、居室を留守にすることが多くなっている。

サヨはやっと少しのんびりする時間の余裕ができたので、久しぶりに姉に電話してみようと思った。
姉の佳代子は数年前に教会の合同結婚式で韓国人と結婚し、ソウルの郊外に住んでいる。

「もしもし、お姉ちゃん」
「あ、サヨちゃん? ずいぶん久しぶり…元気してた?」
電話に出た佳代子の声が心なし元気がないのが気になったが、挨拶を交わすうちに、元の頼りがいのあるしっかりした姉の口調に戻っていったようで、サヨは安心してしゃべりはじめた。

天聖宮殿の屋根裏を這ったことこそ言わなかったものの、最近ツルコお母様と近しく接する機会があったこと、お母様のご病気の看病などの話をした。

「そう、大変だったのね。でも快癒されたようで何よりだわ。サヨちゃんたちの心遣いのおかげね。話を聞いていると、なんだか懐かしいわ。あの職員たちの控室、よくみんなでおしゃべりしたっけ。あの頃が一番よかった…」

「うん、お姉ちゃんは、あそこの皆んなに一目置かれていたものね。知ってる? お母様は私のこと、カヨって呼んだのよ」
「やだ、うっそ〜」
「ホントだってば。私も最初は、サヨですと言って訂正したけど、お忘れになられたみたいで。私ももうどっちでもいいやって…」
2人の姉妹は声を揃えて笑った。

「あぁ、でも、韓国の先生方って、意外にいい加減で、ズルいこの世の人みたい。私、なんだかガッカリしたわ」



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10 日本人妻と不穏な銃




 10 日本人妻と不穏な銃 
    



09 韓国 日本人妻のブルース からのつづき

なぜこんなにも息苦しく、身動きならない不利な立場に沈められてしまったのだろう。


やはり原罪があるからだろうか、
それとも日本の歴史的罪ゆえか?
または、先祖の蕩減なのか、
やっぱり、私が悪いのか?

地域の統一教会に夫婦問題を相談して、余計に追い詰められ、奉仕活動もままならず、精神的負債を感じて教会から足が遠のいていた頃、以前の信仰仲間から、別の礼拝の場に誘われた。

故文教祖の息子のうちの2人が率いる団体で、実母のツルコ総裁率いる統一教団とは対立しているそうだ。そこはサンク教会と呼ばれる。いつの間にか、統一教会は分裂していたのだ。

強引に勧められ、佳代子は分派サンク教会の教義を少し聴いてみたが、心は動かなかった。もう日々の生活がそれどころじゃないというのが実情だった。

いくらカミの言葉だとか、再臨主の正当な後継者などと言われて実体のない言葉にすがっても、虚しい。
だが、そこでは一ついいことがあった。
礼拝の後、教会長が皆を射撃場に連れて行ってくれたのだ。

韓国ではめずらしくない実弾が撃てる射撃訓練場だ。
佳代子は初めてだったが、店のスタッフが銃の選び方や撃ち方を丁寧に教えてくれた。




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11 テレビで頑張り反論されるツルコ総裁



 11 テレビで頑張り、反論されるツルコ総裁



天正宮殿の天井裏から、幹部たちの裏の顔を知ったツルコ総裁。
自分を無視した組織の動向に深く絶望し、お怒りになってテレビ出演を決意した。
「08 ショック受け、ツルコ総裁は出演決意」より


     *
ついにその日がやってきた。
番組は、日本の放送局とも中継で繋がり、双方に複数の通訳者を備えた念を入れたものだった。

初頭、ツルコ総裁は、日本の元首相銃撃事件の関係者と世間に対して謝罪をした。
教団が容疑者の動機に関係することを受け入れた形になる。
それは番組出演の際の局側の条件だった。
見る人が見れば、通り一遍の印象を拭えないだろう。


司会者がマイクを引き取る。
「番組をご覧の皆さまの中には、なぜこんな事件が起きてしまったのだろう、また、家庭連合・旧統一教会とは一体何なのだろう、と疑問に思う方が多くおられるのではないでしょうか。
そこで今日は、渦中の世界平和家庭連合統合本部から鶴ノ亀子総裁をお招きし、歴史的に総合的にいろいろ伺ってみたいと思います」

司会者が続ける。
「えー、まず背景を簡略化して申しますと、
家庭連合・旧統一教会は、1955年に文ノ鮮明氏によって創設され、
鶴ノ氏は1960年に文ノ氏とご結婚、2012年には文ノ氏が死去、
以来ツルコ氏が教団のトップ指導者となり現在に至るわけですが、
えー、ツルコ総裁とお呼びしていいですか、
ツルコ総裁から視聴者の皆さんにぜひ伝えたいことがあるそうです」


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12 韓鶴子発言「私は馬鹿か?」番組炎上



12 韓鶴子発言「私は馬鹿か?」
          /番組炎上



http://anzais.blog.fc2.com/blog-entry-373.htmlからの続き


統一教会に詳しいジャーナリストたちの手厳しい質問だ。
カメラは仏頂面をするツルコの顔を捉えた。
するとその時、スタジオの横の方でガタンッと椅子を蹴る音がしたと思うと、けたたましい声が起こった。

「背後からブスリ夜道に気をつけろって、まるで脅しじゃないですか。脅迫はやめろ〜!」
「嬉々として血わけに参加していたかって、それセクハラでしょ。セクハラはやめろ〜!」
叫んでいるのは、ツルコ側の要請で通訳の1人として入っていた天正宮の秘書室職員だ。

「脅迫だなんてとんでもない。善意の忠告のつもりですよ。失敬な」
「嬉々としてなんて言ってませんよ。こっちは真面目な話をしているんだ。そもそも血わけの話を最初に持ち出してきたのは、鶴ノさんの方でしょうが」

彼らは反論したが、ヒステリックになった通訳は、
「黙れッ、お前たち、そもそも何でいつも口出しして、ツルコ総裁の話を遮るんだ! ありがたく最後まで聞けよ。あっ何だ、うるさいッ どけッ」
駆け寄った番組スタッフの制止も効かないようだ。

ツルコはカメラの向こう側の薄暗い場所に控えているはずのヲンジュを目で探し、興奮した通訳を連れて行くようアイコンタクトで指示を与えた。
秘書室長のヲンジュはすぐに駆け寄って、一瞬ライトの中に入り、部下の耳に何かを言うと、サッと肩を押し抱くようにして足早に彼女を外に連れ出した。
スタジオに静寂が戻った。

「教団の狂信信者でしょうか。おそろしいですねぇ…」
コメンテーターの誰かがつぶやいた。

「えー、番組の進行に少々不手際があったようで、大変申し訳ございませんでした。また、今回はセンシティブな問題も含みますので、鶴ノ総裁含め、スタジオの皆さん、どうかお手柔らかにお願いいたします」

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結末あらすじ鶴子小説



 番外編)ツルコ小説・今後のあらすじ・結末



次女が出産予定で里帰りしているので、私が使っている部屋を次女に明け渡した。
自分の部屋がないと小説が書けないなんて、青少年かッ 青いな そんなの気持ちの問題だろッと自分にツッコミを入れてみるのですが…。
他に部屋がないわけではなく、特に娘の世話が必要でもなく、時間がないわけでもない。ほんの少しいつもより時間が細切れなだけ。(ちなみにドラムセットは寝室に移動させて、毎日練習している。居間で読書もできる)

自分の内心に聞いてみると、今は別に書かなくてもいい、むしろ特殊な小説世界(創作)に沈潜しきるのを避けているというホメオスタシス(恒常性)が強い状態のようです。

別に創作を邪魔にしているというわけではなく、むしろそれは私の一番の望みなのですが、限りある娘との会話の可能性をみすみす無くすのは避けたいといったところでしょうか。

今できるのは、今後の「あらすじ」を書いておくこと。それならできそうです。





今後のあらすじ

天正宮職員でツルコの召使いの日本人信者サヨは、通訳という名目で、ツルコの録画中スタジオに待機する役を仰せつかる。
初回で奇声を発した秘書課員のように感情的になって粗相しないように。
総裁の体不調など、万が一の介助の際の待機であり、基本何もしなくていい。
むしろ何もしてくれるな、とのことで、今回はおとなしく従順そうな日本人にしたようだ。

サヨは興奮し嬉しくなって、姉に電話した。
番組は世間で話題になっているから、取材陣に揉みくちゃにされたり危険な目に合ったりしないかと姉佳代子は心配する。
それは大丈夫よとサヨは、テレビ局ビルには秘密の出入口があるからとしゃべる。

次回番組でツルコ総裁は、これまでの教会の政治的・経済的側面について語る。
在りし日の文鮮明教祖が独生女ツルコ様にお伺いを立てずに勝手に推し進めた“摂理”だ。
時の権力とつるんで決行した非道な行為が多い。
文教祖が自身を再臨主と思い込み、独裁的な影響力を望んだ、等と言う。
実は、メシアは妻である自分だったという独生女云々の話は引かれ、軽く無視される。

ツルコへの注目と暴露への賛否、関係者・被害者の声。
世間の統一教会への非難が高まる。
関係者(信者、元信者、二世等)は、ショックだ、納得がいかない、責任問題だ…
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13 ツル子の復讐



  13 ツル子の復讐



先回の番組は、一時、炎上騒ぎもあったが、“教祖の妻が暴く 統一教の裏側” といった体で、多くの視聴者の関心をひいたようだ。

ツル子総裁の小間使いの日本人信者サヨは、通訳という名目で、次回の番組中スタジオに待機する役を仰せつかった。
先回奇声を発した秘書課職員のように感情的になって粗相しないようにと、今回はおとなしく従順そうな日本人にしたらしい。
総裁の体不調など万が一の際の待機であり、基本何もしなくていい。いやむしろ何もしてくれるな、とサヨは上司から釘を刺された。

…お母様と一緒にスタジオに!?
サヨは興奮して、姉の佳代子に連絡したくなった。
電話すると、番組のことは世間で話題になっているので、姉も知っていて、取材陣に揉みくちゃにされたり危険な目に合いはしないかと妹を心配した。
「多分それは大丈夫よ。テレビ局には秘密の出入口があってね、私たちはそこから出入りするらしいのよ」
「へえ、そんなのがあるのね、それって、どんな所?」
姉妹たちは、佳代子の韓国人夫が電話口でうるさく怒鳴り始めるまでしゃべり続けた。

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14 鶴総裁の麻薬話暴露



 14 鶴総裁の麻薬話暴露



《在韓日本人妻佳代子の段》
地域の教会へは足が遠のいていたが、佳代子の頭の中は“統一原理”や“人類の真の父母”で一杯だった。
それらが神に匹敵すると信じ込み、ある意味そうして心を武装していた。
原理や真の父母がいない素の自分など、小さく醜く何の価値もないと思えた。

思えば、貧しい母子家庭で育った佳代子は、幼い頃から母親に言いつけられた家事や妹の世話をして、やっと存在を許されるような、いつも不安な心持ちだった。思いっきり子供らしいわがままを言って、ありのままの自分を受け入れてもらった記憶は全くない。

皮肉なことに、貧しいながら努力して成長し、大人になり、理想世界を求め、国際結婚した先で、同じような心持ちを味わっている。いくら気を遣い、苦心して頑張ってみても、韓国人夫のちょっとした機嫌次第で、ダメ出しを喰らい、罵倒される。
そういった中で、人類を救うメシア、真の父母様の理想にすがる気持ちは、本人の自覚以上に張り詰めていたのかもしれない。

テレビの箱の中で鶴ノ総裁が何か言っている。
妹のサヨが通訳で参加しているはずだが、そこは映りそうで映らない。

鶴ノ亀子総裁は、真のお父様である故文鮮明師の糟糠の妻で、真のお母様と呼ばれ、長い間信者たちの憧れであった、はずだが。今、画面の中で彼女がしゃべっていることは、何かが違う。
佳代子の胸の中で、ギィという不協和音が鳴って、動くはずがない山が動き始める。

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15 鶴総裁にPTSDを発症する元信者



 
 15 ああ言えばこう言うの鶴総裁に
    PTSDを発症する元信者





「14 鶴総裁の麻薬話暴露」からの続き

日本側スタジオ:
「何ですって。耳を疑います。トイチ教会は人を不幸に陥れる麻薬事業に手を染めていたということですか?」

ツル子は重々しく答えた。
「ですから言ったでしょう、私は反対したのですが、夫は私の言うことなんかてんで聞かず、内部には秘密裏にして少数の部下を使い強引に事を進めました」
そこで彼女の口調が急に激しくなった。
「だから〜 それをやめさせるために、私は代わりになる別の道を探ったんでしょ! 清平の先祖解怨の方に力を入れたんでしょ! それによって、先祖代々にわたる解怨献金を払う道が、日本にも大きく大きく開かれたんじゃないの!」


日本:
「その清平の先祖解怨献金と言われるものですが、つまり日本人だけ他国の10倍以上の料金をふっかけてるんでしょう?
その他にも、文教祖による事業買収や政治工作資金のための、“世界摂理献金”ノルマと言うんですか、それと相まって、統一教会の“高額エンドレス献金”などと言われ、大きな問題になっていたわけです」

「そうですよ、鶴ノ総裁、お母様! 麻薬取引だの先祖解怨高額献金だのと、こんな所で大っぴらに仰らないで下さい、お願いしますよぅ。私たちはただでさえ政府や国民から追及を受けている昨今なのに、そんな事言われたら、今度こそ本当に解散命令が出てしまうかもしれませんよぅ…」
スタジオには現役の信者もいるようだ。

(うるさいっ だまれっ どうでもいい…)
ツル子は内心を押し隠してこう言った。
「もう時効でしょう。どちらにしても… 夫であった文鮮明氏も、統一教会も…、独生女であるワタクシを蔑ろ(ないがしろ)にし過ぎました。その歪みがエバ国日本に大きく出てしまったことは確かです。夫に代わって私がお詫び申し上げます」
と、形ばかり頭を下げた。

そしてまたいつもながらの、原罪のない独生女誕生の話や、イエスから使命を受けた文氏の失敗続きの話、それによって変な息子たちが生まれた話などをし始めた。

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16 狂信者 vs サイコパス総裁



 16 狂信者 vs サイコパス総裁



「15 鶴総裁にPTSDを発症する元信者」 からの続き

そこで今回司会役のコンビ芸人が割って入った。
「そこの日本のアナタ、芸人さんじゃないんだから、その位にしときナサイ」
「ワシらよりウケるなよ、ってか?」
「ま、イワシの頭でも、弱小霊能集団でも、」
「ワシらみたいな低脳集団でも、な」
「信教の自由っちゅうんがあるんさかい、」
「あほになる自由もあるさかいにな、」
「ここでスタジオに電話が入ってます〜」
「漫才中、いきなり司会者づらすなや」
「もうええわ!」(前回より)


テレビ出演を自ら承諾した鶴ノ総裁は、スタジオで言いたいことを言って気丈に振る舞ってはいたが、彼女に物申したい人は引けを切らない様子だ。

教団内部で信者たちの集団を相手にしている時とは明らかに違う重たい現実の肌触りが、鈍い彼女にもボディブローのように効いてくる。

次から次へと意地悪な質問をし意見をぶつけてくる数人の人々の背後に控える、その何千倍、何万倍もの聴衆の存在。その人たちが彼女の独生女論を信じて侍るようになるなど、言わば夢のまた夢、ひとまず不可能なことのように思われてくる。

(教団の昔からの幹部たちでさえ、口先では良いことを言っていたけど、受け入れてなかったのは、私この耳で録音を聴きましたからね。まあ当たり前と言えば当たり前ね。神様の真実は、広大な砂浜で一粒の金砂を探すが如し、とはよく言ったものだわ。

(あ〜あ、これが終わったらどうしよう。スイスにでも行こうかしら。自由になる私名義の預金、どこにあったっけ。スイスとシンガポール? ケイマン島と他には…

(そうだわ、夏は涼しいスイスで過ごし、冬は暖かいカリブ海のケイマン諸島に住むのはどうかしら。あ、でも冬のスイスも良さそうね。暖かい白亜の豪邸の中で、壁一面の大窓から美しい雪景色、マッターホルンを見るの…)


その時、どこからかくぐもった女性の声が聞こえてきた。
「番組を最初から見ていた信者です。ツルコ総裁に質問します。天国はいつできるのですか?」

流暢な韓国語だ。
(ああ、また電話質問なのね)
「天国はね、心の中にあるのよ。あなたの心の中に天国を作らなきゃ…」

ツルコがカリブの島を思い浮かべながら答えると、電話の声が もどかしそうに言った。
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17 鶴の寿命 衝撃の最終回




 17 鶴の寿命 衝撃の最終回



【先回より)
ツルコ総裁:「ふん、努力次第よ、自己責任でしょ、いくらでもやり直せるでしょうよ」

電話の声(女信者):「やり直したいけど無理。悔しいけど無理!
今まで聞いてればいい気になって、私の最後の理想まで打ち壊す、あなたにはわからないわ! ぎゃぁ〜」

絶叫の余韻を残し、電話はプツリと切れた。///


辺りに不吉な静けさが漂った。
電話の声はどこかで聞いたことがあるような気がしたが、ツルコには思い出せなかった。

ツルコは口を開いた。
「皆さんはよほど霊的に曇っているようですね。基準がないあなたたちに独生女のことは分かりません。しかし唯一無二のその位相は、ずっと前から天において定まっているのです…」

スタジオ内に良い反応はなく、どこまでも白々とした雰囲気だ。
ツルコは初めて厳しい現実を垣間見たような気がした。

テレビ出演への注目度は、統一教会の恥部を暴露したからだ。
世間の統一教会への非難は、ますます高まっていた。
信者や元信者、二世等の関係者は、ショックだ、納得がいかない、責任問題だ…と声を上げ始めている。


ーあぁもう こんな所はもう沢山
 ええぃもう 私十分やったわよ
 この後はスイスとカリブ海だわ

「さあ、統一教会はもう終わりよ。
お父様のみことばと実践は、9割以上が本当でなかったんだから。
さあ皆さん、統一原理という名の偽原理に囚われないで。
美味しい食物だと思っても、釣り針と釣り糸が付いている。
もう釣り竿から自由になってください。
自分の人生を望みのままに生きていけばいいでしょうよ、
私に文句ばっかり言ってないでさ!」


(いまさら何を言ってるの?)
受話器を叩きつけた後、テレビ画面でその言葉を聞く佳代子はいても立ってもいられなくなった。
(ずっと御父母様のみ言葉を信じて、ここまでやってきたのに…)
彼女は統一教会の信仰を続けるうちに、自分でも知らずに強度の依存体質になっていた。

統一教会で飲み込んだものを全部吐き出してしまいたい。
だがそれらは、もう胸の奥の方に落ち込み、中央に我が物顔で鎮座して、微動だにしない。
こうなったら吐き気だけが本物だ。

もうどうにもならない
吐き出すのが無理なら、溶かしてしまいたい
妹のサヨは、総裁の生放送に付いて行くと言っていた
今から行けば間に合うだろうか
テレビ局の秘密の出入口に…

佳代子はいきなり立ち上がると、外出の支度を始めた。
彼女の心は、支離滅裂になっていた。

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